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陰to陽  作者: 黒川一
ー黄昏編ー
37/82

第31夜 尾行






漆原家から陽神神社までの道のりを、2人と1匹が歩いている。



「漆原くん今日はごめんね。

お医者さんまで呼んでくれて…

ありがとう。」


明里が申し訳なさそうに謝る。


「大丈夫。

思い返せば最初の惨劇からこれまで、常に緊張状態の中にあったんだ。

普通の日常を送ってきた君にはかなり重いストレスだったと思う。

だが、いよいよ今週末には決行だ。

休める時に休んで2人の救出に備えよう。」


無有が続ける。


「そうだぞ明里、どれだけ気張っていても貴様はまだ餓鬼なのだ。

友の救出は過酷な闘いになるやもしれん。

今の内に体力を温存しておけ。

それに…早く飯を作ってもらわんと余が困る。」


ポメラニアンが明里の足下から潤んだ瞳で見つめる。


「ははっ、そうだね。

早く元気になって無有ちゃんにもご飯を作ってあげないと。

それに…彩香と笑実を取り戻す為にも今は休むよ。」


「その意気だ白石さん。


……………


じゃあ無有、後は頼んだぞ。」


漆原が無有に目配せする。


「ああ、気を付けろよ。」


無有が返す。


「白石さん、俺は少し寄り道しないといけないから先に帰ってて。

そんなに遅くはならないと思う。」

珍しくにこやかな表情を浮かべる漆原に驚く明里。


「うん、わかった。

でももう夜も遅いし、気を付けてね!」


どこへ行くのか問いかけようとしたが、経験則から答えが返ってこない気がした為、素直に承諾する事にした。


「JKから心配された…ぐすっぐすっ…あざーす!!!

じゃあまた後で。」


漆原はわざとらしく泣き真似をしながら、明里と無有とは別の道を進んでいった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






漆原が林道を歩いている。


その背後には漆原を尾行する人影。



星陰縛(せいいんばく)



漆原を尾行していた人物の背後から声が聞こえた瞬間、光を放つ五芒星が出現した。


「ぐああああああああっ!」

白いフードを目深に被った人物が五芒星に縛り上げられている。


前方を歩いていた漆原は人形を模した紙になり、ひらひらと地面に落ちていった。


「ダミーの尾行ご苦労さん。

お前が俺達を尾け回してんのはわかってた。

しばらく泳がそうと思っていたが、お前からは邪悪な気配を感じる。

さてさて、ご尊顔を拝見っと…」


漆原が乱暴にフードを脱がした。


「あれ…?あんたは確か、天海新聞の…」

漆原がフードを取ると、そこには天海新聞社で出会った鈴木の顔があった。


「離せっ!!ぐぅぅぅぅっ」

苦しそうな声をあげる鈴木。


「離さねーよ。てめえ何者だ?

その邪気…普通の人間じゃないな?」

漆原が右手の印を鈴木に向けると五芒星の光が強くなる。


「ぐああああああああっ!!」

鈴木は更なる悲鳴をあげる。


「くっ…はあっはあっ…」

息を切らした鈴木は必死の形相で詠唱を始めた。



"如月(きさらぎ)光剣(こうけん)貫く丑の(うしのとき)


月下に捧ぐ水仙花(すいせんか)"


月光開花(げっこうかいか)



ドンッ!!!!!



突如衝撃音と共に辺りは土煙に包まれた。


徐々に晴れていく土煙の中から姿を現したのは、鬼の頭に牛のような身体の化け物。


必然と周囲の木々は薙ぎ倒され、その体躯は十数メートルにも及ぶ。



「おおっ!?でけえっ!!

牛鬼(ぎゅうき)…か?」



星陰破(せいいんは)



漆原が宙に大きな五芒星を出現させ、巨大な牛鬼の胸を突き刺す。


すかさず牛鬼は口から緑色のガスを噴射!


辺りは濃い霧に包まれる。


「っ…!毒ガスか!」



護芒結界(ごぼうけっかい)



漆原の足下に光を放つ五芒星が現れ、その光が漆原を包み込んだ。


毒霧が晴れていく…


視界が完全に開けた時、牛鬼の姿はどこにも無かった。


「逃げた…か。」


結界が解けた漆原は、爆発事故が起きた後のような林道で1人立ち尽くす。



左の袖から伸びる腕には、毒霧による(ただ)れた痕が残っていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 新聞社にまで物の怪が入り込んでいたんですね。 次から次に相手の強大さが明らかになっていき 毎回目が離せませんね。
2020/03/05 19:24 退会済み
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