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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第4章『オトノカガヤクミライへ』
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未来の苦悩

   ◇◇◇


 同時刻――。

 未来、実花、望のクラスにてホームルーム中――。


 教室の壇上には担任である細川が立ち、今回の体育祭の注意事項を説明しいた。


 細川は女性の4年目の教師で、その雰囲気は教師というよりはできる社長秘書のような雰囲気がある。


「外来の方も来ていますので、くれぐれも節度を守ってください」


「…………」


 そして……竜胆未来は、1番の後ろの窓際から2列目の席に座りながら、そんな教師の言葉を聞き流し、まったく別のことを考えていた。


(…………お父さんは今、何をしているでしょうか…………?)


 窓の外を見ながら父親の姿を探すが……残念ながら今いる場所からは確認することができない……。


(…………でも、屋台が設置してある場所あたりから人の声が聞こえる気がします…………うぅ、こんなところで注意事項なんて聞いていないで……お父さんのお手伝いがしたい)


 そんなことをぼーっと外を見ながら考える……すると――。


「竜胆未来さん、私の話を聞いてましたか……?」


 壇上に立っていた細川が未来をキッとにらみつける。どうやら、話を聞いてなかったのが感に触ったようだ……。

 未来は悪いと思いつつも……細川の一声のおかげでクラス中の視線が集まって、居心地が悪くなり……つい……。


「はい。聞いていました。外来への節度を守った態度と、昼休憩時の注意点ですよね? あとは体育際の開会式の流れです」


 冷たく答えてしまう……。


「そ、そう……聞いているのならいいのよ」


 細川はつらつらと無表情で語る未来に、大物の雰囲気を感じ取ったのか、一歩下がりたじろく。


 その様子を見て未来は申し訳ない気持ちになる……。


(……あ、先生が言いそうことを適当に言ったら当たっちゃったみたい……聞いてなかったのは本当なのに……先生に悪いことをしてしまいました……)


 未来がそんなことを考えていると……。


 コンコン――。


 壇上近くの扉がノックされ、教頭が教室に顔を出す。


『細川先生……少しよろしいですか?』


「えっ……? は、はい……皆さん、少し待っていて下さい」


 そう言うと、細川は申し訳なさそうに生徒に頭を下げると、教頭がいる廊下に出て行った。その礼儀正しく落ち着いた態度に教室の男子生徒が見惚れている。


 細川が教室から出ていくと、生徒たちは自由に話始めーー。


『細川先生って、美人だよなぁ……』


『ああ、彼氏いるのかな……いるんだろうな……』


(あの先生……やっぱり人気があるんですね……美人で態度も大人っぽくて上品で……お父さんもああいう女性が好きなんでしょうか……?)


「ねぇ、未来さん……」


 そんなことを考えていると……隣の席の望が話しかけてきた。

 望は何かを言いづらそうにしている。


「ねぇ、未来さん、わたくしが言えたことではないのだけど……未来さんとは別の意味で浮いているので……」


 望みがそこまで言って、未来は望が何を言いたいかを察する。

 どうやら、未来の素っ気ない細川への態度が気になるようだ。未来自身も細川はもちろん、クラスメートたちの何人かに、その冷たい態度からよく思われていない自覚はあった。


「ああ……別に喧嘩を売るつもりはなかったのですが……注目されたので……つい……」


「はぁ……未来さんは誤解されやすいのだから、注意しなさいな。実花さんみたいに誰とも仲良くなれとは言わないけど……」


 望は前の方の席で楽しそうに女生徒とお喋りをしている実花に視線を送る。

 望の口調は優しく、嫌味を言っている感じは全くない……むしろその逆だ。


「…………」


(……望さん、ため息をついているけど……私のこと心配してくれてるのかな……? うぅ……お父さんを争うライバルではなければ素直にお礼を言うのですが……でもさすがにお礼ぐらいは……)


「…………」


「ふふっ、未来さんって義孝さんにそっくりよね……」


「えっ……? ど、どんなところかですか……? 詳しく教えてください」


「そうやって、非情になれなくて、悩むところなんてそっくりだと思うわよ?」


「…………」


(自分ではわかりませんね……でも、お、お父さんと似ている……う、嬉しいです……)


 未来はいつも通りの無表情だが……見る人が見れば機嫌がよくなっているのがわかるだろう……。


『み、皆さん、静かにして下さい』


 その時、細川が教室に戻ってくる。その顔には大きな戸惑いの感情が見られた。


(ん? どうかしたのかな……? 先生、何かすごく戸惑っているみたいですけど……)


 そんな細川の空気を他の生徒も感じ取ったのか、教室がしんっと静まり返る。


「え、ええ、突然ですが……転校生を紹介します。は、入ってきてください」


(……体育祭のこのタイミングで……? ……何でしょうか……とても嫌な予感がします)


 何故だが、未来の胸中に言いようのない不安が渦巻いた……。

 そしてそんな不安を煽る様に……『転校生』が教室に入ってくる――。


「ふっ、私の名前は『北条夏輝』よ。私とクラスメイトなれることを光栄に思いなさい」


 偉そうな態度だが……どこか気品があるツインテールの美少女――。


(…………よりによって『北条』…………はぁ、嫌な予感は当たりましたね…………)


 未来はその『聞き覚えのある苗字』に頭を抱えたくなった……。

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