みんなでお昼ご飯(3)
やがて実花未来も空き教室にやって来た。
教室にいるのは俺、未来実花、三沢、新井、明菜、葵ちゃん、由衣、絆ちゃんの順で、いくつかのつなげた机を囲んでいる。
ちなみに如月とフレアさんも来る予定だったが、野暮用で来れなくなったらしい。
(それにしても……食いきれない量の弁当が並んでるな。軽く30人前はある……。まあ、明菜がいるからこれでも足りないぐらいなんだろうけど)
というか……よくこの量をここまで持ってこれたな……葵ちゃんが頑張ったって言ってたけど……よく働くな。さすが社畜。
「わあああ、おいしそう!! まんま、すごいよ!」
「ほ、本当……美味しそうですね……うぅ、私もこれぐらいできるように……」
「このレベルはあきらめろ由衣。こりゃあたし並みだぜ……明菜と未来はすげぇーな」
「み、三沢さんにそんな風に言ってもらえるなんて……ふふっ、感激ですぅ」
「いや、これはプロ並みだろ……目の前にお世辞抜きでご馳走だな……」
「よ、義孝さん……あ、ありがとうございます」
メニューも豊富でハンバーグ、オムライス、エビフライ、プリンという絆ちゃんが好きそうなものから、鯖の味噌煮、肉じゃがなど家庭的なもの、さらには自家製の漬物や角煮などある。米や酒に合いそうだな……。
はぁ……ビールが飲みてぇ……でも今はそれよりも――。
さすがに未来もこれは……未来も手伝ったとはいえ明菜に悪いよな……。
「悪いな明菜。こんなにたくさん用意してもらって……」
「いえ、未来ちゃんに手伝ってもらいましたし、わたしは料理するの大好きですから……えへへ、食材もアヤメちゃんから頂いたものなので遠慮しないでください」
「ああ……そう言えばアヤメが、またキャッチマンから力士20人前の食材が届いたって言ってたな……」
もはやただの嫌がらせなのではないか……? いや、家もかなりの分量を貰ったらしいから、ありがたいのはありがたいんだけど……。
「ふふっ、お礼ならアヤメちゃんと、アヤメちゃんのおじさんに言ってあげてください。ふふっ、さあ、皆さんいっぱいたべてください。お替りもありますから」
まあ、ここできて遠慮しても仕方ないな。今度アヤメとキャッチマンに改めて礼を言っておこう。
「アヤメちゃんか……はは、パパ、近いうちに会うことになると思うよ? 具体的に言うと数時間以内に……パパって女難の相がすごいなぁ」
その時実花が含みのある笑顔をこちらに向けてくる。なんだか、同情しているような感じがするが……。
「おい、それってどういうことだ? アヤメもここに来るのか?」
「あっ! 私の大好きな四川風エビチリがあるっ! これもらーい!」
「もうっ、お姉ちゃん、直接食べるなんてお行儀悪いよ? 私がよそってあげます」
「あああ! みきちゃん! きずなもそれたべたい」
「えっ……でも、これはすごく辛くいですよ……?」
「絆は辛いもの苦手なんだから、他のものを食べなさい。ほら、よそってあげるから。ハンバーグとかどう?」
「はんばーぐ!? まんま、ありがとう! えへへ、きずなはんばーぐだいすき」
「…………」
(な、なんか露骨に話をそらされたな……こいつには未来のことも聞きたいんだけど……それは昼食が終わったら聞くか……未来の様子はいつもと変わらないしな)
「…………」
観察してみるがいつもの未来だ。どこも変わらない。
俺の考えすぎか……でも、万が一があると……うーん、でもな。親がでしゃばるのもかえって迷惑なだけな気もするし……。
「お、お父さん、私の顔に何かついてますか……?」
俺の視線に気が付いたのか、未来はいつもの無表情ながら恥ずかしそうにこちらに視線を向ける。うむ、未来の感情についてはかなり見分けがつく自信があるけどな……。
「いや……気にしないでくれ――」
「……やった……お父さんに視姦されました……」
「無表情でとんでもないこと口走ってるんじゃねぇ!! 別に興奮してもいねぇし、辱めてもいねぇよ!」
「店長、未来……? 絆の前でそう言う会話はやめてください……」
「す、すみません……」
「ご、ごめんなさい……」
普通に恐い笑顔の由衣に親子仲良く謝った……。
はぁ、とりあえずご飯を食べよう……。




