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陰to陽  作者: 黒川一
ー黄昏編ー
18/82

第15夜 漆原、登場。






「漆原くん、何言って…」


「ククク…って、普段の俺ってこんな感じ?

あいつ物真似下手だからなー。つってもあいつが1番マシだからしゃーないしゃーない…でもなー…ブツブツ」


ブツブツと止めどない独り言をぶった切り、明里が言う。


「漆原くん授業はどうしたの?こんな所にいちゃダメだよ!ちゃんと教室に居ないと!」

明里が真剣な口調で言う。


「バブみあざーす!お母さんあざーす、あざーす。」

漆原はふざけた様子でボソボソ呟く。


「ごめん、今忙しいの。私もう行くね。」

明里は怒った様子でその場を離れようとする。


「だから街の外れの団地に行くんでしょ?そこまでして行きたいなら止めないけど、行ったら死ぬよ?」


…っ


聞き間違いじゃなかった。


何で知ってるの!?



!!



異変に気付く明里。


門の外に黒い少女が立っている。


また来た。


わかってる、今行く。



明里は漆原を振り切ろうとするー


次の瞬間、漆原は黒い少女に向けて人差し指と中指を立ててそれ以外の指を握り、2本の指の先端で宙に五芒星を描いた。



星陰破(せいいんは)



漆原が呟くと、宙に描いた五芒星から先が尖った太い5角錐のようものが黒い少女めがけて伸びていく。

そしてあっという間に黒い少女を突き刺す


ー寸前


素早く躱し、黒い少女は跡形も無く消えた。



「ちっ、クソが。」

悔しそうに眉間にしわを寄せる漆原。



「漆原くん…あなた一体…。」


今のは何!?


彼は何者!?


戸惑う明里に戯けた感じで弁明する。

「ごめんごめん!ちょっとイラッとしちゃって。」


「そんなことより、ここだと何かと不都合だから、よ、よかったら、う、う、うちに来る?」

漆原がもじもじとしながら言う。


「いいけど…。」

呆然としている明里は2つ返事で答えた。


「あ、あざーす!」

意味不明の感謝を伝える。


漆原は女子を自分の家に誘った経験などこれまでの人生で1度も無く、精一杯の勇気を振り絞ったのだ。


その為、本人はよくアニメや漫画で見ていたクールなキャラクターの雰囲気を思い出し、キリッとした端正な顔付きのイメージで誘っていたが、実際今の表情は眉がハの字でグシャグシャの困り顔だった。


「家には誰も居ないけど、へ、へ変なことしないから大丈夫だからね?グへへ」

漆原はこれから罪を犯すであろう人間の台詞を吐き、明里と共に家路に着くのであった。






……………






「………彼氏…か?」


正門近くに停車してる車の中で、双眼鏡を持った逆井が独り言を呟く。


「正午に同校の男子生徒と学校を出る…っと。

…いや〜しかし、白石明里の動向を探るって…何かストーカーしてるみたいで気が引けるなぁ。」

メモを取りながら罪悪感に苛まれる。


「でもこれも仕事だっ!!絶対目を離さないぞ!!」

逆井は気合いを入れ、後を追った。






ー漆原家






明里と漆原は学校から半径2km地点にある漆原家に到着した。


ごくごく普通の一軒家だ。


道中漆原から聞いた話によると、叔母さん一家と暮らしているらしい。


この時間帯は全員出払っているみたいだが。


「お邪魔します。」

と、丁寧に挨拶する明里。


「うわー女子がうちに居るよ。こうゆう時はどうすればいいんだ。

まずはお茶を出して…いや、JKだからタピオカの方がいいのか?

タピオカなんかうちにあったかなー?

ブームとかくそどうでもいいからな。

そもそもあんな訳のわからないゴム鞠みたいな物体を"美味しい美味しい"って飲んでる奴の気が知れないし、映えるとかどうでもいいんだよ誰もお前のことなんー」


心の声が完全に外に出てる漆原に冷や汗をかきながら恐る恐る話しかける。


「あ、あの漆原くん?

私、お茶もタピオカも好きだからどっちでも平気…。」


「はっ!?もしやお主、心を読む能力者…!?」

大袈裟なポーズで明里の力を疑う。


「いや、あの…言いづらいんだけど…

漆原くん普通に声に出てたよ…。」


「なぬ!?不覚…」


本当に彼に付いてきて良かったのか?

明里はそんな事を考えながら漆原の部屋へと入っていった。



「さて、白石さん。

今自分がどんな状況に置かれてるかは理解してる?」

お茶を持ってきた漆原は椅子に座ると真剣な表情で聞いた。


「どうゆうこと?」

ベッドに腰掛ける明里も、お茶をいただきながら真剣に返す。


「君は今"呼ばれてる"んだよ。あの黒い奴に。」


そう、それは明里にもわかっている。


日に日に出現頻度が高くなっている黒い少女。


そのせいで明里は先程までは死を覚悟していたのだから。



「でもちょっと待って!

あなたは何でそれを知ってるの?さっきのは何?

あなたは一体何者!?」

明里はここに来るまでずっと我慢していた質問をぶつけた。



「質問多くて草。俺は陰陽師だよ、よろしく。」



陰陽師…

陰陽師って聞いたことある…けど、何だ?



聞き慣れた知らない言葉が、明里の頭の中をぐるぐると回っていた。

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