背に腹は代えてしまえ・・・本質を変えてしまう勇気
※原作リスペクト作品です
※残虐・性的描写なし/対象年齢15歳以上推奨
※本小説の設定やキャラクターイメージはこちらから
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「どういう事...遊べないって事...」
新人ちゃんが大人たちの会話を聞いて、さらに機嫌が悪くなっている。
いや、まぁ、普通に私でも機嫌が悪くなりそうな会話だったけどね。
「あ~大丈夫だよ...きっと...」
「大丈夫でなかったら、出禁よ!」
こわ~...
大人6人+店長で何か話を始めている。
個人的には事務所に向かった方が早いと思うんだけど、見渡す限りでは見つからない。
結構遠いのかな?
あ、そう言えば私もアイテムボックスに何か入ってたような?
【アイテムボックス】
認証カード(赤)、バスケットボール、サッカーボール、テニスボール、バット、コンビニ傘、耳かき、4面ダイス、6面ダイス、8面ダイス、10面ダイス、12面ダイス、20面ダイス、赤いキャンディー×3、青いキャンディー×2。
なんか、増えたわね~...
ここで使えそうなのは、ボール類はダメよね。大きすぎるわ。
バット、コンビニ傘、耳かき...パッドの代わりになりそうなのはバットとコンビニ傘だけど、そもそもボールが無い。
4面ダイス...あ、サイコロってダイスって言うのね。
ダイスかぁ~...カップには余裕で入るけど、ちょっと小さすぎるし、それこそバットやコンビニ傘で打つには難しすぎるわね。
一応、ダイスの大きさとカップの大きさの比較ぐらいはしてみようかしら?
そう思って、近くの旗に近づいて、4面ダイスを取り出し、カップに投げ入れてみる。
『ちゃららっちゃちゃっちゃ~』
有名なRPGゲームの効果音のセリフが鳴ったわね...
普通は「ころ~ん」みたいな音になるはずなんだけど...
「あ!なになになに?面白そうなんだけど?」
音に反応したんだろうか、新人ちゃんが寄ってきた。
「ダイスをいくつか持ってたので、これを投げ入れたらどうかなぁ~...なんて...」
「いいじゃない!それで行こう!!」
「よし!決まり!!」
え?どういう事?
なにが決まりなの?
え?ダイスを使うの?
でも、どうやって?
「えっと...ダイスを使うのは良いんですが、どうやってゲームにするんですか?」
「いや、実は僕たちもダイスを持っててね。これを手で投げて転がして行こうって」
と、見せてきたのは6面ダイス。
確かにそれでもゲームは出来るでしょうけど、気になる発言があったわね。
なんでダイスを持ってるの?ゴルフボールを持っておきなさいよ!
「あ、おいらも持ってるよ。10面ダイスだけど」
「儂も8面ダイスを持っとる」
「私は12面」
「あっしは20面っすね」
「俺も20面だな」
だから、なんでみんなダイスを持ってるの?
「私は12面ですね」
店長も持ってるの?
「さすが、大人のたしなみですね~」
んな訳ないでしょ?
「あ...アタシ、持ってない...」
新人ちゃんがなぜか落ち込んでいる。
ちょっと可哀そうだったので、思わず、
「大丈夫よ。私、いくつか持っているから」
「本当?嬉しい!!」
あ~...こういう打てば響くような反応は確かに可愛いかも?
「えっと、これだけあるんだけど、どれにする?」
アイテムボックスから一つずつ並べてみる。
しかし、なんでこういう話の流れになったんだろうか?
「あ!これ、可愛い!!」
と、手に持ったのは4面ダイス。
ちょっと待て!
それはどう見ても転がらないでしょうか!!
「え~っと、可愛いかもだけど...」
「なに?出禁にするわよ?」
出禁にされた所で困らないんだけど、話が進まなくなりそうなは困る。
「いえいえ、なにもないわよ?どうぞ使ってね?」
「ありがとう!これで勝ったも同然ね!!」
全く勝てる気はしないんだけどな~。
私は一番転がると思う20面ダイスを選んだわ。
どう見ても、転がるのはこっちでしょ?
