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SF!?異世界ドライブ旅行記  作者: hachikun
国境をまたいで
46/100

フラットダート

「♪ダートは続くよどこまでも~とくらぁ」

 国境を抜けて山地にさしかかったところで、ハイウェイは途切れた。

 しかも、簡易舗装にも似た雑な舗装になっちまった。

 さらに時々、唐突にフラットダートまで混じりだした。

「これじゃまるで酷道だな」

「こくどう?」

「酷な道と書いて酷道ね。

 国の道、つまり国道とひっかけたシャレなんだけど、要は国道のくせにひどい道ってことだな。

 同様の言い方に、険しい県道って意味で険道ってのもある」

「……」

「ははは、くだらないシャレだろ?

 けど音は同じの上に、文字を見れば意味も一発でわかる。

 表意文字である漢字をうまく使ったシャレだと思うよ」

「うん、そだね」

 ん?

 何かアイリスの笑顔が、ちょっと大人びてないか?

 ま、いっか。

「しかしま、ちょっと予想はついてたけどね」

「何が?」

「道が悪くなるってさ。

 アイリス、地図を拡大してごらん」

「あ、はい」

 アイリスはナビを操作し、マザーが更新してくれた最新の地図を拡大した。

 ……あ、一応念の為にいっとくけど、うちのナビはマザーの手が入ってるから、運転中の操作不能装置がついてないんだよ。

 だけど、運転中はマザーへの電話以外、俺は操作しないように心がけてる。

 皆も安全のために気をつけてくれよ?

 さて。

「山道を見てごらん。

 このあとの道、曲がりくねってるだろ?」

「うん。

 曲がりくねってるから道が悪くなるって?」

「いや、決め手はそれじゃないよ。

 アイリス、地図の等高線の見方は覚えてるよな?」

「うん、パパに教わった」

「オーケー、いい返事だ。

 じゃあ地図の等高線とよく見比べてごらん。

 道が曲がりくねってるのはなんのためだ?

 地形にそって走ってる、そうだろ?」

「そうだよ……!!」

 うんうんアイリスも理解したな。

「アイリスもわかったみたいだな。

 俺たちが走ってきたハイウェイは、ある意味地形を無視してまっすぐのびていた。

 だが、この道は細いだけでなく、元の地形に添う形で作られてるわけだ」

「うん。

 これはつまり……違う人たちが作った道ってこと?」

「あるいは、作られた時代が違うか、だ。

 どちらにしろハイウェイのようにまったりとは走れない。

 要注意ってことだ」

「わかった」

 アイリスは、ちょっと神妙な顔で大きくうなずいた。

 

 

 しばらく走ると、つながって走るキャラバンに追いついた。

「国境で前にいた人たちだね」

「そのようだな……速いな、もうこんなに離れてたのか」

 小編成で、しかも馬車……じゃないな、引いてるのが馬じゃない。

「あれはなんていう魔物なんだろう?」

「んー……わかんない、お館様のデータにもないよ」

 へえ。

「しかし、なかなか速いな……おいおい」

 追い越しながらスピードメーターを見た俺は、わが目を疑った。

「ずいぶん速いな、ファンタジーな馬車もどきの速度とは思えないな」

「お館様に報告しとく?」

「おう、アイリスが伝えてくれるか?

 これは結構、馬鹿にならない速度出てるって」

「わかった」

 とりあえず、あまり驚かせないのが一番だろう。

 アイリスに窓をあけさせ、挨拶しながら追い抜いていく。

「や、すみません通ります~」

 追い越す時は、ひと声かけて。

 最後に最も前の車を追い抜いてから、ウインカーを出して左寄せ。

 ついでにハザードをつけて、さらに窓をあけて手をふっておく。

「よしよし、手をふりかえしてくれたな」

 少なくとも、好意的なサインとは受け取ってくれたようだ。

 魔獣が引っ張る馬車、いや魔獣車のキャラバン。

 それを追い抜く俺たちの軽四。

 

 ふふふ、いいねえ。旅って感じだ!

 ん。

 だけど、だけどさ。

 

「パパ、どうしたの?」

「いや……魔獣車のキャラバンってのは、やっぱりファンタジーだろ?

 魔法のある世界だし、やっぱりな」

「?」

「だけど俺たちの車は日本の軽四ベースの改造車だ。

 いや、車だけじゃない。

 俺たち自身の体だって、マザーが作った、つまり宇宙文明の作品だ。

 これってつまり」

「えすえふってやつ?」

「ああ、それだ。

 ファンタジー、なのにSF。

 いったいどっちなんだろうね、この状況ってさ」

「パパ……」

「アイリス?」

 俺が悩んでいると、アイリスがクスクス笑い出した。

「パパは勘違いをしてるよ」

「勘違い?どこが?」

「SF」

「SFが?どういうこと?」

「SFとはサイエンス・フィクション。

 つまり、科学的な考証に基づいたおとぎ話。間違いない?」

「ああ、間違いない……アイリス?」

「だから、それがまちがい」

 ふるふると、アイリスは首をふった。

 そして。

「お、おい、変なとこ触るなって……アイリス?」

 なんだ?

「……」

 なんか、アイリスが急に大人になったような気がするんだが?

 どういうことだ?

「お、おい」

 運転している俺に、横からアイリスが抱きついてきた。

 あ……なんか、あたたかい。

 そして。

「わたしたちはサイエンスかもしれない。

 だけど夢物語(フィクション)ではない」

「……俺たちは作り話でも白昼夢でもない、現実だって言いたいのか?」

「でしょ?パパ?」

「ああ、そうだな」

 

 ああ、まったくだ。

 そのとおりだよアイリス。


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― 新着の感想 ―
[一言] 最初ちょっと大人しかったのは前回おっさんくさいとか言って傷つけちゃったと反省してたのかな? 十分に発達したSFは現実と見分けがつかない、なんちゃって。
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