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レティシア魔道具店

※お金の出処の描写を追加

 カランコロンと扉が開いたことを知らせるベルが鳴る。

 中は広く、商品らしき物が並んだ棚やケースがあり、フラウはそれに興味津々だ。


 このお店もゲームでは一画面のマップで、購入と売却はカウンターの向こうにいるアイコンに話しかけて行う味気ないもので、棚やケースは調べることのできない仕様だった。

 そう思うと、ショッピングの醍醐味も半減していたんだなとしみじみ感じる。


「あら、いらっしゃい。かわいいお客さんが来てくれたわね」


 来店を知らせる音が鳴ったことで、カウンターの奥の扉から小さな木箱を持った女性が顔を出した。

 彼女がこの魔道具展の店主。店の名前にもなってるレティシアさんだ。


「こんにちはレティさん」

「あら? あなたたちのようなかわいい子なら忘れないと思うけど、もしかして会ったことあったかしら?」

「あっ……すみません。さっきすれ違った人がここの話をしてて、店主さんのことをレティさんって呼んでいたのでてっきりそうかと……」


 またやってしまった。

 私は咄嗟にそれっぽい理由を並べて誤魔化す。

 ゲームでは彼女はレティと呼んでと自己紹介をし、レティシアというよりレティと愛称で呼んだ方が呼びやすかったため、ずっとそう言っていた。

 レティさんとは初対面でも一方的に知っている私はついいつもの癖で呼んでしまった。

 フラウの時もそうだったが、知っているキャラとの出会いは本当に初対面な気がしないのだ。


「いいのよ。私はレティシア。レティって呼んでね。あなたたちは?」

「私はルナ、こっちはフラウです」

「フラウだよー!」


 レティさんも私が知るレティさんと変わらず、優しいお姉さんのような雰囲気を纏っている。

 黒い髪から覗く綺麗な碧の瞳が綺麗で、美しいという言葉がピッタリの大人な女性だろう。


 あと、でかい。どこがとは言わないが大きい。

 私は瑠那からクラリスに肉体チェンジしたことで少し……ほんの少し小さくなったかもしれないのに、なんとも羨ましい。

 今度変身して調べてみよう。


 なんてちょっと格差を突き付けられて悲しくなったが、今は楽しいお買い物タイムだ。


「何か探してるのかしら?」

「この子に似合うものでレティさんのおすすめってありますか?」


 カウンターの奥に並ぶ薬品や巻物などの消耗品には目もくれずに、宝石や腕輪などの装飾品を眺めていたからか、レティさんは私達に声をかけてきた。

 私はちょうどいい位置にあるフラウの頭をポンポンしながら、彼女に似合うものがないかレティさんに尋ねる。


 私自身ゲームにおけるアイコンを知っているおかげで何が何のアイテムか分かるものもあるが、それ以上に見たことのないものの方が多い。

 そんな状態であれこれ目で見て触れて感じてみるのも楽しみ方のひとつだけど、せっかく店主のレティさんが近くにいるんだし、頼ってみるのもいいよね。


「フラウちゃんに似合う物ね。それなら……これとかどうかしら?」


 レティさんは少し考えただけで、おすすめしてきた。

 当然と言えば当然のことだけど、店主というだけあって商品にも詳しいのだろう。


「わっ! 綺麗な髪飾り!」

「本職の魔法使いとかが身に着けるような強い効果はないけど、その分値段は安いからそっちのお姉ちゃんと色違いでお揃いにしたらいいわ」

「ルナおねーさんとお揃い? するするー!」


 フラウはお揃いという言葉を聞いて盛り上がっている。

 レティさんからしてみれば私達はまだまだ子供。

 だからあえてそんなに値が張らないものをチョイスしてくれたのかもしれない。


 フラウに私の分も選んでもらって、お会計をしようとレティさんについてカウンターの方へ向かった時、ふと私は小さな音を耳にした。

 それはカチカチというなにかを刻むような音で、確かに私の耳に響いた。


 その音がした方には商品棚があって、いろいろなものが並んでいる。


「これかな?」

「あら? その懐中時計に興味があるの? でも残念だけどもう動かないの。何度か修理もしてみたんだけど、どうやっても動かなかったのよ。だから、ただのアンティークとして売りに出しているけど……時計の機能がない懐中時計を手に取ってくれる人はいないわよね」


 レティさんが説明した通り、時計の針は動いていない。

 でも、確かに音が聞こえたはず。

 周りには音が出そうなものがないし……でもこれは動いていないなら、私の幻聴だったのかな。


 でも……なんだか気になる。


「すみません。これも買います!」

「いいの? さっきも言ったけどそれは多分もう動かないわ。それでもいいのね?」

「はい!」

「分かったわ」


 私はその懐中時計も会計に加えてもらった。

 お財布は私が目覚めた部屋にあった鞄の中から拝借した。

 これももう私のモノなのに自分のモノのような気がせず、なんだが悪い事をしているような気持ちになる……けどこれがなかったら私は無一文なので今は我慢。


 ちなみにだけど、この世界のお金のシステムは日本とそんなに変わらない。

 元がゲームの世界だからそんなに複雑じゃないのは助かった。

 単位はアルデナ。硬貨の価値は色や模様で識別でき、紙幣と穴の開いた硬貨、あとは日本における一円玉がないくらいであとはそんなに変わらないと思う。


「二二〇〇アルデナだけどちょっとまけて二〇〇〇アルデナでいいわよ」

「本当ですか? ありがとうございます」

「いいのよ。その代わり今後とも贔屓してね」

「はい、また来ます」

「ありがとー!」


 レティさんの好意でちょっと安く買い物ができた。

 ゲームでの私は当然お金をカンストさせていたから、買い物も好き放題にできていたが、クラリス――――ルナ()のお財布はそうでないので実はありがたかったりする。

 今回はあまり買い物できなかったが、フラウもこのお店とレティさんを気に入ったようなので、また来ようと思う。


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