揚げ足を下せ・・・遊戯に発展しない遊技
※原作リスペクト作品です
※残虐・性的描写なし/対象年齢15歳以上推奨
※本小説の設定やキャラクターイメージはこちらから
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開けた場所に出ると、そこは広い芝生の庭になってた。
所々に棒が立ってて、棒には旗が付いている。
なんか見たことある光景ね。
あと、大人の男の人が何人か...6人いるわね...集まって話をしているのが見えるのよね。
これって、あの人たちと話をしろって事よね...
大丈夫なのかしら?
いや、話をするのは良いのよ。ゲームだから。
でもね?
...ほら...分かるでしょ?
疲れるのは嫌なのよ...
でも、仕方ないわよね...もう少しやるって決めちゃったんだから、少し我慢しましょう。
私は我慢が出来る、やると決めた事は出来る女の子なのよ!
それにしても、我慢しなきゃならないゲームって、どうなんだろ...
ともかく、大人たちが6人集まっている所に近づいてみましょう。
近づくと話の内容がちょっと聞こえてきた。
「ねぇ...君は何を持ってきたんだい?」
「俺か?俺は可愛いと思うぬいぐるみだぜ。お前は?」
「僕はね、可愛いと思うキーホルダー」
「無難だなぁ~...私はちょっと攻めて、可愛いと思うペンダントにしてみた」
「お~...攻めてるな」
大の大人が「可愛い」というものを持ち寄っているみたい。
何気に不気味だわ。
「あっしは可愛い感じのネクタイっす」
「ネクタイ?」
私もびっくりした。
それ、ものによってはセンスが良いかも!
「どこが可愛い感じなんだ?」
「あ、ここっす」
「あ~うん...可愛い感じだな」
「うっす」
問題のネクタイが見えないので分からないけど、あの感じだと可愛くはなさそうね。
「おいらは、可愛いっぽい消しゴムだな」
「どんな消しゴムなんだ?」
「トカゲの消しゴム」
ダメじゃん!!
「お~!なるほど!」
なんで歓声があがるのよ!!
ホントに可愛いんでしょうね?
「儂は、可愛いコップじゃ」
コップかぁ~...
これもセンスが問われるんだよね~
「どうじゃ!可愛いじゃろ?」
と、掲げてくれたので良く見え...ない...あれ?
「お~!小さくて可愛いじゃね~か!!」
小さいの?!
でもそれ、小さいだけだよね?きっと!
「よし!これで対策は完璧だな!」
いや...それ絶対フラグよね...
ともかく、そういう会話は聞こえてきたけど、本題は全く分からない。
こういう時はゲームの定石、「情報確認」よね。
「あの~、皆さんは何をしているんですか?」
私は近所の人からは「礼儀正しいお嬢さん」で通っているので、ここでもちゃんと大人の人への対応が出来るのよ。
「ん?君は、どこから来たんだい?」
「えっと...街から長い廊下を通って...」
としか言えない。
「あ~...なるほどね。じゃあ、君も参加者なんだ」
参加者?
疑問に思っていたら、向こう側から二人やってきた。
それを見た大人たちが急にソワソワし始める。
...なんか、微妙な空気になってない?
何も分からないので動く事も出来ず、その場で立っていたら、二人が目の前までやってきた。
「おはようございま~す!ガールズバー『ピンクのハート』の新人で~す!!」
ガールズバー?
ピンクのハート?
新人?
一切分かんないんだけど?
てか、名前はないの?
「これは皆様、よくご参集...違った...こんな所で会うなんて偶然ですね」
今度は隣にいた男性が話しかけてきた。
てか、偶然?
どう見ても計画的にここに集まったでしょ?
だって、さっき「ご参集」って思い切り言ったじゃん!
「これはこれは店長さん。どうしてこんな所に?」
と、完全に棒読みなセリフを言う。
っていうか、私は何を見せられているのかしら?
「いやいや、ちょっと新人ちゃんと親睦を深めようと思いましてな。今日はここでパターゴルフをしようと二人でやってきたのですよ」
店長さん...だっけ?こちらは違和感なく、普通な感じでしゃべっている。
でも、最初に思いっきり噛んだのは覚えているわよ?
「そうなんですね?我々も丁度今日、ここでパターゴルフをしようと思いまして、常連客で集まってみたんですよ。それもついさっき」
身振り手振りを交えて堂々としゃべっている。
だけど、やっぱりセリフは棒読みね。
てか、この男の人たちはガールズバーの常連客だったのね...
