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DEATH PARADE  作者: 電源優寿
第一章 日はまた昇りくり返す〜The sun rises again and again〜

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3/12

第三話 光の照らす方へ〜To those who shine the light〜

優寿です。

第三話になります。

だいぶ内容が濃いかなと思います。力込めて書きました!

第二話で終わった所からの続きになります。


また読んでいただきありがとうございます。

第三話の主な登場人物


生田勇樹(いくたゆうき):本編の主人公

生田ウェン(フィリピン人):勇樹の妻

生田星来(いくたせいら):勇樹とウェンの息子

ジーン(フィリピン人):生田家と共に行動する家族的存在

渡辺夫妻(わたなべふさい):青果店を経営する夫婦

秋元慶(あきもとけい):勇樹とウェンを助けた青年

秋元葵(あきもとあおい):慶の妹


第三話 光の照らす方へ~To those who shine the light~


会社を出てまずは、寄りたい場所があった。同じ商店街の並びに、骨董品屋がある。数年前に閉めてしまったが、以前に寄った時は、物はそのまま置いたままだった。

私たちは、商店街のメイン通りに出た。

ゾンビはもう数十体はいるだろ。

私が先頭に、2 番目に星来 3 番目にウェン、最後にジーンと一列になりながら歩いていく。最初は、4 人が手をつないでくっついて歩いていたが、まるで私たちが歩く道だけを空けるかのようにゾンビ達は散っていく。その姿を見て 3 人は安心したため、一番歩きやすく守りやすい一列になった。

「ここだ。」

骨董品屋に着いた。裏口の玄関に周ったが開いてはいない。私は手に持っていたバールでドアノブを破壊していく。

「パパ!そんなことして大丈夫なの!?」

星来が心配そうに聞いてきた。

「ここの人は去年亡くなっている。ここは空き家だ。ジーン!ゾンビが来ない様に見張ってくれ!」

ジーンは慌てて、正面入り口の方を見て、音に寄ってくるゾンビの警戒をした。

私は、力を込めて何度もバールを振り下ろしていた。

「よし壊れた!開いたぞ!中に入ろう。」

ジーンを呼び戻し、私たちは骨董品屋に入った。

店と居住が一体化している為、私達が入ったのは居間からだったが、今更と思い靴は脱がなかった。

目当ての物を探す。

「あったぞ!」

私が探していたものは、『刀』だ。

骨董品屋の爺さんはいつも手入れをしていた。私たちに剣術を心得ているものはいないが、近接武器として最強なのは間違いないと思っていた。

そこには6本の刀があった。持ってみると意外と重く、女性や子供が扱うには多少困難だった。私が腰に2本と、バッグに1本を固定した。

3 人はそれぞれ1本ずつを腰に差す。

「Wow! Samurai!」

ジーンはなりきっていた。

星来は、何かに取り憑かれたかのように

「拙者、訳あって旅の途中でござる。切り捨て御免でいざ候。」

皆で爆笑をした。

その時ドアが開いた。

ゾンビか!?

「あなた達!人か!?何をしているの!?」

私達はかなり驚いた。冷静によく見ると、隣の青果店の渡辺さんだった。先程の音を立てたことにより、窓から見ていたそうだ。裏口から壁を上ってこちら側に来た。

「わ・・・渡辺さん!危ないから家に戻ったほうがいい!」

強く言ったが、私達を警戒して玄関口に立ち往生していた。仕方なくマスクを外し正体を告げた。

「生田です、妻と息子とうちの会社のパートです。ここには、刀を取りに来て。」

3 人ともマスクを外した。

しかし渡辺さんは、強い口調で私達にまくしたててきた。あらぬ事を言われ、私は反論をして口論になってしまった。渡辺さんの旦那さんも駆けつけてきたが、両手には包丁を持っている。2 人とも顔に血が上り真っ赤だった。

「わかりました!刀は置いていきます。何も盗らないので私たちを逃がして下さい。」

持っていた刀を床に置き、両手を挙げた。それを見ていた 3 人も同じようにした。

旦那さんが、包丁の先を私達に向けたまま、そのままこっちに来いと言ってきた。

私は、何とか刀を手に入れられないかと下を向いている。

「何でそんな恰好をしているのかっ!?こういう時に空き巣とかよくあるのよ!まさか同じ商店街で頑張ってきた人達が犯罪をするなんて!あぁ!恥さらし!お父さんの時は、」

渡辺さんの奥さんの話を遮るようにウェンが叫んだ。

「ワタナベサン!ウシロ!」

旦那さんの首にゾンビが噛みついた。血しぶきがあがり奥さんの顔にかかった。

恐怖で顔が引きつり、声を詰まらせながら叫び、後ずさりし更に腰を抜かす。

私はすかさずマスクをして、それに合わせるかのように 3 人ともマスクをした。

私は、刀を取り鞘から抜いた。狭い空間で振り回す事が出来ないので、腰を抜かして倒れている渡辺さんの上から、ゾンビの頭めがけて突き刺した。そのまま、外に蹴り倒しドアを閉めたが、再び渡辺さんはドアを開けた。倒れている旦那さんの前で泣き崩れている。

