実花に相談(3)
それから俺は実花に事情を説明した。
北条のこと。
未来がいじめられているんじゃないかということ。
さらには北条と一緒に未来の現状を調べる予定になっていること。
一通り聞くと実花は驚いたような、呆れたような顔で――。
「ほぇー、パパって次から次へとトラブルを起こすねぇー。実花ちゃんびっくり」
「…………」
やべぇ……年がら年中トラブルを起こしているトラブルメーカーの女王みたいなやつに言われた……。
だが、まあたまに自分でも『俺はどんな星の下に生まれたんだ?』と、思うことがある。普通に人は生きていていきなりJKの親になったりしないだろうし……。
「それで北条ってのは信用していいのか……?」
「うーん、未来ちゃんとおじいちゃんは否定的に考えてるみたいだけど……私はそこまで難しく考える必要はないと思うけどねぇ」
「そうなのか……?」
「うん、危害を加えるのが目的だとすると、北条ならもう血を血で洗う戦争を起こしているだろうし。財産では竜胆より上だから札束で殴ってくるよ」
「物騒過ぎるんだろ……」
本人も攻撃的な性格っぽいし、というか億を時給で稼ぐ竜胆よりも財産が上とか……はぁ、厄介な奴に目を付けられたのかもしれない……。
俺は静かに風俗に行きながら暮らしたい……。
「物騒ついでに教えておくと、パパと会ったなつきまんは次期北条の当主らしいよ? その気になればパパを社会的に殺すことも簡単だと思うよ。あはは、大変だねー」
「笑ってるんじゃねぇ! はっ!? あいつそんなスゲェーやつなの!? ちょろい感じがしたんだが……」
あと『なつきまん』ってなんだよ……。
「うーん、その辺はパパの会話技術が高いせいだと思うけど……あの子は人間嫌いの気があるから。パパの話を聞いてびっくりしちゃった……」
「いや、俺にそんな高等な技術ねぇよ……あったら社畜なんてやってなかった……って……あの子?」
ん? 実花の口振りはまるで親しい友人に対しての口調みたいだ。
実花は俺の言うことを察したのか、自傷的な苦笑いを見せ俺から視線を逸らす。
「……うん。ちょっと、黒歴史時代に……付き合いがあって。あの頃は未来ちゃんとも距離を置いてたから、未来ちゃんも私がなつきまんと知り合いだって知らないかな」
ああ、こいつ俺と会う以前は不良をやってたんだっけ……。
「…………」
……あまり言いたくなさそうだし、ここはスルーでいいか。必要だったら自分から言うだろう。こいつも家族想いだし……。
「わかった。それで未来の話だけど……」
「……あはは、パパってやっぱり優しいね」
「……うっせえ、こういうのは気がついても気がつかない振りをしろや」
「あはは、パパ大好き!」
だからうっせえよ……。
と、考えていると……実花が笑顔で口を開く。
「……私はパパがなつきまんと未来ちゃんの様子見てきてもいいと思うよ? 私は体育祭があるから動けないし。なつきまんは転校生だからその辺自由が効くし、いい子だから! それに……」
実花は悪戯っぽく笑う。
「あはは、パパ未来ちゃんのことが心配なんでしょ? 私がここでどうこう言うよりも自分の目で見た方が安心するでしょ?」
「あいつのことは心配じゃねぇよ。俺が心配なのは俺の保身だ。あいつに何かあると俺の責任だからな」
「ふふっ、そういうことにしといてあげるねっ!」
「…………」
なんか納得がいかねぇな……。はぁ、まったく面倒なことになったもんだ……。