「なるほど!こんな偶然はありませんな!では、せっかくなので一緒にゲームをしませんか?」
「ねぇねぇ!そんな面倒な話は後にして、さっさと始めましょう!じゃないとみんな出禁にしちゃうわよ?」
出禁!?
てか、新人なのにそんな権限あるの?
「ごめんごめん!これをやっとかないと後で困るんだけど、もう大丈夫!」
「そうなの?じゃあ、まずはチーム分けね」
ここまでスムーズに話が進んでいるんだけど、状況は全く分からない。
いや、ガールズバーの店長と新人ちゃんと常連客6人ででパターゴルフをするってのは分かった。
「9人だから3人チームが3組ね」
新人ちゃんが指折り数えて確認してる。
三三が九なんだからすぐに分かるでしょ!
てか、9人?
ガールズバー側が2人で、常連客が6人。合計8人。
残りの1人は?私?
なぜ、私が巻き込まれたのが分からない。
てか、やるの?私?
「グーチョキパーで分けるのが良いな」
話が進んでいるけど、一応確認しておきましょう。
確認大事。
「あの~...私も入っているんですか?」
「当然でしょ?ここに居るんだもん」
何の疑いもなく私を仲間と認識している新人ちゃん。
ちょっと待って...ガールズバーってお酒を飲む所よね?
「私、思いっきり未成年なんですけど?」
「大丈夫よ。ここはバーじゃないんだから」
それはそうなんですけど...ホントに良いの?
かなり納得はしてないんだけど、流されるままにグーチョキパーの組み分けに参加する。
結果、
Aチーム:新人ちゃん、私、店長
Bチーム:常連客(僕)、常連客(俺)、常連客(私)
Cチーム:常連客、常連客、常連客(儂)
となりましたが...なんだろう...この出来レース感は...
「ところで、パターゴルフってどういうゲームなの?」
なんとなく分かるけど、ちゃんとしたルールを私も知らない。
「簡単だよ。パターでボールを転がして、そこの旗の下にあるカップ...穴にボールを入れたら良いんだよ」
だから、それは知っているんだってば!
「ところで、パターってどれ?」
新人ちゃんが聞く。
私もパターは知っているけど、見当たらない。
常連客もお互いの顔を見合わせている。
てか、店長も慌て始めてるよ?
あ~...ボールも見当たりませんけど?
ちょっと大人たち...どうするんですか?
新人ちゃんは、ここまでの経緯で「ただ単にここまで来ただけ」というのが分かるので、準備は当然していない。
私は本当に偶然ここに来ただけなので、これまた当然準備はしていない。
常連客6人と店長は、パターゴルフをする予定でここに来たのに準備をしていない。
終わってるじゃん...
「ひょっとして...誰も何も準備してないって事?」
新人ちゃんの声が低くなっている。
あ~...こりゃ怒ってるわね。
大人たちを見ると、お客の6人は見るからに青い顔をしている。
VRのアバターなので、顔色の変化は信号が変わるように良く分かるわね。
あ、この言い方はパパから教えてもらったのよ。
「いや~...普通は現場にあったりするんだよ」
「そういや、受付で貸し出してたはずだよ」
そうだよね。
私はパパと一緒にゴルフの打ちっぱなし(?)に行った事があるけど、そこにはクラブ...だっけ?が置いていたもんね。
きっと、パターゴルフ場にもあると思うんだよね。
「おい、なんでそれを言ってくれなかったんだよ!」
「いや、だってお前がここでって言ってたから、てっきり全部準備しているもんだと...」
「俺はパターゴルフ場なんて着た事はないぞ?」
「じゃあ、なんでここを指定したんだよ?」
そう、そこ!
「一番近かったし?」
「てか、普通にここしか無いんだけどな」
「あ~、そうなんだ...じゃなくて、なんで言ってくれなかったんだよ!」
気持ちは分かる。
けど、ここまでの内容はホントにカオスね。
「僕、パターゴルフなんてやった事ないし...」
あ、私もやった事ない。
「あ、俺も」
「私も」
「儂もじゃ」
「あっしも」
「おいらも!」
「まて!誰も知らねぇんじゃないか!?」
「あ...私も」
「店長もかい!」
うわぁ~...ひどい話ね...
なんでまた、パターゴルフになっちゃったのよ?