「外は危ないので中に入って下さい。旦那さんは感染してゾンビになります。」

冷たい言葉に聞えたかもしれない。だが、現実こそ残酷だ。

「あんた達さえここに来なければ!何も起きなかったのよ!」

な!?外の状況さえも知らない人間が、家の中でただ助けを待っていただけなのに、再三の忠告も無視して自分が正しいと思い込み、その結果がこの状況だという事を理解していないのか?私の心に歪みが入ったように感じた。

私は無言で 3 人のいる中に戻り、刀を鞘に収めた。

「もう、行こうか。」

皆刀を再び持って外に出る。渡辺さんの事は素通りした。


昨日の銃声もこの近くだった為、十字路に行ってみた。信号機の近くには、警察官の恰好をした人が倒れていた。近づいてみる。

本物の警察官だ。右手には拳銃を持ち、自ら頭を撃ち抜いた痕跡がある。昨日の音は彼で間違いないだろう。ゾンビも随分と増えてきている。

私は銃を手に取った。弾は入っている、制服にも弾が入っていた。

「ママか、ジーンは出来る?」

ウェンは首を横に振った。

「ワタシデキマース!training フィリピンシマシタ!」

私は、銃と弾をジーンに渡した。

「これは、最終手段だから、本当に危ない時に使って欲しい。いざって時に。」

「イザットキ?What’s mean?」

「僕たちがピンチになって、あぶなーいっていう時に、ジーンがショットする!」

星来がわかりやすい日本語で説明した。

「Ah OK!ワタシミンナマモリマス!」

ジーンは銃をズボンの後ろポケットにしまった。

交差点にはゾンビが数十体いたが、私たちは気にせず再び会社方面に戻った。

その先にも交番がある、地図を確認しに行くためだ。

歩いている途中に悲鳴が聞えた。

渡辺さんだろう。

私達は下を向き歩いて行く。

後方から走ってくる足音が聞えた。

「はぁ!はぁ!助けて生田さん!私が悪かったわ!」

叫びながら近づいてくる。

渡辺さんが持ちこたえたのか、息を切らしながら走ってきた、私が皆の前に立ち刀を抜く構えを見せた。

噛まれたのか右手を押さえながら、そこからは血が垂れていた。

噛んだ相手は、ゾンビ化した旦那さんだったようだ。

「もう無理です。噛まれたら感染している。」

渡辺さんは私の手を握り

「この人でなしぃぃぃ!」

絶叫と共に私の手に噛みつこうとした!

完全に油断した!人の行動こそ読めない!

最悪だ!

しかし、その瞬間耳が痛くなるような大きな音が鳴った、

パァァン!

ジーンが渡辺さんの頭を銃で撃ち抜いたのだ。

「イザットキ is now!」

助かった!私は冷や汗が止まらなかった。

ウェンは呆然としていた。星来は、ジーンをヒーローでも見るかのように眺めていた。

ジーンの判断力や行動はとても素晴らしかった。星来の命を救い、今度は私が救われた。

渡辺さんの事はこれで良かったのか?また迷えばその時は私たちが危うくなる。

これも教訓、いい経験だった。


午後二時半


交番にたどり着いた。中には警察官はいない。

バックから秋元君の財布を取出し、住所と地図を照らし合わせる。

そう遠くはない。

私達は妹さんがいるアパートに進んだ。あれから4日が経過しているが、無事なのだろうか?私は約束を果たすため、それと感謝の意を込めて、道中にいるゾンビを倒しながら進んだ。


午後三時四十七分


アパートの近くに着いた。

だが、これまでの道のりで私は恐怖を感じた。

星来は、力はないが頭に攻撃をしかけると、すぐに抜いて次に対処できていた。

ジーンもまた同じだった。

しかし、妻のウェンは違った。このパンデミックになって以降、口数は減り笑顔も減った。当然だ、こんな終末世界で今までと同じでいられるわけがない。

それが、この世界の落とし穴だ!人は時として覚醒をする!初めてゾンビを倒して罪悪感から解放され、ウェンのストレスは爆発をした!

「I can’t go back to the Philippines because of you!!」(あなた達のせいでフィリピンに帰れないじゃないのよ!)ズバババ!

「Why are you infected!!」(なに感染してんだよ!)ズバババ!

