宣戦布告(3)
「さあ、ジョン君。あんたに話があるの」
「…………」
さっきまでの強い口調が少しだけ和らいだ気がする。
(あのよくわからない会話で仲間意識を持ったのか……? こいつマジでチョロいな……)
俺はどうやら北条という美少女の好感を得たらしい……人間という生き物は第一印象が大事だからな。
それをクリアすると、信頼関係を築くのは難しくない。
まあ、普通はその第一印象をどうにかするのかが問題なんだけど……。
(待て待て……如月の件と言い俺は最近JKにモテすぎじゃねぇか……? まあ、モテてるわけではないのか……? 竜胆がらみぽいし……)
「何よ、キョトンしちゃって。何か気になることがあるっていうの?」
「……いや、気になることしかない状況なんだが……逆に何から聞いたらいいのかわからねぇよ」
ここは向こうも敬語じゃないし、俺も普通に喋らせてもらおう。
「それもそうね。なんでも聞いてくれてもいいわ。あんた相手なら、相当なことではない限り怒らないわ」
「なんでもね……」
偉そうにそうなことを言ってくる。うーん、こう見ると高飛車なお嬢様って感じだな。なんか……素直に従うのは癪に障る……。
ここは大人として「なんでもなんて言うのは危ないよ?」てっ、いう注意喚起を込めて、いつものノリで行くのが正しいのではないか?
まあ、ごちゃごちゃ考えたが本音は……こいつの慌てる様子を見てみたい!!!
「なぁ、お前胸のサイズってどのぐらいなの?」
そんなに大きくは見えないが……。
「…………な、な、なっ!! あ、あ、あんた初対面の女に何を聞いてるのよ!!」
北条は顔赤くして、その場から2、3歩下がる……。あっ、なんか、その普通の恥ずかしがる反応は新鮮だな……如月は素で答えるだろうし、実花未来は喜んで教えてくる。由衣に関しては……笑顔でブチギレてくる。
そう考えれば普通には恥ずかしがるのは明菜ぐらいだな……って!! こに反応だと普通にセクハラなんじゃないのか……!?!?!?!?
「ま、待て! お前が何でも聞けって言ったんだろう! 俺は己の本能に従ったまでだ!」
「ジョン君! あんたの頭には常識というものがないの!?」
それはもっともだ。なんも言い返せねぇ……だが、負けを認めると捕まりかねないからな。ここは苦しくても押し通すしかない。
「おいおい、男が女の胸に興味があるのは仕方のないことだ。なんでも聞いてくれと言われたら、それを聞くのは当たり前だ」
「そ、そうなの……?」
はい。ドン引きです……完全に自業自得だが、女子高生の蔑まされた視線にさらされると悲しくなってくる……。
だが、今の俺に悲しんでいる暇などない。一刻も早く自分の言葉を正当化しなければ……ああ、俺は汚い大人になってしまったな。
「い、いきなり、落ち込んでどうしたっての?」
「ああ、気にしないでくれ、歳を取ることの悲しみを噛みしめていたところだ」
「意味がわからないっての……」
大丈夫だ。俺の言葉の意味を全部理解する方が変人だ。
おっと……話を戻すか。
「わ、悪い……さっきのは忘れてくれ。あとできれば噂とかも流さないでくれると……」
「ふん……誰にも言わないから安心しなさい。言う相手もいないしね」
ん、それは嬉しいんだが……あっ、北条の顔がさらに赤くなった……。
「それに……あ、あんたがどうしても知りたいなら教えてあげなくないっての……」
ん? せっかく話題を変えようとしたんだが……。
「べ、別にあんたのためじゃないんだからっ! 教えるのはジョン君と有効な関係を結ぶためであって……私のためで……」
「…………」
な、なんだ。このただのツンデレは……。
よ、よくわからんが……こいつの胸のサイズを聞いてしまったら、後戻りができない気がする。自分で聞いたことだけど!
だが、俺がそんなことを考えてるうちに北条の恥ずかしさが限界を向かえたらしく、キッと俺のことをにらみつける。
その顔には余裕が一切ない。どうやら、胸の話題とかを男にされるのにまったく馴れていないようだ……。
「も、も、もう!! こ、こ、こんなずじゃなじゃったのに!! ジョン君!! 後でまた会いに来るから覚悟してなさい!!」
「お、おい……」
「わ、私はCカップよ!! この変態!!」
北条は早口でそうまくしたてると……踵を返して校舎の方に走っていった。
な、何だったんだあいつは……いや、半分以上は俺が悪いのはわかってるんだが……。
俺は北条が去っていった道を呆然とした表情で見る。まるで……通りがかりの台風にあったのような気持ちになった……。




