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DEATH PARADE  作者: 電源優寿
第二章 死神~The Grim Reaper~

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6/12

第六話 混沌とした世界~A chaotic world~(前編 ep.1)

デスパレ第二章始まります。

話の始まりは都庁の件から三週間後になります。

パンデミックがもたらした人のエゴが生田家とどう絡むのか。それにどう立ち向かうのか。

また読んでいただきありがとうございます。

それでは第二章第六話スタートです。

第六話の主な登場人物


生田勇樹(いくたゆうき):本編の主人公

生田ウェン(フィリピン人):勇樹の妻

生田星来(いくたせいら):勇樹とウェンの息子

ジーン(フィリピン人):生田家と共に行動する家族的存在

榊隆二(さかきりゅうじ):デッドゲームズのリーダー

木原誠(きはらまこと):デッドゲームズの副リーダー

強面の男性:元ヤクザ


第六話 混沌とした世界~A chaotic world~(前編 ep.1)


あれから、3 週間が経過した。

スーパー銭湯を拠点に、私たちはコンビニやスーパーマーケットを巡り歩き、その日の食料を確保しながら歩いていた。

都庁の件以来、度々耳にする「死神に会えれば助けて貰える。」という言葉。なんとも不思議な話だ、死を司る神が生者を助けるなんて。でも実際にはそうだった、建物の中に避難している人たちは少なく、大概が屋上や立体駐車場といった高さを利用したゾンビの侵入を防げる場所を生活圏としている。

私たちが行くまでは、命懸けで食料や生活品を確保していた。犠牲もあったようだ。

下層を制圧して屋上や駐車場に行けば、大体生存者達はいる。下が安全な事を伝えると、神でも崇めるかのように感謝をされた。

だが、それは気持ちがいいものではない。例えば、そこに誰もいなければ食料は全て自分たちのものになるが、人がいた場合は分け与えないといけないという良心が働く。仮に見捨ててしまえば、私も菅原と同類になってしまう。

そうしていくうちに『死神』という呼称が広まった。

もっとも多く広めたのは、都庁前にいた生存者達だろう。いくつか開放していくうちに彼らに会うこともあった。

少数の自衛官が残り、彼らを救出してくれたそうだ。


二月三日午前十時二十四分


いつも通りにスーパーマーケットに寄った。

店内には数体のゾンビがいる。それらを倒して駐車場の方に向かった。

やはり生存者はここにもいた。駐車場にテントが張られていて、寒さ対策で炭や木を燃やしている。

「皆さん!下は安全です。食料も持ってきました。今のうちに出入口を塞ぎましょう。」

安堵した表情と感謝の言葉を述べて行った。

皆が下に降りていく中、一人の男性が話しかけてきた。

「あんた達が死神だろ?デッドゲーマーズというグループを知っているか?」

始めて聞く名だった。更に彼は続けて言った。

「若者を中心としたグループだ、そもそも俺たちもずっとここにいるわけじゃない。転々として生きていく中で、そのグループに出くわした。」

最初は何を言っているのか分からなかった。更に別の男性が言った。

「最悪のグループだよ。この世界にはもう秩序はない。」

続けて話していく中でグループの実態が分かった。


―デッドゲーマーズ―

リーダーの榊(さかき)と副リーダーの木原(きはら)を中心としたグループ。

彼らは 20 代前半らしく、メンバーは 20 名ほどいて同年代で構成されている。中学校を拠点としていて、そこにはゾンビはいなかったという。

最初は逃げ込んだ人達に優しくして居座らせようとする。

次第に態度が豹変していく中、取引が始まる。

女性を置いていけば、ここから逃げてもいい。一緒にいたいなら食料確保の為、外に出るよう促される。

食料を確保する為に外に行くが、グループのメンバーはそれぞれ外から来た人達に首輪をつけて一緒に行動をする。ゾンビに襲われそうになったら、その人達を盾として逃げるという方法だった。運よく生きのびれても、それが嫌で逃げ出す人達もいた。

女性はというと、食料と生活品と生き残れる保証を引き換えに、そのグループの欲を満たすために閉じ込められているという。もはや、この終末世界において、好き勝手をやっている無法集団だった。


