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陰to陽  作者: 黒川一
ー薄明編ー
58/82

第52夜 製造






「ゲームだと…?

ふっ、始めたのは俺だ漆原。

まんまと現れやがって…ククク。

お前ら、やれ。」


不良達が一斉に漆原に襲いかかる。


が、素早い体捌きで躱す漆原。


「おーい、お前らよく聞け。

もし俺を殺す気が無いなら大人しくしているのが賢明だぞー!」

漆原が右手で印を構えながら警告する。


「てめえ漆原のくせに何言ってんだ!?」

不良の1人が殴りかかるー


バキバキッ!


「ギャアアアアアアアアッ!」


殴りかかった不良の手が原型を留めないほどぐちゃぐちゃにひん曲がり、その皮膚からは骨が突き出ている。


「漆原流陰の法 鬼まんじゅう」

漆原は今考えた技名を凛々しい顔で呟く。


「皆わかった?動いたらこうなるからね?」

漆原が再度警告した。


『くっ…』

たじろぐ不良達。



「キャッ!」

漆原の背後から明里の悲鳴。


「漆原…動いちゃいけないのはお前だよ。」


前原の手が蛇の頭に変化し、明里の喉元に添えられている。



「お前その手…やはり月美学会か。」


「ククク…わかっていたような言い方だな?」

前原の蛇の牙からは毒が滴る。


「学校でお前に名前を聞かれた時、俺は苗字しか言わなかったが、お前は漆原"染一"と知らないはずの名前も返してきた。

つまり初めから俺の事を知ってたんだろ?

その時からお前の事は疑っていたよ。

繭子を退けた俺を警戒し、月美学会が接触してくるのは想定内だったからな。

しかし、まさかお前みたいな子供まで半人半魔とは…。」


「さすがは天海団地から生還しただけの事はある。

だがここまでだ。

お前ら!漆原は手を出せない。

ぼけっと突っ立ってないでさっさとやれ。」


前原の右手に驚きつつも、不良達が漆原に襲いかかる。

あっという間に袋叩きにされる漆原。


「漆原くん!」

明里が叫びながら止めに入ろうと動く。


「おっと動くなよ、明里ちゃん。

お友達が死んじまうぜ?」

笑実が虚ろな表情で前原の傍に寄ってくる。


「笑実!目を覚まして!」

明里の呼び掛けに対し、無反応の笑実。


その(かん)に漆原の顔には切り傷や打撲痕が無数にできていく。


「…よし、その辺にしろ。

トドメは俺が刺す。」


漆原は意識はあるが痛みで身動きが取れない様子。



「ま、待て前原…」

地面に転がる漆原が右手の蛇を振りかぶる前原を制止する。


「何だ、漆原。

許しでも請おうってのか?」


「いや…そうじゃない…。

だが死ぬ前に教えてほしい、天海団地とお前らはどんな関係があるんだ?」


「……。

いいだろう漆原、これまでの健闘を称えて少しだけ教えてやる。

天海団地は…そうだな、我々の"工場"みたいなものだ。

我々は長い時間をかけ、あの場所で"ある物"を造ってきた。

そして残る材料は白石明里だけ。

もう少しでとんでもない物が完成するぞ…ククク。」

前原の端正な顔は歪み、時折垣間見える蛇のような形相はおよそ人間の顔とは思えなくなっている。


「繭子の事か…?

だがあんな手に負えない化け物をどうしようってんだ。」


「ふっ、確かに"今は"手に負えないがな。

しかしそれも白石明里を投入すれば問題無い。

…少し喋り過ぎたようだ。

じゃあな漆原、死ね。」


前原の蛇が漆原の喉元に噛み付くー


「グッドタイミングだ相棒。

《護芒結界》」


地面から五芒星が立体的に現れ、漆原を包み込む。


「ちっ、悪あがきを!

おい、お前ら松永を殺せ!」


前原が笑実の方を振り向くと、そこには地面に転がる不良達。

そして笑実の両側には彩香と逆井が立っていた。


「警察だ!お前ら全員署まで連行する!」

逆井が警察手帳を掲げる。


「警察はやべえよ!逃げろ逃げろ!」

不良達が蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。


すると前原の手が伸び、不良の1人に噛み付いた。


「ぐあっ!」


みるみる内に全身が黄緑色になり、そのまま倒れる。


「おい、てめえら…

逃げるのは勝手だが、命の保証はないぞ。

捕まるのと死ぬのとどっちがいい?」


前原の語りかけに足を止める不良達。


「警官ごとやれ!」


前原のかけ声と共に踵を返した不良達が一斉に襲いかかり、すかさず応戦する彩香と逆井。


そして前原が漆原にトドメを刺すべく振り返る。

「さて、トドメを刺してやる漆ー」


《星陰破》


前原が話し終わる寸前、黒い五角錐が突き刺さりそのまま後方まで伸びていく。



「さて、仕切り直しだ前原。」



その出現元には血塗れで笑う漆原が立っていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前原はエゲツない手段を使ってきますね。 敵方はわかり易く悪!って感じで、いいですね。 漆原君は、いつもボロボロで、 身を削って明里さんと友人たちを守ってて、 カッコイイ主人公ですね。
2020/03/18 21:18 退会済み
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