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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第4章『オトノカガヤクミライへ』
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再確認する決意

 同時刻――。

 来賓用の観客席にて――。


「みかちゃん! がんばってええええ! きずないっぱいおうえんするもん!」


「おっそろそろ実花の出番か……テンチョーが見られないのは残念だなぁ」


「先輩のことだからどこかで見てそうですけどね。社畜っぽく仕事しながら……」


(み、みんな、店長が屋上にいることに気が付いてないのかな……言わない方がいいよね……万が一店長が破廉恥なことをしていたら問題だし……はぁ)


 音無由衣は後悔の念に苛まれていた。


(うぅ……わ、私はなんてメールを送ってしまったのだろう……)


 自分のスマホを持ってため息をつく。


 数分前に偶然義孝の姿を見つけてしまった。しかも義孝は由衣が知らない女子高生とアヤメと一緒に居る。嘘をついて……。


 それからは……頭に血が上り気が付いたら……。


『……店長、女子高生と楽しそうに観戦ですか……? 逢引ですか? デートですか? 不潔ですね……』


 という感情むき出しのメールを送っていた。自分でもこれは言い過ぎだと思う……。


(はぁ……私は何様よ……彼女でも何でもないのに醜く嫉妬して……冷静に考えたらお仕事かもしれないし。アヤメさんはスーツだし……実花の競技が終わったら謝罪のメールを送ろう……)


「? 由衣さんどうかしましたぁ……? 何か元気がないようですけど?」


 その時、隣にいた明菜が心配そうに、元気のない由衣に話しかけた。由衣は急に話しかけられたことに驚くと同時に『夢野さんが今の自分の立場なら、あんなメールは送らないよね……』と、さらに気持ちが暗くなってしまう。


「い、いえ、体育祭って懐かしいな……って、思って……」


「ふふっ、そうですね。わたしは運動が得意ではないので、あまりいい思い出はありませんが……」


 由衣のとっさに出た嘘に対して明菜は優しく笑う。


(夢野さんみたいな純粋な人に「好きな人は今女子校生と一緒に屋上に居ますよ」と、は言えないわよ……お仕事にしろ店長が嘘をついた可能性が高いんだし……はぁ、店長の馬鹿)


 由衣がそんなことを考えていると――。


「まんま! もうすぐみかちゃんがでるよ! おうえん! おうえんしようよ!」


 絆が由衣の服を引っ張りながら話かけてくる。その笑顔で実花の応援をしなくては、という考えがよぎり、気持ちを切り替える。


「……そうだね。ほら、絆おいで」


「うん!」


 由衣は絆を抱っこすると、スタート位置に立つ実花に注目する。

 そして、スタートが切られると観客席から歓声が上がり、それに後押しされるように実花が走り出す。


 実花の足の速く、他の生徒ぐんぐん突き放してゆく。さらには中間地点に設置されているパンも華麗に口でキャッチ。


 その瞬間歓声がさらに大きくなり、由衣の近くにいた仲間たちも声を上げた。


 実花の走りには優雅さと気品のようなものがあり、人目を惹きつける魅力がある。


「わあああああ! 実花っちすごい!!!」


「さっすがは実花の姉御だぜ!! 周りのやつらとはレベルが違う!」


「あははははっ! 実花頑張れよ!!」


(ふふっ、実花、カッコいいな…………羨ましい…………)


 由衣は実花が走る姿を見てそう考えた。そして……そう想った瞬間自分の中にずっとあった『決意』がさらに強固になった気がした。


(やっぱり、私だけ立ち止まってなんかいられない……店長の隣に居たいならなおさらだわ。ふふっ、そのためには『リレー』で勝たないとね)


 由衣はそんな考えを抱きながら、上品に口にパンを詰め込む実花を見ていた。

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