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陰to陽  作者: 黒川一
ー薄明編ー
67/82

第60夜 それぞれの道






ー多摩川河川敷ー



河川敷では大勢の警察が捜査をしている。


「反町さ〜ん!」

逆井が青春ドラマよろしく河川敷を駆けてくる。


「おう逆井…八金(ぱちきん)先生のオープニングみたいな登場だな。」

反町は煙草に火を点ける。


「何すかそれ…

つか反町さん、煙草に戻したんすね。」

副流煙を吸い込まぬように動く逆井。


「おう。

天海団地の事件以降、電子煙草だけだとどうも落ち着かなくてな。

屋内では電子煙草、外では紙巻煙草の両刀使いよ。

そんな事より、何だこのミサイル爆撃の跡地は。」

眉をひそめながら地面にあるクレーターを見つめる反町。


「実は染一くんが…」


逆井が前原の一件を説明する。


「なるほどな…

で、あそこに転がってる死体はその不良ってわけだ。」


全身が黄緑色になり、身体の皮膚がボロボロと剥がれた少年が倒れている。


「月美学会の動きが派手になってきてるな。

この死体…殺人事件として立件できるのかどうか…」



沈黙を決め込んだ反町と逆井はただ、ただ、黄緑色の死体を見つめていた。









「闘う術って…私らがあんな化け物と闘えるわけがないだろ。」

石化の解けた彩香が鋭く指摘する。


「それにうちはもう怖いよ。

これ以上この日常を壊したくない。」

沈黙を貫いていた笑実が口を開く。


「そうだよ、無有ちゃん!

それにあの人達の狙いは私だよ。

闘うのは私がやる。」

決意を固める明里。


三者三様の言い分に漆原が応える。


「わかってないね。

もう闘う以外に選択肢はないのだよお嬢さん達。

佐野達はともかく、君達は天海団地からの生還者だ。

月美学会の裏側を知ってしまった君達をあいつらが放っておくわけがない。

闘うか、逃げた末に死ぬか、だ。」


「私が強くなって2人を護ればいい!」

明里が強い口調で言う。


「ほんっと君は強情だね!

じゃあ24時間365日彼女達の近くに居る事だ。

家でも学校でも何をしてる時も。

彼女達の親を説得して、500万人+日本政府を相手に戦争しながらずっと護り続けるんだ。」

厳しい口調で言い放つ漆原。


「っ…。」

口をつぐむ明里


「それは無理だ…。」

と彩香。


「…」

再び無言になる笑実。



「君達の意思に関わらずもう闘いは始まってんだよ。

安元…あの時、お前がもっと強ければ白石さんを攫われなかったんじゃないのか?

松永、お前がそんなんだから前原みたいな奴に騙されたんじゃないのか?」



『…。』

俯く2人。



しばらくして彩香が拳を握りしめながら口を開く。

「私…やるよ。

今度は私が助ける番だ。

わんこ、闘い方を教えてくれ。」



「うちはやっぱり無理だ。

今も考えると身体の震えが止まらない。

ごめん皆…。」

笑美の肩は小刻みに震えている。


「大丈夫だよ笑実。私が絶対に護るから。」

明里が笑実の手を握る。


「そうだよ。私も強くなって明里と笑実を絶対に護るから!」

彩香も笑実の手を握る。



「…まあ良いだろう。

中途半端な気持ちで取り組んでも、修行の段階で再起不能になるやもしれぬからな。

では彩香とやら、その脚の怪我が完治したら始めるぞ。」


「押忍!」

彩香は胸の前で腕をクロスさせ、勢いよく腰の方に肘を引いた。



「私はどうすればいいの?」

置いてけぼりにされた明里が問いかける。


「白石さんにはとある場所に行ってもらう。

…はぁ…でもやだなー、めんどくせーなーあいつら。」

漆原がうなだれている。


「染一、連絡はしたのか?」


「うん、一応…。

会いたくないけど仕方ない。

俺達じゃ白石さんを鍛えるのは無理だからなぁ。」


「何の話をしているの?」

話がわからない明里が痺れを切らす。



「陰素、陽素の話はしたよね?

基本的に陰素を使った力ってのは攻撃なんだけど、陽素を使った力は治癒や浄化といったものになるんだ。

無有や俺は陰素を使った力を得意としているから君の強みを伸ばす事ができないんだよ。

そこで陽素を使った力を得意とする人物…というか人達に君の修行をお願いしたんだ。」


「それは…誰なの?」

明里が不安そうな表情で聞く。


「日本には月美学会に匹敵する宗教団体がもう一つあるでしょ?」


「あっ、もしかして…?」


「そう。

君には陽光(ようこう)()に行ってもらう。」



聞き馴染みのある言葉に明里の中の灯火がゆらゆらと強さを増していくのを感じていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 月に対する陽ということですね。 笑美さんが戦えない分、 残りの二人には頑張って もらわないといけませんね。
2020/03/28 18:59 退会済み
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