「さっそくやりましょ!」
新人ちゃんは4面ダイスを大きく振りかぶっている。
野球じゃないんだから、遠くに投げる必要はないし、そもそもどこのカップに入れるつもりなんだか...
「新人ちゃ~ん、旗に番号が付いているので、その順番にやっていくんだよ?」
そうなんだ。
パターゴルフをした事ないのに知っているのね。
ともかく、近くの旗には「1」って書いてある。
「で、スタート位置はここだから、ここからダイスを投げるんだよ」
「わかったわ!じゃあチーム戦ね!まずは私から!!」
ぴゅ~っとスタート地点に走って行って、大きく振りかぶる。
右手と右足を上げてるわね...大丈夫かしら?
と、思ったら、思い切り地面に投げ込んじゃったわね。
新人ちゃんは遠くを眺めている。
常連客(私)がそろ~っと新人ちゃんの足元に近づき、4面ダイスを拾い上げた。
「ねぇ、アタシのダイスはどこに行っちゃったの?」
「あ~結構高く投げ上げちゃったみたいだね。まだ落ちてきてないよ?」
と、常連客(僕)がシレっと嘘をつく。
新人ちゃん、ややこしそうだから別にいいんだけどさぁ~...
ガールズバーで働くって事は、どう考えても私よりも年上よね?どういう教育を受けてきたんだろ?
って、ダメダメ!ここはVRゲームの中なのよ!!
「じゃあ、次の人投げてね」
ダイスが落ちてこないの、信じちゃったんだ...
大丈夫か?この人...
さて、そんなこんなでチームから一人ずつ順番にダイスを投げた。
いやぁ~...私もメンバーだけどとってもシュール。
なんで、パターゴルフ場でダイスを投げてるのかしらね?
「それにしても、私のダイスはどこなのかしら?」
どこでしょうね~?
てか、どうするつもりなんだろ?あの人...
そう思っていたら、シレっと旗の近くに行くと、ぽとっとダイスを落としたわね。
「あったよ~!すごいねぇ~旗の近くだったよ~」
そう来たか。
「え~!すっごぉ~い!!アタシ天才!!」
正直、私は勝負はどうでも良いので、負けてもなんとも思わないの。
なんだけど、新人ちゃんと同じチームなので、チームとしては最終勝ちになりそうね。
予想通り、このラウンド(?)はAチームの圧勝。
これほど楽しくもない勝利はないわね~...
とは言え、新人ちゃんが悪いようには見えないのよね...
いや、悪いのか?
これは周りの大人たちが悪いのよ。
「じゃあ、次はこの『2』の所ね」
学習能力は高いのかしら?
と思ったけど、小学生でもこれぐらいは分かるか...
「そうだね。今度は僕から...」
「なんでアタシより先にするのよ!出禁ね!」
そんなんで出禁になるの?
「そんなぁ~まだ投げてないよぉ~」
だよねぇ~。
「行動した時点でアウトなのよ!ほら、さっさと退場!」
「そんな殺生な!」
「私の言う事が聞けないの!」
「え~...仕方ないなぁ~」
と言って、本当に去って行ってしまった。
いいの?
他の大人たちを見たけど、特に騒がず大人しくしてる。
店長も新人ちゃんに注意するでもなく、常連客と談笑している始末。
「ねぇ...どうして、あの新人ちゃんに文句を誰も言わないのよ?」
「俺たちはガールズバーの女の子には逆らえないんだよ」
「そおっす!新人ちゃんは可愛い!可愛いは正義!」
可愛い...のかな?
NPCって、基本的に前髪で目が隠れちゃっているのよ。
で、この子もおじさん達もみんな目が隠れちゃっているから、ぶっちゃけ分かんないのよね~。
ともかく、一人脱落(出禁)したんだけど、チーム戦なのでゲームは続行となりまして、新人ちゃんの投てき。
今度はちゃんと前に投げれたんだけど、そもそも投げ方が悪いのよ。
スタート地点と旗の中間ぐらい。距離にして目測10メートルぐらいかしら?