「You’re not wandering around!!」(ウロウロしてんじゃね!)ズバババ!

「F☓☓☓ you!!」(禁句!)ズバババ!

――――――

ウェンに切られたゾンビは全員真っ二つだった。

私と星来とジーンはひそひそ声で話をした。絶対に怒らせてはいけないという共有認識を持つためだ。ウェンも吹っ切れたのか、息を切らしているが冷静さを取り戻していた。

その目は、清々しい程に綺麗だった。


目的地に着いた。

アパートの外観は古く感じた、80年代に建てられたようにも見える。外の階段から2階に上がり、部屋は一番角の205号室だ。

私達はノックをした。

「秋元慶くんの妹さん?いたら開けてもらえますか?」

返事はない。

しかし、ここにたどり着く前には確認をしていた。彼女はカーテンの隙間から私達の事を見ていたことを。だから、中にいる事は分かっていた。星来に声をかけさせる。

「僕たちは、秋元さんに食べ物や渡したいものがあるんです。」

子供の声を聴いて安心してか、少し緊張した声でドア越しに返事を返してきた。

「兄の知り合いですか?」

4人が顔を見合わせてマスクを外した。私が答える。

「お兄さんに命を救われた者です。」

静かにドアの鍵が開く音が聞こえた。

ゆっくりと星来がドアを開けて、順番に中に入った。

部屋は1DKで、中の方に案内された。私が最後に入り、静かに施錠をした。

全員が床に座り、それぞれが自己紹介をした。

秋元葵(あきもとあおい) 16歳 高校生だった。

両親は2年前に事故で他界。その後は、2人暮らしをしていたそうだ。

お兄さんの慶くんが生活の為に働き、葵さんの学費も賄っていた。

「私と妻のウェンは、お兄さんの秋元慶くんに命を救われました。」

あの時の経緯を全て話した。

彼女は既にすすり泣きをしていた。

「あと、彼が最後に言った言葉は、もっと好きな事をやらせてあげられなくてごめん。だそうです。」

葵さんは最後の言葉に大粒の涙を流しながら泣いた。

「うっ、、うわぁぁ~お兄ちゃん!!」

悲しみが溢れていた。


~彼女が語ってくれた二人の兄妹の話し~


今から 2 年前。

両親が車の事故で他界。

兄の秋元慶は大学生だった。

アニメが大好きで、いわゆるオタクだった。

妹の葵は中学生。

ダンススクールに通っていて、将来はプロを目指していたという。

しかし、葵が施設に入るかどうかという話し合いが、祖父母を交えて行われていた。

葵はそれを嫌がった。

両親が亡くなって以降の慶は、毎日のように仏壇の前に座っていた。

思春期が故の事だったのかもしれないが。

葵は慶の事が嫌いだった。

もともと家に帰っても食事の時ぐらいしか顔を合わしておらず、会話も殆どしていなかった。それは両親も同じだった。葵は慶の趣味が理解できずに、よく暴言を吐いていた。

「キモイ!デブ!」

それでも無反応な兄には、感情がないのかと思うことも。

亡くなった後は祖母が家にいてくれたが、慶は変わらず仏壇の前に居座った。

もう半年にもなるが、慶は学校にも行かずにずっと家の中だけだ。

葵は軽蔑した。

しかし、ある日祖母が慶について語った。

「葵ちゃん。一日だけ学校休んで、慶くんのことを覗き見してみなさい。」

祖母が言うように、学校に行くふりをして家の中に残った。

慶は、就寝も仏壇のある両親の部屋でしていた。

中から声がする。

そっとドアに耳を傾ける。

「なんで、 、 、なんで、 、 、死んだんですか。」

その声は震えていた。

「あなた達は、何も残していない。保険金だって少ないです。僕たちが生きるには足りない。」

がっかりする言葉が出てきた。結局は親のお金で自分の趣味趣向を愉しんでいただけ。自分では何もせずにいたくせに。

続けて出てきた言葉は、

「僕はもういいです。でも、 、 、葵には夢がある。」

全てがフラッシュバックするかのように、言葉の心理や行動に気が付いた。

葵は急いで慶の部屋を開けた。

「なんでっ!?」

慶の部屋には何もなかった。趣味で集めていたフィギュア。壁に貼られていたポスター。パソコン、ゲーム機、漫画。机やベッドまでも。

葵は泣き崩れてしまった。

祖母が葵の肩に触れ教えてくれた。

ダンススクールの会費も払われ続けていた事、食費を浮かせようと一食しか食べずにいて、痩せ細ってしまった慶の姿。

葵が学校に行っている間に、自分の物を売って生活の足しにしていた。それを葵に気づかれないように、朝と夜は両親の部屋にいたこと。

慶は、葵が好きだった。

暴言を吐かれても、ダンスは見に来るなと言われても、慶は影ながら応援していた。

