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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第5章『夏に望むこと』
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お嬢様の望み(4)

『いらっしゃいませ! 3名様ですか?』


 俺たちは家の近所にあるファミレスにやって来た。土曜の昼時ということもあり、お客さんはほぼ満席だが、空き席はあるので運よくすんなり入れそうだ。


「はい、そうです。禁煙でお願いします」


「かしこまりました。こちらへどうぞ!」


「…………」


 店員のお姉さんに席に案内されている間、如月は店内を見渡していた。まるで世界遺産を見ているように楽しそうに目を輝かせている。


 周りを見過ぎて俺たちと離れちゃってるし……。


「のぞみん! こっち、こっち」


「あっ……ご、ごめんなさい。よそ見してたわ」


 如月は実花の声に反応して早歩きでこちらにやってくる。恥ずかしそうにはにかんでいるその表情が可愛い……。


「パパ……のぞみんお持ち帰りしてもいい?」


「お前そればっかりだな……」


 気持ちは非常にわかるが。なんだこの可愛い生物は。いろいろ教え込みたい。

 いや……いやらしい意味ではなくて。保護欲的な意味だ……マジで。


「こちらの席にどうぞ。ご注文が決まりましたら、お声がけください!」


 俺たちは店内の一番奥の席に案内された。俺の横に実花、正面に如月が座る。

 

「さあ、好きな物を食え」


「え、ええ…………」


 緊張したような期待したような期待面持ちで如月は俺からメニューを受け取ると、ジッと真剣な表情で眺めはじめた。

 さて……俺は何を食おうか……。


   ◇◇◇


 数十分後――。

 俺たちのテーブルにはぐつぐつと煮え立つ鍋が置かれていた――。

 キムチ鍋だ。


「ぱ、パパ、お、美味しそうだね……」


「あ、ああ、そうだな……」


「ふふっ、みんなでお鍋なんて初めてだわ。早く煮えないかしら……? ふふっ、楽しみだわ」 


 外の気温が30度超えてるのにキムチ鍋とか正気の沙汰じゃねぇ……。ちなみに俺も実花もそんなドMではない。

 普通に冷やし中華とかが食べたい。


 だが……メニューで顔を隠しながら照れくさそうに『みんなでお鍋を食べるのが夢なの』とか、言われたら萌豚な俺たち親子は何も言えない。


 というか、ファミレスに入ってから如月の萌度がカンストしている気がするんだけど……ここはお前の力を上げるサンクチュアリなの?


 俺で言うソープみたいな。


「……あっ、貴方、実花さん……やっぱり、夏にお鍋は非常識だったかしら……?」


「い、いやいや、家は真夏でも鍋を食べるもん! ねぇパパ? 昨日とかすっぽん鍋だったし!」


「そ、そうだな……夏に鍋を食うとか、睡眠と似たようなもんだ」


 意味がわからん。


「そう……くすっ、わたくしに合わせてくれてありがとう。わがままを言ってしまったわ」


 如月は心のこもったお礼を言いながら、悪戯っぽく笑う。ああ、くそ、可愛いなぁ……。


「あら、そろそろ煮えたのではないかしら? わたくしが2人の分もよそうわ。おわんをこっちに渡しなさいな」


「わお! のぞみん女子力高い! そして私は遠慮はしないのです。白菜多めで!! えのきも頂戴!」


「俺は肉」


「ふふっ、お待ちなさいな。今美しく盛りつけてあげるから」


 まあ、季節感は外れているとは思うが、夏に食べる鍋も悪くないのかもしれない。

 現に楽しくはあるしな……。

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