あくまでも目測なので正確ではないと、心の中で言い訳しておく。
他の大人たちも次々と投げていくんだけど、常連客(俺)の投げた20面ダイスがかなり転がり、新人ちゃんの4面ダイスを超えた。
そもそも4面ダイスは転がらないんだから、そうなるわよね。
「なんでアタシのよりも先に行っちゃうのよ!出禁!!」
「そんな殺生な!」
うわぁ~これはひどいわね。
これでチームBは常連客(私)しか居なくなった。
大丈夫か?このゲーム。
私も出禁は嫌なので、適当に投げる。
ただ私のダイスも20面ダイスなので転がるのよね。
と、運よく新人ちゃんのダイスにぶつかって止まった。
ちょっとドキドキしたけど、新人ちゃんは何も言わないので良かったわ。
「それにしても、これって面白いとは思えないんだけど?」
でしょうね。
普通のパターゴルフって、大人の、それもパパぐらいの人がやるようなゲームだと思うし。
「そうかい?私は新人ちゃんと一緒にゲームが出来るだけで楽しいけどね」
「アタシは面白くないんだけど?」
「おいらは新人ちゃんとパターゴルフが出来て嬉しいけどね」
これはパターゴルフでもないし、新人ちゃんは「面白くない」って言ってますが?
「アタシは『嬉しくない』とは言ってないの。『面白くない』って言ってるのよ!」
ですよね~。
「大丈夫っす。あっしは面白いっすよ?」
「アタシの話、聞いてる?出禁にするわよ?」
「新人ちゃん、ちょっと落ち着いて?」
さすがに出禁が多くなると困るから店長が動いたみたいだけど、ぶっちゃけ遅いんじゃないのかな~。
「店長!アタシは落ち着いてます!」
ほら、段々収拾がつかなくなってきたっぽわね。
「そうですよ。新人ちゃんは可愛いんですから」
「うるさいわね!アタシは店長と話をしているのよ?」
「うん、分かっているよ。新人ちゃん」
「じゃあ、店長がなんて言ったか言ってみてよ」
「新人ちゃんは可愛いって言ってます」
はい!アウト!!
「人の話を聞いてないのはあんたじゃん!あんた、出禁!」
「そんな殺生な!」
常連客(私)脱落。
とうとうチームBは消滅ね。
「そうじゃ!新人ちゃんにプレゼントを持ってきたんじゃよ。受け取って欲しいんじゃがなぁ~」
「え?プレゼント?嬉しい!ありがとう!!」
常連客(儂)が話を急に切り替える。
上手な切り替え方だとは思ったが、ゲームはどうするんだ?
私は別に構わないんだけど。
それにしても、新人ちゃんはとても嬉しそうだ。
そりゃプレゼントだもんね。私も貰えたら嬉しいけど、この常連客からは要らない。
「ほら、この可愛い感じのぬいぐるみ。可愛い感じだろ?」
なぜか『可愛い感じ』を二回言った常連客(俺)。
「確かに可愛い感じね。ありがと~」
「僕のはほら!可愛い感じキーホルダーだよ」
「ホントに可愛い感じね。ありがと~」
あれ?この常連客(僕)と常連客(俺)って、さっき出禁って言われて出ていった人じゃない?
「ちょっと、おじさん...さっき出禁って言われなかった?」
こそっと常連客(俺)の近くによって話しかけてみる。
「あぁ君か...大丈夫だぜ。新人ちゃんはお客の事を覚えてないから、また入れるんだよ」
「え?それでも、何回も出禁にされたら、さすがに覚えられるんじゃないですか?」
「そうなんだけどさ~...だから、暗黙の了解で復活は一日一回だけっていうルールなんだよ」
「誰が決めたのよ、そのルール」
「え?店長だけど?」
「マジ?」
「だって、客が来ないとお店が困るでしょ?」
「そりゃまぁそうなんでしょうけど...」
そんな話をしていたら、「きゃあ~!!」という新人ちゃんの悲鳴が聞こえる。
ビックリしてそっちを見たら、新人ちゃんが何かをこっちに向かって投げつけた所だった。
何があったのかな?
と思っていたら、目の前に投げられたものが落ちたので確認してみる。
トカゲ。
あ~、プレゼントのトカゲの消しゴムね。
てか、リアル過ぎるんじゃない?
こんなものを女の子へのプレゼントにしたらダメよね。
「出禁よ!!」
でしょうね。




