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『バグったうさぎを修正できません』 ――ブラック企業の天使がヤケクソで転生させた結果――  作者: 島ながぁ
第2章白き聖女

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第48話うさぎ暴走する白

 ゴォン――――


 巨大な鐘の音が教会中へ響き渡る。


 床が震えた。


 うさぎ「……っ!」


 直後。


 廊下の奥から悲鳴が聞こえた。


「薬を……!」

「落ち着いてください!」

「皆さんを救わなければ……!」


 何人もの足音。


 狂人聖女は血塗れの笑みを浮かべたまま、ゆっくりと首を傾ける。


 聖女?「始まりましたねぇ……」


 うさぎ「……何がだよ」


 聖女?「救済です」


 瞬間。


 バキィッ!!


 廊下の壁が凍り砕けた。


 氷の槍。


 うさぎ「うおっ!?」


 飛び退く。


 そのまま廊下へ飛び出した。


 背後から狂った笑い声が追いかけてくる。


 聖女?「何故逃げるのですかぁ!?」


 氷弾が壁を穿つ。


 石片が飛び散る。


 聖女?「何故理解できないのですか!?」


 さらに魔法。


 曲がり角が吹き飛ぶ。


 うさぎ「うぉわっ!」


 職員「きゃあああっ!」


 流れ弾を受けた教団員が吹き飛ばされた。


 腕から血が流れる。


 だが。


 狂人聖女は見向きもしない。


 聖女?「何故離れるのですか!?」


「何故一人にするのですか!?」


「また皆いなくなる……」


「嫌です……嫌です嫌です嫌です嫌ですぅぅぅ!!」


 うさぎ「……!」


 混ざってる。


 ロチュス本人の声が。


 だが次の瞬間にはまた狂った笑みへ戻る。


 聖女?「白くなればずっと一緒なのに……!」


 うさぎ「ロクでもねぇ思想だなほんと……!」


 教会内部は既に混乱していた。


 白衣の職員達が互いに掴み合っている。


「薬を飲め!」

「聖女様の御心です!」

「違う!これは聖女様の望みじゃない!」


 暴動だった。


 だが誰も、悪意で動いていない。


 全員、本気で“正しい事”をしているつもりだった。


 それが余計に恐ろしい。


 ―――別棟治療室。


 マシロ「そこそこそこぉ……肩甲骨ぅ……開いてくぅ……」


 マッサージ台の上で蕩けていた。


 女性職員「血流も良くなっていますね」


 マシロ「天国……」


 その瞬間。


 教団員の目の色が変わった。


 瞳孔が開く。


 職員「……さらに健康にしなければ」


 職員「内部構造を確認しましょう」


 職員「解剖です」


 マシロ「へ?」


 ギラリ。


 メスが光る。


 マシロ「待って待って待って待って!?」


 職員達が迫る。


 マシロ「健康になった私をなめるなぁ!!」


 バシュッ!!


 妖精サイズのスタンガンが出現。


 バチィ!!


 職員「ぎゃあっ!?」


 感電。


 さらに高速飛行。


 マシロ「うおおおおおお!」


 ビュンビュン飛び回る。


 マシロ「肩軽っ!?身体軽っ!?マッサージすげぇ!!」


 バチバチバチ!!


 職員達が次々倒れた。


 マシロ「いや何してんのこの人達ぃ!?」


 ―――別棟。


 ウルシは複数の教団員に囲まれていた。


 職員「聖女様の為です」

「保護します」

「白くなりましょう」


 ウルシ「やっ……やだ……!」


 その時。


 女性職員「お止めください!!」


 割って入ったのは、先日ウルシを保護しようとしていた女性だった。


 女性職員「怖がらせてしまってごめんなさい……ですが、聖女様はこんな事望まれていない!」


 職員「逆らうのですか?」


 女性職員「逆らいます!」


 彼女はウルシの手を掴む。


 女性職員「走って!」


 ウルシ「う、うん!」


 教会内部を逃げる二人。


 廊下の向こうでは悲鳴と怒号が響いている。


 ―――その頃。


 うさぎは狂人聖女に追い回されていた。


 氷。


 炎。


 光。


 衝撃波。


 魔法が飛び交う。


 うさぎ「ちょ、待っ……!」


 壁が吹き飛ぶ。


 天井が崩れる。


 聖女?「何故理解できないのですか!?」


「苦しみを無くしたいだけなのに!」


「争いを止めたいだけなのに!」


「皆を愛したいだけなのに!!」


 うさぎ「愛が重ぇんだよ!!」


 飛来する氷槍。


 回避。


 そのまま走る。


 だが。


 うさぎ「……っ」


 脳裏に蘇る。


 赤い視界。


 転生者。


 骨を噛み砕く感触。


 広がる血。


 恐怖する人々の目。


 そして。


 姫を噛んだ瞬間。


 うさぎ「……」


 嫌だ。


 またああなるのは。


 また喰うのは。


 また怖がられるのは。


 うさぎ「どうすりゃいい……殺したくねぇ!」


 その時。


 ビリッ。


 うさぎに電流が走る!。


 うさぎ「……ティアラ」


 あの蠢く冠。


 あれだ。


 あれが原因だ。


 確証はない。


 だが。


 “あの転生者の紋章”と似ている。


 怪しさ満点だった。


 うさぎ「アレぶっ壊しゃ戻るんじゃ……?」


 だが近付けない。


 魔法の嵐。


 しかもロチュス自身がかなり限界だ。


 額から流血。


 口元からも血。


 身体はふらついている。


 まるで茨の冠。


 うさぎ「……急がねぇとマジでやべぇな」


 うさぎは地下への扉を蹴破った。


 ドゴォン!!


 そのまま階段を飛び降りる。


 聖女?「あははははっ!」


 追ってくる。


 地下なら人が少ない。


 多少暴れても被害は抑えられる。


 うさぎは薄暗い通路を疾走し――


 治療室の扉をぶち抜いた。


 ドガァン!!


 うさぎ「はぁっ……はぁっ……」


 荒い呼吸。


 狂人聖女がゆっくり入ってくる。


 聖女?「……ここは行き止まりですよ?」


 うさぎ「ここなら多少暴れても大丈夫そうだったんでね」


 聖女?「一緒に白くなってくれますか?」


「ずっと……ずっとずっとずっとずっと……私の傍で……」


 うさぎ「……?」


 なんか変だ。


 さっきより幼い。


 喋り方が。


 まるで迷子の子供みたいな――


 聖女?は手をかざす。


 氷の矢。


 ヒュン!!


 うさぎは横へ飛ぶ。


 その勢いのまま、一直線に飛びかかった。


 うさぎ「今助けてやんよ―――ガキンチョが!!」


 ―――続く

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