第八話 ゲームの終わり~The end of the game~
またデスパレを読んで頂きありがとうございます。
死神VSDGsの戦いが終わり、その直後のDGs側の話になります。その後にいったい何が起きたのか。
今回は主人公側は登場しません。
それでは第八話スタートです。
第八話の主な登場人物
榊隆二:デッドゲームズのリーダー
木原誠:デッドゲームズの副リーダー
松田慎平:デッドゲームズの幹部
河原藤次:デッドゲームズの幹部
伊那拓斗:デッドゲームズの幹部
川合友香:中学生
第八話 ゲームの終わり~The end of the game~
二月五日午前七時
幹部 3 人の松田と河原と伊那は目が覚めた。
「寒!」
一晩を屋上で過ごしていたのだ。
たばこに火をつけながら伊那は言った。
「もう終わったよな?どっち勝ったんだろうな?」
河原が答える。
「さあな。見に行くか?」
松田が笑いながら言った。
「何気ない顔でさ。いや~やっぱ死神つえ~わ~みたいな!あははは!」
少し離れた所から声が聞こえた。
「お前ら、殺すよ。」
木原だった。それを見た 3 人が怯えた。
木原は反対側の校舎屋上のフェンスに、3 人に背を向けた形で座って寄りかかっていた。
校舎の真ん中には時計と放送室があり、屋上は右と左で分かれていた。
木原の足元には榊が倒れていた。
「ま、誠くん!え?りゅうちゃん何かあったの?」
木原は声を荒げた。
「お前らが、いなかった、から、だろうが!俺らは、負けたんだよ!」
木原に促され、3 人は恐る恐る下に状況を見に行った。
5 階に降りた。
「げっ!ゾンビがいる!」
5 階にはゾンビが 1 体いた。更に、物音を立てずに 4 階に降りる。
4 階にはゾンビが 3 体いた。
「あれって、下部メンバーだよな?あんな服着てる奴いたよ。」
一体何が起きていたのか理解は出来なかった。
3 人は再び屋上に戻った。
今から 7 時間前
気絶していた下部メンバーが次々に起き始めた。
「くそ!痛てて。 」
何人かが手を貸して起こしていく。
「こいつ、死んでるのか?」
倒れている生存者だった一人を見て言った。
その男は噛まれた跡のある男だった。しかし、急に体を起こし、メンバーの腕に噛みついた。
「痛てぇ!!もう終わったんだよ!離れろ!」
顔を押しのけるも、噛みついて離さなかった。
もう一人が後ろから羽交い絞めをして強引に引っ張った。噛みついていた力が強く、肉ごと引き千切れた。
月明かりが窓に差す。
「ゾ!ゾンビじゃねーか!」
噛まれた跡がある男は、やはり感染していた。それは、すごく浅かった為、進行も遅く本人も気づいてはいなかった。この戦いにおいて、体を動かしていたことにより、進行が早まり更に、死に至る衝撃を受けて転換した。勇樹がつけたフェーズだと、フェーズ 2 が飛ばされいきなりフェーズ 1 から 3 になったようなものだった。
ゾンビは更に後ろにいた男の腕にも噛みついた。
最初に腕を噛まれた男が走って、5 人のいる方に駆け寄った。
こちら側にいるメンバーの方が、外傷は酷かった。
「お前ら!逃げるぞ!ゾンビがいる!」
脚を撃たれた男は這って行こうとしたが、すでにゾンビはそこまで来ていて喰われてしまった。
体の痛みを感じる所を押さえながら、5 人は 1 階に向かった。
1 階にはドアが開けっぱなしだった為、すでに複数のゾンビがいた。
気づかず 1 人が噛まれて連れて行かれてしまう。その男がもう一人の腕を引っ張り、伸びた腕にゾンビが噛みついた。他のメンバーが体を引っ張り、引き離した。再び 2 階に上がり次は 3 階を目指す。階段を上っている最中に足を掴まれ、もう一人が噛まれてしまった。自ら足蹴りをして、ゾンビから離れられた。
3 階には木原が倒れていた。
「木原さん!起きて下さい!」
体を揺らし、木原は気絶から目を覚ます。顎の骨が砕けているような感覚だった。
噛まれていない2人が木原の体を支え。
「上にりゅうちゃんがいる。上に連れてけ。」
2 人に支えられながらも階段を上った。
4 階に着き、榊の部屋を開けたがそこにはいなかった。
「3 人は、ここで探せ、お前は、上について来い。」
4 階に残った 3 人だが一人は既に噛まれていて、今にも倒れそうな程だった、傷も癒えていないままだったのでフェーズ 3 に移行するのが早かった。その男は倒れた。そして転換して 2 人を襲った。
