Jkとお話(2)
さて……僕は人間は現実を見ないことも重要だと思います。はい。
「さて、ジョン君、私の話を聞きなさい! 普段なら正座させて聞かせる感じだけど……まあ、ジョン君が仕事中なのは理解してるわ。特別に、あんただから、仕事しながらでもいいわ! 感謝しなさい!」
「…………へ、へーい」
俺は偉そうに言い放つお嬢様の言う通り屋台の中で仕事を始める。そして、北条は――三沢が持ち込んだパイプ椅子に上品な仕草で腰かけ、機嫌よさそうに俺が仕事をする姿を眺めてくる。
おい、お前本当に居座る気かよ……ぶっちゃけ邪魔なんだが……これから忙しくなりそうだし……。
「……ふんっ、なによ?」
しかし、お嬢様は俺の迷惑そうな視線を気にする様子もなく、色っぽく足を組む。お前は本当にJKか? ……オーラが態度のでかい女優みたいだぞ……。
「…………」
だが、俺は謙虚で腰の低い日本人、はっきり言葉にすることはできない。ここは無言のプレッシャーで帰って頂こう。任せろ迷惑そうに仕事をするのは得意だ。
というか……北条っておっさんから見ると……まさに今時のJKって感じで怖い。完全な被害妄想なのは理解しているが……おやじ狩りに合いそう……。
「……ジョン君、空気が重いわ! 私が話を始める前に空気を温めないさっての。面白くなければ痴漢にあったって叫ぶわ」
「おい、無茶言うんじゃねぇよ。てめぇは何様だよ……たくっ」
俺が黙ってられたのは5秒だった……はぁ、何でこいつは俺に絡んでくるんだよ……。
「お前さぁ、ここの生徒だろ……? こんなところに居ていいのかよ?」
「はぁ? あんた何言ってるのよ! 私は特別なの。ふっ……あとは『転校生』の特権というものよ」
「へぇ……お前転校生なのか……」
俺は大して興味がないので、適当に相槌をうちながら、ポッポコーンの機械に素を入れて、さらにはわたあめの機械の電源を入れる。
だが、北条は俺のぞんざいな態度をたいして気にする様子もなく、偉そうに足を組み替える……おい、すぐ近くで色っぽい仕草をするんじゃねぇよ……。
「そうなの。ふっ……美人ってのは大変よね。クラスの連中から色々聞かれたわ」
「へぇ……そうか」
「彼氏がいるか? とか、好きなタイプはとか? ふふ、そんなこと聞いてどうするっていうの? ふっ、相当いい男じゃなければ私と釣り合わないっての。ジョン君もそう思うでしょ?」
「へぇ……そうか」
「はぁ、ずっと質問攻めって疲れるっての。はぁ、肩がこるわ」
「へぇ……そうか」
「まあ、彼氏がいるか? とか好みの男とか、聞いてきたのも、全部あんたの娘なんだけど」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
あいつはどうしていつもトラブルの渦中にいるの!? って……まず!
「ふーん、やっぱりジョン君は竜胆姉妹の父親なのね……それなら、とっておきの『情報』を提供できるわ」
「…………」
ああ……凡ミスだ……。これ俺が後で娘たちに怒られるやつじゃ……。
い、いやでも……こいつの場合、最初から察してたぽいっからセーフなんじゃないのか……? ま、まあ、そう考えておこう。
「はぁ……お前、それ他のやつには言わないでくれよ……?」
「何で、私があんたの言うことを聞かなければならないのよ」
「わたあめ……やるよ」
「…………それは美味しいの?」
なんか……簡単に買収できそうだ。お金持ちっぽいから逆に珍しいのか……? なんにせよチョロい……。
はぁ、なんだか今日1日で川島家が抱える問題が増大した気がする……。




