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陰to陽  作者: 黒川一
ー薄明編ー
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第47夜 胡蝶蘭






「も、もう勘弁してください…」

佐野を含む不良グループ十数人が地面に転がっている。


「えー、どうしよっかなぁ…

お前らに付き合ったせいで無駄な時間食っちゃったし、許して欲しいならそれなりの誠意を見せてくれないと。」

前原の表情はにこやかだが、目だけは笑っていない。


「わ、わかりました。

俺達、前原さんの為に何でもします!」

気を失っている佐野に代わり、取り巻きの1人が土下座をしながら許しを請う。


「何でもするねぇ。

ひぃふぅみぃ…

そうだな、お前ら俺1人やるのにこんだけの人数集めるバカだもんな。

他所のクラスからもこんなに呼んじゃって…ククク。

よし、今日からお前らは俺が使ってやる。

これからは俺に従え。」


「は、はい!わかりました!」

土下座している取り巻きが返事する。


「ん?他の奴は敵対って事でいいのか?

おい、お前だよ佐野!!」

前原は気を失ってる佐野の腹に蹴りを入れた。


「うぐっ!!」

佐野が目を覚まし、周りの状況を確認する。


「こ、これは…?」


「全員俺に従うってよ。

お前はどうすんの?多摩川で事故に見せかけた溺死でもするか?」

前原が佐野に顔を近付けながら言い放つ。


「くっ…。い、いや、従います。」

佐野は泣く泣く従う事を決めた。


「よーし、じゃあ手始めに白石明里を攫ってここに連れてこい。

わかったな?」


『はい!』


「ククク…さて、ゲームの始まりだ漆原…。」

前原は不敵な笑みを浮かべていた。






翌日ー天海高校ー



「おはよー、漆原くん!」


「おっ、おはよう白石さん。」


「最近毎日来てるね!

無有ちゃんは元気にしてる?」


「ああ、今は暇だからね。

あいつは白石さんの料理が食べたいって毎日駄々こねてるよ。」


「ふふふっ、いつでもおいでって言っといて!」



ガラガラッ



教室のドアが開き、前原が入ってきた。

クラスの女子達が挨拶をすべく、我先にと前原に駆け寄る。


「皆おはよう!」

前原が爽やかな笑顔を見せる。



「あれ?あいつ昨日佐野達にシメられたんじゃ…?」

漆原が驚きの表情を見せる。


前原は女子に囲まれながら自分の席に着く。

再びドアが開き、佐野グループが入ってきた。


「おいおい、何だよあのツラ。

やられちゃってるじゃん。

あの転校生見た目が良い上に喧嘩も強いのかよ。

神はなぜこんなにも不平等に我らを創りたもうたのか…。」

漆原がブツブツと呟いていると彩香と笑実が教室に入ってきた。



「おはよう!」

「おはよ〜!」



「おはよう2人とも!」

「うぃっす〜。」



「かーっ前原は相変わらずの人気だねぇ。

朝から目障りでしょうがない。」

彩香が着先早々毒吐(どくづ)いている。


「安元お前、めちゃくちゃ良い奴だな。」


ガシッ


漆原と彩香は再び手を組む。



「うちも話してみたいな〜。」

笑実が前原の方を見ながらポツリと呟くと、タイミングを図ったかのように前原がこちらに来た。


「おはよう。松永さん!

それと、白石さんに安元さん…君は…」


「あ、う、漆原だ。」

挙動不審に自己紹介する漆原。


「漆原染一くんか!よろしくね!

ところで松永さん、昨日は売店の場所を教えてくれてありがとう。」


前原は花の形を模した美しい髪留めを笑実に渡した。


「わっ…胡蝶蘭だ〜。

キレイ…。」

笑実が恍惚の表情を浮かべ髪留めを見つめる。


「華やかな松永さんに似合うと思ってね。

これはほんのお礼さ。じゃ、またね。」

前原は自分の席へと戻っていった。


「………。」

笑実は髪留めを見つめ続けている。


「ちっ、あのキザ野郎め!

特別な日でもないのにプレゼントなんて渡してんじゃねえよ!」

前原が居なくなった瞬間に悪口を言い始める漆原。


「お前…前原の前では萎縮してたくせに。

情けな…。」

彩香が哀れみの視線を漆原に向ける。


「安元…絶交だ。」

漆原と彩香はお互いに中指を向け合った。


「笑実、可愛いねその髪留め!

とても似合うと思うよ!」

いがみ合う漆原と彩香をよそに、明里が声をかける。


「うん…とても可愛い〜。」

笑実は髪留めから視線を逸らさないまま返事をした。



笑実の様子を見ていた明里はとても温かい気持ちに包まれ、微笑を浮かべる。

そして担任が教室に入ってきたのを確認すると、これから始まるホームルームに備え始めた。





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