自分でも理解していた、ダメな兄だと。

両親亡きあと、慶は葵の為に生きていく事に決めた。

そして妹を守る為、大学も辞めていた。

葵の後ろに慶が立っていた。


「お兄ちゃん、ごめん。」


泣きながら振り絞った声は、慶の心を一気に崩れさせた。


暫くして、祖父の体調が悪くなり祖母は二人から離れる事を余儀なくされた。

慶は仕事を始めて家も売却した。

今のアパートに引っ越しをしたが、葵はダンスを辞めてしまった。

施設よりも、兄と暮らしていく選択をしたからだ。

高校にいけるようになり、部活には入らず家事をした。

一年が経った頃には、慶もまた太り始めていた。

いままで会話がなかった 2 人も今では食事の時に

「葵。またダンス始めてもいいんだぞ。」

「う~ん。お兄ちゃんが先に結婚してからとか?」

「あはは!彼女いねーし!」

お互いの幸せを尊重し合う仲にまで戻っていた。

それは、この日が来るまで変わらず。


現在


私たちは話を聞いていて涙が止まらなかった。

星来とウェンは抱き着いて泣いていた。ジーンの顔は、涙や鼻水でボロボロだ。

私が話を切り出した。

「カセット形のガスコンロがあるから、温かいものを食べよう。」

鍋に野菜を入れ、ソーセージも一緒に入れた。

食事の時は、お互いの事を沢山話した。

葵さんも私たちの事を受け入れてくれたようだ。

「都庁で救助活動を行っているかもしれません。葵さんはどうしますか?」

少し、考えたのち答えた。

「朝まで考えさせて下さい。 」

ジーンと星来はしつこく一緒に行こうと誘っている。

葵さんにお願いをして一晩をここで寝かせて貰える事になった。


一月十二日午前六時


私たちは出発の準備を始めた。

「日が昇れば、私たちはここを出ていきます。葵さんも来ますか?」

彼女は首を横に振った。

「もう少し、ここにいます。食料も持って来てくれてありがとうございました。お兄ちゃんが帰ってこない事は分かったので、私なりに生き抜いてみせます。」

彼女の目は澄んで見えた。

近くのコンビニまでの道のりでゾンビは片付けた事を伝え、発煙筒を渡した。

「ピンチになった時は、発煙筒で知らせて下さい。私たちがこの近辺にいれば、必ず助けに来ます!」

最後に皆が一言ずつ挨拶をした。

「アオーイ!Good luck!マタアウネ!」

ジーンがハグをする。

「お姉ちゃん!絶対にまた会おうね!」

星来もハグをした。

「ケイサンノタスケテクレタ、ワスレマセン。I love you アオーイ」

ウェンもハグをした。

「葵さん。また会いましょう。必ず生きていて下さい。 」

私は握手をした。

葵さんの目は涙ぐんでいた。

最後に彼女からこんな一言を言われた。

「私は、世界一のダンサーになりたい。 」

この終末世界にダンスコンテスト等あるはずもない。ましてやオリンピックさえもないだろう。だが、彼女の語った夢は、兄である慶が応援してくれた兄妹の夢でもあった。

つまり、生き抜く覚悟の表れ。

私たちは笑顔になり答えた。

「応援する!」

「Support!」


彼女は、私たちが見えなくなるまで、窓から手を振り続けてくれた。


午前八時十分


コンビニで食事をとり次に進もうとしていた。

改めて、ここが日本で良かったと思う。

1km圏内には複数のコンビニや、大手スーパーのチェーン店が軒並み建っている。

食事もスナック菓子や缶詰めが多いが、水もまだ残っていた。

そもそも、外に出るなという警報で歩いている人もいないのだけども。

「このまま、都庁に向かう前にウェンの働いていた場所に戻ろうと思う。 」

3 人は賛成してくれた。

ある程度の食料をバックに詰めて進む。

商店街からは行かずに、大通りからのルートにした。

「テンチョマテテ 。 」

ウェンにも気合が入った。

葵さんとの出会いは、私たちにとって混沌とした世界に光が降り注ぐような感じだった。

決して諦めない。


「To those who shine the light」


第三話 終わり

刀の入手と、第一話で登場した秋元慶(その時は名前すら明かしてない)の妹、葵との出会い。

シリアスな中にも少し笑える要素も入れたいと思い、上手く文字で表現するのは難しいなと感じてます。

次回予告

モール残留組の救出に向かうが、そこで見たものは!?

そしていよいよ都庁へ

第四話 現実という闇


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おも



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