「頼む!あいつらを殺してくれ!」

涙ながらにその男性はお願いをしてきた。

「ワタシソイツラユルセナイ!」

ジーンは怒りで燃え上がっていた。ウェンがジーンの怒りを抑える。

「私たちは人殺しをしません。あくまでもゾンビから皆を救うだけです。」

男性が落胆したように表情が一気に落ち込んだ。

星来が私の服を引っ張り、やってあげるべきではという目をしていた。後ろを振り向くとウェンとジーンも同じ目をしていた。

「わかりました。でも、私たちは殺しません。女性達の救出が大前提です。」

表情が明るくなり、握手をされた。どうやらこの男性も娘さんを取られてしまったらしい。後ろにいた男性は彼女を取られたそうだ。

ひとまず、場所もうろ覚えらしく、拠点を探すところから始まった。地図をもらったので、1 件ずつ学校を探していくことにした。


午後五時


道路の状況やゾンビに阻まれ、今日は 2 件の学校を見て回る事しか出来なかった。

その 2 件とも、校庭にはゾンビがいて、人が生活をしているような雰囲気はなかった。

今は自分たちの拠点に戻っている。

私たちの生活のリズムが一定になってきた、毎日 3 時間程はソーラーパネルからの電力で電気が使える。不要な電気は、極力抑えていっている。

食事をしながら、明日の探索する場所を探していた。

突然背中に散弾銃で撃たれたような衝撃が走った。

「痛ってぇ~!!」

後ろを振り返る。

「ワリィ~ゴワイネェ~ガァ!」

ウェンが鬼の形相で BB 弾を投げてきた。そう、今日は節分だ。豆は貴重だから、どこで見つけてきたのか BB 弾を大量に持っている。

「節分の解釈間違えてる!」

ジーンと星来も悪ノリをしてウェンに便乗した。

こんな時でもイベントを大事にして笑いが絶えない事は、生き抜いていく中にも大切だ。本当に感謝しかない。だがしかし、痛い。


二月四日午前七時


朝食を取り、出発の準備をする。

今までは大きなバッグを背負いながら移動をしていたが、今はここを拠点として活動をしている為、普通サイズのリュックを背負う事にしていた。

今日は行く場所を絞っていたのと、ルートも確認していたのでスムーズに行動が出来ると思っていた。

「じゃあ行こうか。」

いつでも 4 人は行動をともにしていた。

ゾンビ達の活動もだいたいわかってはきていた。

朝=動きが鈍い。

昼=最も活発に動いている。

夜=動きが鈍く歩を止める事もある。

出来れば夜に移動はしたいが、それは人間も同じで以前のように街灯はなく、動きに制限がかかってしまう。

日の出と共に行動をするのが、一番効率が良かった。

事前に決めていたルートを歩いていると、前方に大型トラックが事故を起こして転倒していた。道が塞がれていたので、仕方なく迂回をして大通りの国道を歩く事にした。

大通りにはゾンビの群れがいる。大体が数百単位で移動をしていたりする事が多い。

ゾンビの群れを突きって行く時に、前方から人の声がした。いや、笑い声だ。

ゾンビの隙間越しに見える。律儀に旗を掲げていた。

「DGs・・・デッドゲーマーズか!?」

助けを求めてきた男性の言った通り、首輪を付けられていて男性がゾンビの前に放り出されている。私たちはアイコンタクトをして駆け寄って行った。

「ん?全身黒ずくめに白いマスク、刀を持ってる 4 人組。死神だ!おい!逃げるぞ!」

DGs のメンバーは、首輪を繋げていた男性達を放り出し、逃げていった。

私たちは急いで駆け寄り、ゾンビを片付けたが数名が噛まれてしまった。ひとまず噛まれた人たちも含めて、ビルの中の安全な場所に移動をした。しかし、いつ転換するか分からない為、一時的に全員を隔離することにした。

そして、ガラス窓があるドア越しに話を聞いてみる。

「彼らがデッドゲームズというグループですか?」

一人の中年男性が答える。

「そうです。我々も集団行動をしていました。ある中学校に行ってみたら、そこにはゾンビがいませんでした。これで安心して避難が出来ると思ったのですが。」

「あいつらの拠点だったというわけですね。その場所を教えて下さい。」

その男性は涙ながらに訴えてきた。

「お願いです!娘を助けて下さい!」

星来がドアに近づいてきた。

「ななのお父さん?」

男性は目をきょとんとした状態で硬直した。頭の整理がついていないようだった。

星来がマスクを外し、顔を見せて言った。

「ななと同じクラスの生田星来です。お父さんの顔は学校行事で何度か見てます。」

私たちも全員マスクを外し、再度挨拶をした。

男性は私たちの顔を見て大号泣をした、一番は星来の顔を見た事だろう。娘の同級生が日々生き抜くために戦っていたこと。私たち家族は離れずに行動をしていた事。自分もそうするべきだったと後悔を漏らした。