5 階に着いた、木原は榊の部屋に入った。
「りゅうちゃん!ごめんな。俺が、弱かった。」
木原は泣きながら、榊の体を担いだ。
一緒に来た男はその場で倒れたが、木原は無視をして、屋上に上がった。
現在
幹部 3 人が屋上に戻った時には、榊は起きていた。
この 3 人は榊と木原がいる屋上ではなく、元々いた自分たちの方にもどったのだ。
2 人は屋上から外を見ていた。
「腹減った~。誰か、あの門の目の前の家とか調べた?」
榊が 3 人に言った。首を横に振った。
「俺とりゅうちゃんはもう体動かねーからさ、お前ら行って来いよ。」
3 人は誰が行くかで揉めていた。じゃんけんの末、松田が行く事になった。
どちらにしても食料が不足して、飢え死にしてしまうのだから、誰かが確認をする必要がある。
松田は、走りながら階段を駆け下りていき、途中で金属バットを拾った。それを振り回しながら何とかグラウンドに出る事ができた。グラウンドは広かった為、ゾンビからは逃げやすく門の家の前に辿りついた。
「まっつー(松田の愛称)やるじゃん!」
それを見ていた榊が言った。
家の塀を上り、玄関ノブを回すと開いていた。
意を決して松田は玄関を開けた。
そこには、1 体のゾンビが倒れていた。頭部は潰され、死んでいる事は確認できる。
更に、奥の方から唸り声が聞こえる。
襖を開けるとそこにいたのは、口元はタオルで縛り両腕と両足を固定されているゾンビが2 体横たわっていたのだった。
「ゾンビ!でもなんでこんな事に?」
松田は不思議に思ったが、そのまま 2 体のゾンビにとどめをさした。
その後、キッチンの冷蔵庫や戸棚を見てみたが、食料は何もなかった。
物音が 2 階から聞こえた。階段前には、犬用の柵が立てられていた。
きっと、バリケードのつもりだったのだろうと思った。
それを軽く乗り越え、松田は恐る恐る 2 階に上がる。
2 階には 3 部屋があり、1 部屋だけから物音が聞こえていた。
ゆっくりと部屋のドアを開ける。
中には人らしき者がいた。
「うわぁ!」
松田は声を上げてバットを振り上げた。
「きゃぁぁぁ!!」
その者は振り向き悲鳴を上げた。
松田は振り上げたバットを降ろす。
「お、女の子?あぁ、その、ごめんね。驚かして。 」
「誰ですか!?お父さんとお母さんは!?」
松田は慌てて、自分が何者なのかも含めて、状況を説明した。DGsの事は話していない。
川合友香 13 歳 中学生
パンデミック後は、家で両親と共に避難をしていた。
だが、両親は友香に何かあってはいけないと思い、2 階で生活をさせる事にした。
食料や水、生活用品までを全て 2 階に運んでいた。
それ以降は、一度も下には降りていなかった。
松田は罪悪感に襲われた。
先程の家で倒したゾンビは、友香の両親。
状況を整理すると、家にゾンビが入ってきて、そのゾンビを両親が倒すも、噛まれてしまったのだろう。その後、家の中にいる友香を襲わない為に、両親自らが体を縛りさっきの状況だったという訳だった。
2 人は 1 階に降りた。
ゾンビになっていた両親の前で、友香は泣き崩れてしまった。
「ごめんな。突然家に入って、状況も知らずに。 」
友香は首を横に振りながら言った。
「大丈夫です。松田さんが来なければ、私は何も知らずに、そのまま死んでいたかもしれませんので。ありがとうございます。 」
再び松田は罪悪感に襲われた。
デッドゲームズとして、好き放題やっていた事に後悔しかなった。
感謝される言葉が重く圧し掛かる。
その後再び 2 階に戻り、1 つの部屋には食料がまだ沢山残っていた。
2人で食事をしながら会話をした。
「友香は髪の毛がぼさぼさだな。 」
パンデミック以降は、一度も髪を洗っていなかった。
油でぎとっとした髪に痒みや匂いも。
「俺はさ、こうなる前は美容師だったんだよ。シャンプーとカットやってあげる。 」
再び 2 人は 1 階に降りて、風呂場に入った。浴槽には水が貯められていた。
両親が水に困らないように、貯めていてくれたのだろう。とても綺麗な水だった。
何度か水を汲み、カセットコンロで湯を沸かして、お湯をバケツに貯め込んだ。
友香はパジャマに着替えて浴室の椅子に座った。
松田が友香の頭にお湯をかけて、洗っていく。
「お客様。どこか痒い所はございますか?」
友香は笑顔で答えた。
「あはは!全部痒い。 」
その日は、日が暮れてしまったため、髪の毛を洗うことで終わりにした。
