第25話 休日
大変お待たせしました。
第25話です。
遅くなった理由と、今後のことについてはあとがきの方に記載してあります。
あのクラス対抗魔法戦も終わり、平穏な日々を取り戻したかに見えた。
尤もそれは表面上かもしれないが。
そして、決定的なそれを感じたのは、とある日の休日の事だった。
矛盾の魔法使い 第25話「休日」
その日少しばかり遅めに起きた俺は、共同の食堂兼リビングに向かうと、そこには雑誌を読んでいる中井さんの姿があった。
「あれ? 尾崎君今起きたの?」
俺の気配に気づいたのか椅子に座ったまま首だけをこちらの方に動かして声をかけてきた。
「ああ、ちょっと夜更かししちまってな」
「駄目だよ、尾崎君。規則正しい生活をしないと」
俺の言葉に、中井さんは少しばかり頬を膨らませながら注意してきた。
さすがは成績優秀(隆談)なだけある。
「そう言えば田土先生が尾崎君ようにって朝食を用意しているはずだよ」
「そうだな。ちょっと遅いけど食べちゃうか」
他の寮がどうかは知らないが、ここでは朝食と夕食(休日で学園が休みの日などは昼食もだが)は寮長である田土先生が作ってくれる。
しかも起きてこなかった寮生には冷凍をしておいてくれるという親切ぶりだ。
ということで、俺は冷蔵庫に入っている俺の分の朝食を取りだしてそれを電子レンジで温める。
温め終えたおかずと、ご飯をよそうと、それをテーブル……中井さんの前に置き席に着く。
「いただきます」
「私はここで、尾崎君に召し上がれって言うべき?」
「さあ?」
中井さんのボケ(かどうかは知らないが)に首を傾げつつ、朝食を食べ始める。
「中井さんはここで何をしてるんだ?」
「私は見ての通り、本を読んでるの?」
少し食べたところで、気になっていたことを中井さんに聞くと中井さんは読んでいた雑誌を見せてくれた。
「『Magic Fun』?」
「うん。魔法に関連している人の記事とか、色々な物が載っているんだよ。魔法使いとかなら読んでおいても損はないかも」
独特な表紙をしているその雑誌は魔法使いにとっては重宝するものらしい。
「読んでみてもいいか?」
「もちろん!」
俺の頼みを、嫌な顔一つせずに聞き入れてくれた中井さんは、雑誌を渡してくれた。
そして、それをぱらぱらと読み進める。
(なるほど、これは確かに魔法使いにとっては有益だな)
軽く読んでみて抱いた感想を俺は心の中でつぶやく。
その雑誌には、魔法使いの読者の魔法関連の悩みを相談し、それに対するアドバイスを掲載していたりするコーナーがあった。
例えば、飛行魔法が使えないという読者からの質問に対しては、『飛行魔法はまずは頭の中での想像力とベクトルの操作を習得することが使えるようになる近道』という回答になっている。
俺自身も「なるほどな」と頷いてしまった。
「ん?」
そんな時、俺はその記事の一部分に目が留まった。
「どうしたの? 尾崎君」
中井さんの声が耳に留まらないほど、俺は動揺していた。
「あ………」
いつの間にか俺の横に移動して記事を覗き込んでいた中井さんは、俺の様子がおかしい理由を悟った。
「ごめんなさい。私、そういうつもりじゃ……」
「分かってる。俺の方こそ悪い」
申し訳なさそうに謝ってくる中井さんに、俺はそう言った。
そこに載っていたのは、『本日のアドバイサー』という欄にあった顔写真だ。
腰まで伸びる銀色の髪に、くっきりとした青い目、そして整った顔立ちから見て誰が見ても美少女と言われるであろう人物だった。
名前は『神谷 敦子』
そう、彼女こそが神谷家の次期当主なのだ。
今の俺とは対極に位置する人物。
そんな彼女の活躍は、俺にだって伝わってくる。
「……」
「……」
お互いに気まずい空気が流れる。
なんとか違う話題を振らなければ。
(でも、何を言えばいいんだ?)
話題を考えても、碌な話題がない。
いよいよ手詰まりになった時だった。
「あれ、尾崎君に中井さん。どうしたの?」
「うわッ!?」
「た、田土先生」
突然かけられた声に、俺は驚きのあまり飛び跳ね、中井さんは驚いた様子ではあったが俺よりは落ち着いた様子で声を上げた。
「えっと、話題を考えていたら軽い悪循環にはまりまして………」
「……?」
俺の説明に、分からなかったのか田土先生は首を傾げる。
まあ、それが当然だけど。
「ところで、田土先生は何をしているんですか?」
「え、ああ。私はこれから寮の備品を買いに行く所なんです。今日は何だか忙しくて」
中井さんの問いかけにため息交じりに答える田土先生。
確かに教師の仕事に寮長の仕事……大変なのは一目瞭然だ。
「あの」
「ん? あ、尾崎君。悪いけど食器は自分で洗ってもらっても良い?」
俺が声をかけると、田土先生は思い出したように聞いてきた。
「はい。それで、もしよろしければ備品を買いに行くのは、俺が行きましょうか?」
「え? 私はいいけど、尾崎君のゆっくりする時間が減らない?」
ちょっとだけずれた部分の心配をする田土先生。
まあ、確かにゆっくりする時間は減るが。
「大丈夫です。元々、休日は何も予定がないですから」
「そう? だったら、お願いしようかな」
「あの!」
田土先生が頷いたことで、備品の買い出しに行くことが決まった時、今まで静観していた中井さんが声を上げた。
「私も一緒に行っても良いでしょうか?」
「中井さんも? ………ふふ。ええ、もちろんよ」
中井さんの申し出に、田土先生は俺と中井さんの顔を交互に見ると笑みを浮かべた。
こうして、休日の俺達に買い出しの役割が与えられるのであった。
ということで、第25話でした。
最近一次限定のスランプに陥っていまして、執筆意欲がわかない状態です。
プロットはできているんですが、それを見ても大丈夫なのかなと不安を覚えてしまうほどです。
そのため、現在は執筆速度を大幅に落として執筆をしています。
次話も投稿できるのは、同じくらいの時間がかかると思っていただけるよろしいかもしれません。
あらすじのほうにて、月一ではありますが随一執筆状況をお知らせいたしますので、そちらの方を確認していただけると幸いです。
それでは、これにて失礼します。