「ということは、ななが捕まってるってことですか?」

男性は頷いた。

星来の顔に怒りが込み上げてきた。

「パパ!すぐに行こう!」

星来が刀を握りしめ、足早に駆け出していこうとしたが、私は星来の腕を掴んだ。

「まだ駄目だ!ここにいる人たちの安否が先だ!感染者かそうでないかはすぐには分からない!」

体を見せて欲しいといっても拒否をする人がいた為、すぐに判断ができていなかった。

星来は苛立ちながら物にあたっている。それを見て私は再度閉じ込めている人達に聞いた。だが、答えは同じだった。

「見せても問題がない人だけ、こちらに立って服を脱いで下さい。」

10 人中 5 人が見せてくれたが、1 人には噛まれたような跡があった。傷は浅いが信用は出来なかった。そのまま無事な 4 人を外に出した。

その内の 1 人に、ななのお父さんがいた。

私は、星来とウェンとジーンを集めて話をした。

「パパがこれから学校に行ってみる。ひとまず状況を確認しに行きたい。3 人はここで生存者達を見守っていて欲しい。状況によっては・・・分かるな?事が片付いたら合流しよう。 」

星来も行きたがったが、相手は大人の男グループだ、なにも状況が分からないまま行くのは無謀だと感じた。それに、女性 2 人を置いていくのも心配だった為、子供である星来がいれば、ここにいる男性達も自制心を保てるだろうと考えていた。とは言っても、この 2人は既に最恐だから、手を出そうものなら斬られてしまうかもしないがな。想像すると背筋が震えた。

DGs と学校内の状況を聞いてみた。

まずグループ構成はリーダーの榊と副リーダーの木原を除いて、21 名がいる。

その中に幹部と言われていた、他の指示役が 3 名いたらしい。残りは実行役だが、今までの話しを聞く限りは、その 5 名を除くメンバーは捨て駒だろうと思っていた。恐らくは、榊と木原が完全に支配をしている。

学校は 5 階建てで、1 階は逃げ込んできた人達の生活場所。2 階は実行役(捜索班)達の生活場所。3 階の教室に女性達が囚われていて、4 階が幹部達の教室をまるまる使用した部屋になっている。5 階には非常用の部屋にしているそうだ。

だが、私の勘だと 5 階に食料などを備蓄している可能性がある。

「最悪の事態が起きても、幹部達だけは逃げれるという事か。」

私はリュックの中身を出して 3 人に預けた。ビル内に使えそうなものを探してそれらをリュックの中にしまった。

「じゃあ行ってくる。」

3 人とハグをして学校を目指した。


午後二時十五分―デッドゲームズサイド―


「お前ら!なんで収穫がねーんだよ!」

1 階の下駄箱前で、リーダーの榊が怒鳴っていた。

榊は小柄だが、何をするにも手段は選ばなかった。

先程の勇樹達と遭遇したメンバーが手ぶらで帰って来たことに腹を立てていた。

「いや、死神に遭遇しまして。このままでは、俺たちが殺されるかと・・・。」

死神という言葉に榊は一瞬怖気づいてしまった。

副リーダーの木原が逃げ帰ってきた男達を殴った。更に胸座を掴み、

「関係ないだろ。俺のたばこは?もうねーから今からでも取りに行って来いよ!」

木原は 190 ㎝を越える大男だった。その威圧感で他者を服従させていた。

慌ててメンバー達は外に出て行った。

「りゅうちゃん(幹部だけが呼んでいる榊の愛称)は頭いいんだからさ、そんなのにビビッてちゃだめだよ。死神なんて中身は人間だろ。俺がいるじゃーん。 」

木原は榊に肩を組みながら言った。

他の幹部 3 人もそれを見ていた。5 人全員で 4 階に上がり、一つの部屋に入った。そしてそこで会議を始めた。

「死神は、ゾンビに対しては何かしら有効な手段を持っているらしい。何万という群れの中を平気で歩いて、何万というゾンビを倒したとか。更にゾンビを操っていてゾンビの王様とかいう奴までいる。」

榊は青ざめた表情で言った。

「そんなのは話を盛ってるに決まってる。」

一人の幹部が嘲笑うかのように言った。

「さっきの奴らの話しだと、本当にゾンビの中を歩いていたらしい、しかも走って追いかけてきた。」

自分達では出来なかった事に、疑心でありながらも榊の思考は混乱していた。

木原がたばこを吸いながら言った。

「もしここに来るなら俺が殺す。りゅうちゃんは女でも抱いてればいい。」

ニカっと笑いながら榊を見た。

この幹部 5 人はもともと友達だった。

一緒に遊んでいた時にパンデミックが発生。1 週間は逃げ惑いながらも、現在の学校を見つけた。その後は、榊の機転で自分達だけが美味しい思いをして、自分達だけが危険にならないように組織として組み立てていった。生存者は、表に立てられた看板を目にすると安全なんだと寄ってくる。下部メンバーが死んだ場合は、生存者の若い人間を利用して補充する。報酬は女性、故にメンバーは男しかいない、それがデッドゲームズだった。

