表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『バグったうさぎを修正できません』 ――ブラック企業の天使がヤケクソで転生させた結果――  作者: 島ながぁ
第2章白き聖女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
58/65

第58話うさぎとお姫様抱っこ

 海が割れた。


 轟音。


 巨大な水柱が上がる。


 ザバァァァァァン!!


 海面から現れたのは――巨大なイカだった。


 いや。


 ただのイカではない。


 顔がある。


 しかも妙に人間臭い。


 ニヤニヤしている。


 うさぎは真顔になった。


「えぇ……」


 マオも引いていた。


「うわぁ」


 店主はサングラスを押し上げる。


「……キモイな」


 三人一致の感想だった。


 巨大イカはぬるりと触脚を揺らしながら、ゆっくりマオを見る。


 そして。


『おんにゃのこおおおおおおお』


 歓喜した。


 マオの顔から血の気が引いていく。


「……嘘でしょ」


 周囲の魚人やクラゲ魔物達も、ぞろぞろとマオを囲み始めた。


 明らかに狙われている。


 その時。


 巨大イカがマシロを一瞥した。


『……』


 真顔。


 スンッ……という空気。


 さらに。


 深いため息。


 沈黙。


 マシロがブチ切れた。


「なんでじゃあああああああ!?」


 海辺に絶叫が響く。


 店主が気まずそうに視線を逸らした。


「あー……うん」


 うさぎもなんとも言えない顔になる。


「何も言えねぇ」


 マオは少し同情した。


「悲惨ね」


「なんで皆納得してんのよぉ!?」


 マシロが砂浜をバンバン叩いていた。


 その瞬間。


 ブンッ!!


 巨大イカの触脚が伸びる。


 マオは咄嗟に飛び退いた。


「っ!」


 砂浜が爆ぜる。


「そいやぁ!」


 店主が剣を振るう。


 炎を纏った斬撃。


 周囲の海産物達をまとめて吹き飛ばした。


 うさぎも前へ出る。


「ふん!」


 ドゴォッ!!


 触脚を殴り飛ばす。


 巨大な触脚が途中から弾け飛んだ。


 巨大イカが目を見開く。


『!?』


 店主も驚いていた。


「すげぇな!」


「自分でもちょっと引いてる」


 その時。


「きゃあああ!?」


 マオの悲鳴。


 振り向く。


 別の触脚がマオを捕まえていた。


『へへへへへへへへ』


 人面巨大イカが気色悪く笑う。


 マオは暴れる。


「離しなさいよ!」


 だが触脚はどんどん巻き付いていく。


 うさぎが飛び出そうとする。


 しかし距離が遠い。


 届かない。


 店主が舌打ちする。


「これならどうだ!」


 炎の矢を放つ。


 直撃。


 ジュウウウウ!!


『あっつうううううううい!?』


 辺りに香ばしい匂いが広がる。


 イカ焼きだった。


 だが。


 巨大イカはマオを離さない。


 さらに触脚が巻き付く。


 水着が。


 色々。


 大変だった。


 表現できない感じに。


 マオの顔が真っ赤になる。


「見るなあああああ!!」


「無理だろ状況的に!」


 うさぎも焦る。


 巨大イカはマオを顔の前まで持ち上げた。


『おんにゃのこおおおおおお』


 完全に変態だった。


 店主が呆れる。


「ラチがあかねぇな」


 うさぎは砂浜を蹴った。


「なら直接狙いだぁぁ!!」


 ドンッ!!


 砂浜が陥没する。


 うさぎはそのまま海へ飛び出した。


 そして――。


 バシャバシャバシャバシャ!!


 海面を走る。


 水飛沫を撒き散らしながら、驚異的な脚力で突き進む。


 まるで水上バイクだった。


「因幡の白兎だああああああ!!」


 店主が思わずツッコむ。


「いや、それサメで海を渡るうさぎ!!」


 巨大イカが驚愕する。


『!?』


 うさぎは跳んだ。


「おりゃあああああ!!」


 渾身のドロップキック。


 ベギィッ!!


 巨大イカの顔面がひしゃげる。


『おんにゃのこ……』


 なんとも言えない断末魔。


 次の瞬間。


 ボガァァァァン!!


 顔面が爆散した。


 うさぎはガッツポーズ。


「やったぜ!」


 だが。


 マオが空中へ放り出される。


「あ」


 海へ落ちる。


 その瞬間。


 海を蹴りうさぎが飛びついた。


 抱きかかえる。


 お姫様抱っこ。


 マオが固まる。


「……え」


 一瞬。


 変な空気になる。


 潮風。


 夕日。


キラキラする空間。


 抱きかかえられるマオ。


瞳までキラキラしている。


 だが。


 水着が無い。


 うさぎは見ない。


 うさぎは絶対に見ない。


(見たら殺される!)


 直後。


 ドバァァァァァァッ!!


 大量のイカ墨。


 うさぎとマオを直撃。


「あ」


「あ」


 真っ黒になった。


 海まで墨色に染まっていく。


 日は暮れ始めていた。


 粘液とイカ墨まみれのマオ。


 しかも。


「……水着どこ」


 巨大イカに持っていかれたらしい。


 うさぎもイカ墨だらけだった。


 店主は腹を抱えて笑っていた。


「ははははは!! 最高かよ!」


 いつの間にか近くの漁村の人達も来ていた。


 巨大イカの解体が始まる。


「今日はイカ祭りだー!!」


「おおおお!!」


 炭火が焚かれる。


 ジュウウウウ……。


 香ばしい匂い。


 海の家からイカ焼きの香りが漂ってきた。


 その横で。


 マシロは自分の胸元を見下ろしていた。


 そして。


 深いため息。


「……戻りてぇ」


 哀愁がすごかった。


 ――続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