午後五時半―学校側―
中に入った松田を見ていた 4 人だったが、出てこない事に苛立ちを覚えた。
「まっつーやられたかな?」
榊が口を開いた。
榊は既に血は止まっていたが、左腕は動く事はなかった。
木原はウェンの BB 弾により、左目眼球に傷があり今も見えてはいない、更にあごの骨は割れていて喋るのも痛かった。発熱もあり体の怠さもあった。
「明日も帰って来なかったら、お前らが見に行けよ。 」
榊は河原と伊那に言った。
二月六日午前八時
松田は家の中でハサミや櫛を探し出し、準備をしていた。
友香が部屋から出てきて浴室に移動した。
「お客様、今日はどういった髪型にいたしますか?」
ほほ笑みながら答える。
「お兄さんのお任せでお願いします。 」
松田がハサミを入れて髪を切っていく。
その目には涙が溜まっていた。鏡越しに見ていた友香が心配そうに言う。
「松田さん大丈夫?」
「あぁ。ちょっと、こうなる前の事を思い出してね。 」
正にプロの手捌きで髪の毛を切っていく。
「なぁ友香?今日準備してさ、明日の朝には2人でここをでようか?」
友香は満面の笑みで答えた。
「うん!」
ヘアカットが終わり、友香は嬉しそうだった。
それと同時に、松田は思った。
自分の職は、この終末世界では何も役に立たないと思っていたが、人を喜ばせる事が出来る、まだ幸せに出来るんだと感じた。
そして、2 人は準備を始めた。
大きなバックに食料を詰め込んだ。
家の裏庭に松田は穴を掘った。友香の両親を埋めるために。
午後六時八分
「腹減ったー!」
榊が空腹で苛立っていた。
河原と伊那には下に食料を取りに行かせたが、全ての食料は死神達に奪われていた。
松田の帰りを待つしかなかったが、2 日待っても帰っては来なかった。
グラウンドや校庭内はゾンビの数が増えてきている。
4 人はただ、上から見ている事しか出来なかった。
二月七日午前六時半
松田は、友香の両親を裏庭に埋葬した。
2人で手を合わせて、家の中に戻った。
松田は友香の両肩に手を置き、
「上から荷物持ってくるから、ちょっと待ってて。 」
そう言った直後、玄関が勢いよく開いた。
河原と伊那だ。
玄関側からは友香の背中が見えていた、松田が襲われているように見えたのだろう。
「まっつー!!てめぇゾンビ!」
河原が振り下ろしたバットは友香の頭を強く直撃。
松田の両手から友香は崩れ落ちた。
「え!?」
松田は放心状態だった。
「大丈夫まっつー?」
伊那が松田の傍に寄ってきた。
「お前ら何してんだよ!友香!友香!」
松田は泣きながら、友香の体を抱き起した。
即死だった。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
松田は置いてあったハサミを伊那の首元に突き刺した。
それを見ていた河原は、恐怖で外に飛び出す。それを追いかける松田。
河原は目の前にゾンビがいて、立ち止まった。その隙をついて、松田は後ろから蹴り飛ばし、倒れた背中めがけてハサミでめった刺しにした。
「やり直せると思ってたのに!」
松田はゾンビに噛まれたが、構わず河原の背中を刺しまくった。
そして、ゾンビを振り払い、学校に向かって走り出す。
午前八時九分
学校屋上のドアが勢いよく開いた。
上から見ていた榊が言った。
「な、何があったの?おかえり・・・。 」
喋る間もなく、松田は榊に噛みついた。続いて、座り続けている木原の腕にも噛みついた。
「俺たちは間違えてた!」
松田は涙ながらに木原に言った。
松田は木原の腕に噛みついたままだったが、木原の力で持ち上げられて、屋上から投げ落とされた。
「まっつーって噛まれてたよね?俺たちこのままゾンビになるってこと?」
榊は怯えていた。
「りゅうちゃん、もう、俺たちの、ゲームは、終わりなんだ。 」
木原はもう、生き残れないと確信をしていたのかもしれない。
デッドゲームズ 全滅
第八話 終わり
ここまで読んで頂きありがとうございます。
彼らの最後は自分達で崩壊するという結末は決めていました。初めての対人戦で、ゾンビよりも書く難しさはありました。
次はいよいよ勇樹達がどうなったのか。
次回予告
決戦後の死神と生存者達、勝利したが勇樹と星来は瀕死状態。
第九話 命の代償
また読んで頂けると嬉しいです。
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