「そういえば、昨日小学生の女の子が入ったぜ。かわいい顔してたな。」

木原がぼそっと言うと、榊の顔色が変わった。

「見てくる!」

4 人は笑いながら榊を見送った。


午後五時十一分―勇樹サイド―


場所は見つけた、あいつらが入って行く所も見た。

私は物陰に隠れながら、暫くの間観察をしていた。

どうやら裏から入って行けるらしいが、正面にも裏にも門番らしき人が立っていた。

侵入する事は難しい。正門から向かって右側には体育館があるが、手前のフェンスを昇るには高さがある。しかし、体育館沿いで歩いていけば、誰にも見つからずに校舎の中に入れるだろう。

この学校は住宅街の中に位置している。すぐ隣には家が建っていて、学校のフェンスは隣の家のすぐ近くだった。私は周り込んでその家の庭に入った。

ケーブルカッターを持って来ていたので、フェンスを切っていった。

上手く中に侵入する事が出来た。後からきた 3 人が分かるように、目印を付けながら入っていった。

体育館脇から校舎を見てみる。

教室には明かりがついているように見える。奴らはきっと人を利用して、ポータブル電源をかき集めたに違いないと思った。

体育館の扉がわずかに開いていた。中を覗き込む。

「どういうことだ!?」


同時刻―星来、ウェン、ジーンサイド―


閉じ込めていた内の一人の男性が苦しみ始めた。

「お!おい!開けてくれ!こいつこのままゾンビになるんじゃないか!?」

強面の男性が慌てて僕たちに言った。

「ゾンビナタラ、ソレノカタイデ、アタマタタク。」

冷静にジーンが転がっていた水筒を指さしながら言った。

強面の男性の顔が引きつった。

「悪かった!俺は噛まれてないんだ。実は入れ墨があって・・・そんな俺があんな小僧共に使われてるという事が、恥だった。あんた達を見ていてそう思った。」

しかし、僕たちは拒否をした。

暗闇で懐中電灯しかない中で、確認をする事は出来ない。

「オトコデショ?」

ウェンが冷たい目で見て言った。

その部屋の中は、強面の男性と噛まれたような跡があった人以外は、とても苦しそうに見えた。強面の男性が凄い発汗量だった。

次第に、4 人の傷口から血が流れ始めてきた。

パパはいつも冷静に感染者を見ていた。ゾンビになるまでの間には、フェーズ 4 まで段階がある。

フェーズ 1:異変無し(人によって時間は様々)

フェーズ 2:活性化(体の痛みが伴うもっとも辛い時間)

フェーズ 3:死亡

フェーズ 4:転換(ゾンビ化)

現在はフェーズ 2 の段階だ。

「最後の言葉を聞いてあげて下さい。」

僕が強面の男性に言った。

男性が大きく頷き、4 人の話を聞いて回った。

男性は泣いた。

「お前ら、こんな事いつもしてたのかよ。・・・辛すぎる。悔しすぎる。」

僕たちもなんだか報われたような気がして、涙が零れそうだった。死神と呼ばれて、初めて共感してくれた。間違ってなかったと思えた。

ジーンは既にボロ泣きだ。

4 人が順番に静かになり、息をしなくなった。

僕はドアを開けて止めをさそうとしたが、強面の男性が僕の刀を握った。

「最後の言葉を聞いたのは俺だ。俺にやらせてくれ。」

そう言うと、4 人の頭に刀を刺していった。

僕に刀を返して、再び部屋の中に残りドアを閉めた。

「後は、俺とコイツだが、どうする?」

僕は早く学校に向かいたかった。

ここでママが提案をした。

「コノママミンナイク、フタリ、ワタシトジーンイッショ。Phase2 ナタラ、ショウガナイ。」(多分ママのショウガナイはフェーズ 2 になったら殺すということだ。)

学校には全員で向かう、パパの計画もそうだった。


「待っててね!なな!」


第六話 終わり 

特に文字数はこだわっていないのですが、やっぱり書いていく内に長なります。

今回のDGsの話しは一話で纏めたかったのですが、前編と後編に、もしかしたらもう一話増えるかもしれません。

次回予告

死神 VS DGs

第七話 混沌とした世界(後編)


最後まで読んで頂きありがとうございます。

面白いと思っていただけたら高評価とブックマークをお願いいたします。

てはまた第七話でお会いしましょう。

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