名は体を表す事はあまりない・・・謎はいつか明かされる
※原作リスペクト作品です
※残虐・性的描写なし/対象年齢15歳以上推奨
※本小説の設定やキャラクターイメージはこちらから
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暗転していた画面が戻ってきたんだけど、ここはどこだろう?
「はい!ここが謎肉がいる所です!!」
素早い説明、ありがとう。
謎肉って、あのインスタントの食べ物の具材よね。
「思いっきり食品加工工場なのね」
「はい!あそこに謎肉が三角座りしてます!!」
建物の横に設置されている、いわゆる『非常階段』。
そのそばで、建物に背を預けて三角座りをしている人物。
ちゃんと人型をしているけど、黒の全身ストッキングが四角い謎肉の箱を被っている。っていうのが謎肉でした。
「あ~...なんか頭が四角い棒人間が黄昏ているわね」
「はい!行ってみましょう!!」
そもそも新人ちゃんは、どうして私に謎肉の話を聞いてこいって言ったのかしら?
それも無理矢理にこんな所に連れて来られて...これ、本当にゲーム攻略に必要なんでしょうね?
「はい!謎肉です!!」
見りゃ分かるわよ。
「ぼ、ぼぼ...ぼくは...カップラーメンの謎肉...なんだな...」
「謎肉って...いや、その前にすっごい吃音?ってやつだっけ?」
「よよよ...よく...知ってるね?」
「高校の理科の先生がそんなしゃべり方をしてて、『私は吃音だけど気にしないでくれ』って言ってたのよ」
「そそ...そう、なんだ...」
「ところで、ここで何をしてるの?」
「きき...聞いて欲しいんだな」
「何を?」
「僕の...苦悩をさ!」
突然、ミュージカル風な身振り手振りで動き回る謎肉。
色んな意味で謎な謎肉ね。
いや、謎肉だからこそなのかしら?
「僕は謎の存在なのに、その謎は解明されちゃったんだよ!ひどいだろう?」
言ってる事は良く分かるが、内容が分からない。
だけど、不思議と落ち着いている私がいる。
私、このゲームに対応し始めているのかしら?
いや、それよりも、
「急に吃音治った?」
「知らないのかい?ポジティブは吃音に対して良薬なんだよ~!」
知らないわよ。
あ、でもアメリカの女優だったか、歌うようにセリフを言うと吃音が治る。っていうのを聞いた事があるわ。
「僕は『謎肉』としてのアイデンティティを持っていたんだ!」
踊るような身振り手振りを交えて話す謎肉なんだけど、動作とセリフが合ってない。
あれね。
単に体を動かすと吃音が治るだけね。
それよりも気になる事があるので聞いておこうかしら。
「アイデンティティってどういう意味なの?」
「『僕が僕である事の理由』さ!」
「う~ん...なんとなく言いたい事は分かる感じね」
パパからは「聞くのはタダ」って教えられているので、知らない事は何でも聞くようにしているのよね。
結果、「トリビア」っていうあだ名が付いちゃったんだけど。
「そもそも、僕が生まれた時からしばらくの間は、一般的には『何で出来ているのか分からない』という事だったんだ!」
「あ~、だから『謎肉』って名前なのね」
「そうなんだ!だからこそ、僕は『謎肉』なんだ!」
あら~...『謎肉』って名前がとても嬉しかったのね。
バレエダンサーのように、あちこちにジャンプしちゃってるわ。
「あ、そういや材料って確か大豆と肉だったんだよね?」
私の「トリビア」にも『謎肉』情報は入っている。
なんでも、会社が何かの記念として公式に材料を発表しちゃったんだって。
「そうなんだ!だからこそ、僕は『謎肉』じゃなくなったんだ!」
「だから黄昏てたのね」
なんか面倒な話に巻き込まれた感じ。
巻き込まれ事故って、こういう事をいうのね、きっと。
「名前って誰かが分かれば良いんだから、『謎肉』のままで良いんじゃないの?」
今でも『謎肉』でみんなが分かるんだから、問題はないはず。
「だめなんだ!」
「なんでよ?」
「『謎』だったから『謎肉』っていう名前になったんだから、『謎』が必要なんだ!」
「ややこしいわね」
もう『謎』は無くなったし、『謎が必要』って言っても、材料が謎なだけだから、もうどこにも『謎』無いじゃん。
「僕の『謎』が知られてしまったから、僕は『謎』の『謎肉』ではなくなったんだ!」
「でしょうね」
分かってるじゃない。
「なのに、いまだに『謎肉』として認知されている!僕は『謎』なのか?どこに『謎』があるんだ?」
だから、『謎がない謎肉』って自分で言ってるんだから、答えは出てるでしょ?
「それ、単に名前が定着しちゃっただけなんじゃないの?」
「だとしてもだ!『四角い代用肉』とか、適切な言葉があるだろう!?」
「長いわよ」
それに面白味がないし、それで良いの?
「じゃあ『代用肉』でどうだ!」
もっとダメじゃん。
てか、『どうだ』って言われても困るんですけど?
「あなた、その『代用肉』でアイデンティティ...だっけ?が、大丈夫になるの?」
「だ~め~だ~!!!」
でしょうね。
「じゃあ、『謎肉』でもいいじゃん」
「だ~め~だ~!!!」
一体、どうしたいのよ!!
「僕は謎肉だけど、謎じゃないんだ!だとしたら、今現在の謎肉の『謎』は何なんだ!眠れないんだよ~!!」
「え?謎肉って眠れるの?」
「眠れないんだよ~!」
「だから、その『眠れない』はどっちの意味?」
「わからないんだ!」
「え~...じゃあ、『謎』が公表される前は眠れてたの?」
「僕が生まれた時は『謎』が公開された後なんだよ~!」
もう、『眠れない理由が謎』って事でいいんじゃない?
「それはそうと、今は『ポジティブ』と言ってるけど、話の内容は『ネガティブ』なんじゃないの?」
「あ...そ...そそそ、そうかも...知れない...」
とたんにその場に三角座りをする『謎』のない『謎肉』。
「一気にネガティブになっちゃったわね」
しまった。不要な事言っちゃったかも?
「はい!時間です!!」
突然横から声を掛けられてびっくりする私。
そういや、ドローンがいたんだっけ?
「時間って何の時間?」
「はい!裁判の時間です!!」
「裁判?」
なんで?なにが?どういう理由?
そもそも私、何かした?
「はい!新人ちゃんが『戻ってこい』と言ってます!!」
「戻ってこい?なんで?」
「はい!戻れば分かります!!」
「本当でしょうね?」
「はい!いいえ!!」
私の画面は暗転しはじめたのだった...




