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陰to陽  作者: 黒川一
ー薄明編ー
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第43夜 帰宅





「ただいママ〜」

帰宅した漆原の左腕には三角巾が巻かれている。



「お帰り、染一さん。ママよ〜!」

中年の女性が台所で洗い物をしながら冗談交じりに漆原を迎える。


「お帰り、染一!」

小学生ぐらいの男の子がリビングでボールを蹴りながら漆原に声をかける。


「おおっ、我が愛しの叔母さんと可愛い従兄弟くんじゃないか!

ちゃんと設定守ってたか〜?」

にこにこと作り笑顔を浮かべる漆原。


「妲鬼叔母さん、洗い物なんて珍しいな…

ってそれ人間の足かよ!!」


妲鬼が丁寧に洗っていたのは鈴木の足だった。


「て事は…?

はあ…やっぱり…。

楽鬼、お前俺ん家で人間の頭を蹴鞠みたいにすなよ…。

ん…?こいつ…鈴木じゃないか。」


漆原がボール(・・・)の正体に気付くと楽鬼が事の経緯を説明する。


「あれ?やっぱりこいつの知り合いなんだ?

染一が家を空けてる間に侵入してきたんだよ。」


まるでバスケットボールを扱うかのように鈴木の頭を指でクルクルと回す楽鬼。


「そうよ〜。例のUSBを捜してたみたい。

両腕ちぎったら大人しくなったから生かしてたけど、結局無有様の質問に答えなかったから殺しちゃったわ〜。」


「面白かったね〜!あの人間。」

実に楽しそうな楽鬼。


「はあ、そうすか…お前らあんまり家汚すなよ?

ところで無有は上か?」

漆原が疲れた表情で洗い物と蹴鞠に戻った2人に問いかけつつ2階へと上がる。


ガチャッ


無有はパソコンの画面に向かっていた。


「染一、退院できたのか。」


「ああ。それより鈴木の件聞いたぞ。

まさか家に来るとはな。

何か分かったか?」


「うむ。鈴木が月美学会の月花という12人から成る幹部の一員だったという事、USBを奪りに来た事。

わかったのはこの2点。

何か強力な陰法(いんのほう)がかけられていて、それ以上は喋る事ができない様子だった。

そうこうしている内に妲鬼と楽鬼が鈴木で遊び(・・)始めてしまい…

後は今お前も下で見てきたような有様だ。」


無有は枯れた花を差し出した。


「妲鬼達が鈴木を解体している時に心臓の辺りからこれが出てきた。」


「何だこれ?」


「水仙の花だ。

どうやらそれが呪符代わりになっていたらしい。

鈴木が死んだからか、もう効力はないがな。」


「そうか…

つまり月美学会に強力な法力者が居るって事だな。

ただのテロリズム系宗教団体じゃなくてガチ勢っぽいな。

あ、そうそう帰ってきた事だし"繋げて"おくか 。」


漆原は右手を差し出す。


「そうだな。ところで繭子はどうなった?」


無有も右手を差し出す。


「《陰陽縛結(いんようばっけつ」》

…一時的に結界の中に閉じ込めてきた。

見つけづらい所に書いてきたが、結界が解除されるのも時間の問題だと思う。」


「そうか…つくづくよく生きて帰ってこれたな。

傷の状態はどうだ?」


「白石さんの真言のおかげで腹は大分良いが左手はほぼ動かない。見てもらってもいいか?

あ、それと繭子に取り込まれてたのは夜鬼だった。

ギリ獄炎で追い返しといたから次は無有も参加してくれよ。」


漆原が無有に左手を差し出す。


「夜鬼だと!?

地獄の深淵に居るような奴がなぜ正界に…」


無有は漆原の左手を前脚で触りながら驚く。


「そうなんだよ。

自然に発生したとは考えにくい。

それに繭子の封印もいつ解かれるかわからない…

とにかくこれからは月美学会を調べてみよう。

痛っ!!」


漆原が今後の予定を話していると、無有の前脚から発生した黒い光が漆原の左手を包み込んだ。


「よし、これで呪いの浸食は止まった。

しかしあくまで"止まっただけ"だ。

それと1ヶ月程は動かせんが我慢せい。」


「さ、さんきゅー…」



漆原はドス黒くなった左手に包帯を巻き直し、そのまま三角巾に戻した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] このファミリーは良い味だしていますね。 漆原君は、学校だけのファッション陰キャということで、 良いかと思います。 [一言] 本業を大切にして頂いて、のんびり書き進めれば 良いと思います。
2020/03/16 19:47 退会済み
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