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『バグったうさぎを修正できません』 ――ブラック企業の天使がヤケクソで転生させた結果――  作者: 島ながぁ
第2章白き聖女

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第40話うさぎと白い国

白かった。


どこを見ても。


石畳も。


建物も。


街路樹の柵も。


道を歩く人々の服まで。


全部が白だ。


うさぎ「照り返しやっべぇな……」


白い光が目に刺さる。


サングラス欲しい。


切実に。


マシロ「変な街」


後部座席でぐったりしながらマシロが呟く。


ウルシだけは少し楽しそうだった。


ウルシ「白い!」


うさぎ「雪国かここは」


車は白い街道をゆっくり進む。


だが。


街の人々の視線が妙だった。


「……」


「白……」


「なんて神々しい……」


「耳が……」


ヒソヒソ声。


視線の中心。


うさぎ。


うさぎ「なんで?」


マシロ「アンタ白いからじゃない?」


うさぎ「そんな理由ある?」


マシロ「この街ならあるんじゃない?」


確かに。


街の人間は白以外ほぼ居ない。


髪も。


服も。


装飾品すら白。


たまに銀。


色彩感覚が終わっている。


ウルシ「……黒い人いない」


うさぎ「俺の車めっちゃ浮いてるな」


白と黒。


警備車両じみた獰猛なデザイン。


完全に異物。


だが。


街の人間達は妙に自然に受け入れていた。


「警備車両だ」


「巡礼用か?」


「最新型かもしれない」


うさぎ「バグってやがる……」


車の液晶ディスプレイが光る。


ラジオ『本日の運勢は〜白!』


うさぎ「雑すぎんだろ」


ラジオ『しろ〜〜〜』


うさぎ「うるせぇ」


街の中心部へ進むにつれ。


建物はさらに巨大になっていく。


そして。


広場へ出た。


中央。


巨大な白い建築。


塔のような教会だった。


高すぎて先端が見えない。


うさぎ「うお……」


マシロ「うわぁ……」


ウルシ「おっきい……」


その時。


教会の扉が開いた。


中から白装束の集団が現れる。


綺麗に整列。


全員同じ服。


同じ笑顔。


ちょっと怖い。


「お待ちしておりました」


「白き御方」


うさぎ「へ?」


俺?


白装束の男が深々と頭を下げる。


「聖女様が歓迎の準備を」


うさぎ「いやそんな大層なもんじゃ……」


マシロ「完全に宗教だこれ」


ウルシはうさぎの後ろへ隠れた。


男達の視線が少しだけウルシへ向く。


値踏みみたいだった。


うさぎ「……」


なんか嫌だな。


そのまま案内される。


街は本当に綺麗だった。


ゴミ一つ無い。


浮浪者も居ない。


貧民街らしき場所も見えない。


うさぎ「すげぇな……」


マシロ「逆に怖いわ」


案内役の教団員が微笑む。


「聖女様の導きです」


「この国に汚れは不要ですので」


うさぎ「へぇ……」


なんか引っかかる言い方だった。


教団員は続ける。


「この国は聖女様を中心とした宗教国家です」


「皆、平等に救われるのです」


マシロ「はいはい怖い怖い」


うさぎ「やめろ聞こえる」


案内された宿泊施設も真っ白だった。


眩しい。


白装束の女性達が服を持ってくる。


「お着替えを」


ウルシ用らしい。


うさぎ「お、子供服あるの助かる」


ウルシ「……?」


白いワンピース。


シンプルだがかなり綺麗だった。


ウルシは嬉しそうに受け取る。


その場で脱ぎ始めた。


うさぎ「待て待て待て待て」


ウルシ「?」


うさぎ「なんでそこで脱ぐ!?」


ウルシ「……?」


キョトンとしている。


マシロ「野生児かアンタ」


うさぎ「隠せ隠せ!」


慌ててシーツを被せるうさぎ。


教団員達は不思議そうだった。


価値観が違う。


かなり。


一方。


マシロにも服が渡された。


布。


細い。


ほぼ布切れ。


マシロ「私の雑じゃない?」


うさぎ「雑だな……」


教団員「小柄でしたので」


マシロ「妖精差別だ!」


うさぎ「そもそも服着てるだけ偉いだろお前」


マシロ「失礼な」


ウルシは着替え終わると。


少し照れながらくるっと回った。


ウルシ「……どう?」


うさぎ「おー似合ってる似合ってる」


ウルシはちょっと嬉しそうだった。


その頃。


外では。


黒白の車が普通に駐車されていた。


教団員達は誰も疑問を持たない。


うさぎ「白以外ダメなんじゃねぇのかよ……」


教団員「?」


教団員「警備車両はあれが普通ですよね?」


うさぎ「普通ではない」


液晶ディスプレイが光る。


ラジオ『安全運転で行きましょう〜』


うさぎ「お前は黙ってろ」


―――続く

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