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『バグったうさぎを修正できません』 ――ブラック企業の天使がヤケクソで転生させた結果――  作者: 島ながぁ
第三章 異形の王様

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第61話うさぎと霧の中の王国

 海の上。


 白と黒のスポーツカーが、 赤色灯を回転させながら海面を爆走していた。


 大量の水飛沫が左右へ弾け飛ぶ。


 ラジオ『安全運転で参りましょ〜う♪』


 うさぎ「どの口が言ってんだお前は」


 車内で揺さぶられながら、 うさぎはげんなりした顔をしていた。


 その横ではマシロがぐったりしている。


 マシロ「酔う……海ってこんな揺れるの……?」


 うさぎ「お前飛べるだろ」


 マシロ「楽したいのよ……」


 車の横では、 ピンク色の近未来バイクが海面ギリギリを滑るように並走していた。


 風を切る音だけを残し、 ほとんど無音。


 ヘルメット越しでも分かる。


 マオはちょっと楽しそうだった。


 さらにその上空。


 巨大な白い飛空船。


 四枚の翼を展開し、 ネオンのような光を船体に走らせながら飛行している。


 船体側面には、 誇らしげにうさぎマーク。


 うさぎ「だからなんで俺の顔入れたんだよ……」


 ロチュス『うさぎ様の偉大さを世界に広める為です!』


 通信越しでもテンションが高い。


 うさぎ「やっぱ聞くんじゃなかった」




 ◇




 少し離れた海面。


 男性の人魚のような魔物が、 ぷかぷかと浮かびながら日光浴をしていた。


 魔物「焼けるわぁ〜」


 サングラスまで掛けている。


 完全に寛いでいた。


 魔物「アイツ、誰か何とかしてくれないかしら〜……」


 その時。


 ゴゴゴゴゴゴゴ……。


 低い轟音。


 魔物「ん?」


 海面が震えていた。


 遠く。


 巨大な水柱。


 一直線にこちらへ向かってくる。


 魔物「……何よあれ」


 サングラスを上げ目を細める。


 見えてきた。


 白黒の車。


 サイレン。


 赤色灯。


 海面爆走。


 その横を、 ピンク色のバイク。


 さらに上空には、 巨大な白い飛空船。


 しかもうさぎマーク付き。


 魔物「ちょっと待ってなによこれぇ!?」


 人魚魔物は慌てて海へ潜った。


 次の瞬間。


 バシャアアアアアアアアア!!


 爆音と共に通り過ぎていく車。


 巨大な波が巻き起こる。


 魔物「なんなのよあれ……」


 海から顔だけ出して呆然と見送る。


 すると。


 近くの大型魔物が、 威嚇するように飛び出した。


 直後。


 ドゴォン!!


 爆散した。


 一瞬で肉片となり飛び散っていく。


 魔物「……アイツ死んだわね」


 沈黙。


 魔物「まぁこれで少しは静かになるでしょ」


 魔物「漁師さん達もまたお魚くれるわね」


 再びぷかぷか浮き始める。


 平和だった。




 ◇




 うさぎ「さっきのが海の魔物か……」


 マシロ「躊躇なくぶん殴ったわね」


 うさぎ「ぶつかったら危ねぇだろ」


 マオ「人魚いたわよ」


 うさぎ「マジで!? ファンタジーじゃん!」


 マシロ「これのどこがファンタジーなんだか……」


 その時。


 前方。


 白い霧。


 海全体を覆うほどの濃霧だった。


 うさぎ「うお……なんだこれ」


 ロチュス『こちら偉大なるうさぎ様号。レーダー反応無しです』


 マオ「……本当に何その技術」


 ロチュス『愛です!』


 マオ「説明になってないのよ……」


 霧の中へ突入する一同。


 視界が真っ白になる。


 海も。


 空も。


 何も見えない。


 ラジオ『ルート変更はありません』


 うさぎ「お前だけなんで平然としてんだよ……」


 霧の中。


 何かが舞っていた。


 ひらひら。


 淡い色。


 うさぎ「……花びら?」


 マシロ「……あー」


 マオ「その反応、心当たりあるのか?」


 マシロ「嫌な意味でねぇ……」


 マオもため息をついた。


 マオ「反応位置……完全に一致ね」


 うさぎ「?」


 次の瞬間。


 霧を突き抜けた。


 視界が開ける。


 うさぎ「……うお」


 巨大だった。


 海辺に広がる港町。


 その中央。


 空へ突き刺さるような巨大王城。


 白い塔。


 花。


 噴水。


 そして。


 何故か常に舞っている花びら。


 うさぎ「なんだここ……」


 マシロ「第六世界でも最悪クラスの国」


 マオ「完全乙女ゲーム化国家」


 うさぎ「マジかぁ……」


 ロチュス『おとめげーむ……?』


 うさぎ「説明むずいんだよなそれ……」


 王城を見上げる。


 どこか現実感が薄い。


 綺麗すぎる。


 整いすぎている。


 まるで誰かが作った舞台みたいだった。


 うさぎ「……なんか気持ち悪ぃな」


 マオ「正常な感想よ」


 マシロ「この国、国民全員が“キャラクター”みたいになってるからねぇ」


 うさぎ「キャラクター?」


 マシロ「イケメン、美女、美形、美声、キラキラ演出」


 マオ「しかも無駄に恋愛脳」


 うさぎ「うわぁ……」


 うさぎの脳裏に昨日のキラキラ空間がチラつく


 うさぎ「……あれかぁ」


 ロチュス『恋愛……!』


 ロチュスの目が輝く。


 うさぎ「お前は反応すんな」


 マオ「とりあえず上陸地点探すわよ」


 海岸沿いへ向かう。


 白黒車。


 ピンクのバイク。


 白い飛空船。


 異様な集団だった。


 浜辺へ近づくにつれ、 花びらが増えていく。


 風も無いのに。


 空は青いのに。


 まるで歓迎するみたいに。


 うさぎ「……嫌な予感しかしねぇ」


 マシロ「安心しなさい」


 うさぎ「なんだよ」


 マシロ「私もよ」


 マオ「帰りたくなってきたわ……」


 ロチュス『うさぎ様と一緒なら何処までも!』


 うさぎ「お前だけ元気だな!?」


 白い浜辺へ、 三つの影が近づいていく。


 その先で待つものを、 まだ誰も知らなかった。


 ――続く

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