自動解析の苦労
迷いの森から一番近くにある町、アリオートに入った私達。
私はまずゲームでのマップと、ここがどれだけ一致してどれだけ不一致なのかをぱっと見で推測する。
ストーリー進行に必要な人の家や店はどれだったか。それらの配置はゲームとどれほど差異があるか。
私は未だに読み慣れないけどしっかり読める言語で書かれた看板などを頼りに情報を集める。
フラウは人が営む町中に入ったことでの興奮か私とは違った意味できょろきょろしている。
あちこちに興味が移り変わるフラウとはぐれないように、しっかり手を繋ぎ、通り過ぎる人を横目に私はひとつ息を吐いた
まさかこんな人が多いなんてね。
私の知るゲームマップでは建物もそれほど多くなく、フィールドに存在するキャラも少なかった。
そんな情報は役に立たないと分かっていたし、なんなら町の外からでも多くの人がいるのは見えていたけど……いざ町に入ると余計に多く感じてしまいげんなりしてしまう。
「ルナおねーさん? 顔色が悪いけど大丈夫?」
うん、大丈夫じゃない。
なんでもないように装ってもフラウにバレてしまうくらいにはよろしくない。
こうなってしまうという確信はあった。
フラウと出会った時に無意識ながらに発動したクラリスの裏ボスとしての力。
あの時はフラウだけだったが、今回はそれが視界に入り込んだ複数人に対して同時に発動してしまう。
私はなるべく自分の意思で人を視界に入れないようにしたり、取り込む情報を抑えようとしたりしているものの、如何せんまだ力を使いこなせない。
完全には取得を抑えきれておらず、すれ違う人の外見データが己の内に蓄積されていくのが何となく分かってしまう。
しかし、その状態にも慣れてきたのか気分の悪さは薄れてきた。
こういうのは無条件に解析し尽くすのではなく、欲しいと思ったものだけを取り込めたらいいのにと私はないものねだりをする。
「ごめんごめん。人が多くて少し酔っちゃった。でももう大丈夫だよ」
「……ならいいけど」
「それよりフラウはどこか行ってみたいところはある? せっかくだし行ってみようか」
「えっ! いいの? 私あそこに行ってみたい!」
フラウが指さした建物は……魔道具店か。
あの店はゲームでもあったな。
品揃えは回復薬とか攻撃に使えるアイテムとかそういった決まりのラインナップだったが、さすがにゲームと違って人が営む店だ。きっと違いもあるだろう。
それに精霊は波長の合う道具や装飾品などを住処にするとも聞いたことがあるし、もしかして何か感じることがあったのかな。
「いいよ。行ってみよう。何かいいものが見つかるといいね」
「わーい。楽しみー」
フラウに手を引っ張られて私はかつてはよくお世話になった魔道具店――――レティシア魔道具店へと足を踏み入れた。
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