第46夜 焼き
ー放課後ー
「おい転校生、ちょっと付き合えよ。」
佐野とその取り巻き達が前原に詰め寄っている。
「君は…名前がわからないけど何か用かな?」
前原は爽やかに笑う。
「いいから来いよ。」
取り巻きの1人が前原を引っ張り、外へと連れて行かれた。
「…前原くん大丈夫かな?」
一連のやり取りを見ていた明里が呟く。
「大丈夫だろ!まあ男は色々あるからなっ。
じゃあ明里、私は部活行くからまた明日な!」
彩香が道着を持って教室を出て行った。
自販機から戻ってきた笑実が彩香と入れ違いで教室に入ってくる。
「じゃあうちらも帰ろっか!」
「うん…。」
「ん?どうかした〜?」
「ううん、何でもないっ!帰ろっか!」
明里は不安げな表情を見せつつも笑実と共に教室を後にした。
「ちっ、今日はあの陽キャのせいで気分わりーな。
でも学校ってこうゆうもんだったな。
だから学校なんて来たくないんだよ。」
漆原が下駄箱で文句を垂れていると、その横を前原を伴った佐野グループが通り過ぎていった。
「おっ、いいねえ佐野くん。
ベタでいいよー!
やっぱイケメンの転校生は不良がシメないとなっ。
頑張れよ〜!」
漆原は先程とは打って変わってにこやかな表情になると、小声で佐野を応援しつつ学校を後にした。
ー多摩川付近の廃倉庫ー
「おいおいこんな所まで連れてきちゃって、まさかキャッチボールするわけじゃないよね?」
前原が軽い口調で佐野達に問いかける。
「余裕こきやがって。
この状況見てわかんねーのか?
お前は今から焼き食らうんだよバカ。
ちょっと顔が良いからって調子乗ってんじゃねーぞ。」
佐野が前原に詰め寄る。
「焼きって…
君達は前時代の不良って感じだね。
俺が女子に人気なのがそんなに気に入らないのか?
誰か紹介してあげようか?」
前原は爽やかに笑う。
「ぶっ殺す。」
佐野が拳を大きく振りかぶった瞬間、彼の鼻に強烈な痛みが走り、そのまま地面に倒れてしまった。
「うっ…」
佐野の鼻の骨はひん曲がり、血が止めどなく流れている。
「人を殴る時に拳を振りかぶるなんてナンセンス。
お前、落ちこぼれの上に喧嘩も弱いのかよっ。
まあいい、俺に歯向かった罰だ。
これからお前ら半殺しの刑ねっ!」
前原は爽やかな笑顔を崩さないまま、残りの取り巻き達の方へとゆっくりと近付いていった。




