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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第4章『オトノカガヤクミライへ』
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変化の楽しみ

 さらに一方その頃ーー。

 食堂の窓際の端の席にて――。


 早朝から優雅にコーヒーを飲む少女がひとり。名家である如月家の令嬢である。

 その育ち良さや血筋からくる品の良さは周りの空気さえ変える。


 それが歴史のある家系の力である。今の食堂は望の見えない力により、雰囲気はまるで高級ホテルのラウンジのようだ……。


「…………はぁ」


 そんな他の人間から見れば住む世界が違うと思われている望だが……神ではない。人間なので……悩みはある。それも……できる女のオーラを纏う望からしたら酷く乙女チックなものだ……。


「……………はぁ」


(…………さすがに朝5時に『偶然会った』はやり過ぎたかしら…………?)


 如月望は自分の行動に絶対の自信を持ちながら生きている。『自分は最適解を選択し、間違いなどない』というプラス思考が根底にある。なので……後悔というものを滅多にしないのだが……。


(何が『用がある』……よね……早く目が覚めたから義孝さんの顔を見に来ただけなのに……はぁ、フレアには生暖かい目で見られるし。はぁ……散々ね)


 望は一口コーヒーを飲む。これはお気に入りのメーカーの物を取り寄せて水稲で持ってきたものなので、自販機にコーヒーとは香りが違う。

 普段なら大好きなコーヒーを飲めば考えがまとまり、いい考えのひとつやふたつ出てくるものだが……。


「はぁ…………どうすればいいのかしら…………? わたくしが虜になってどうするのよ」


 義孝と話すようになってから約3ヶ月……仲は良くなっているが、結婚するほどの関係になっているとは思えない……。


「…………やはり色気がないのが、いけないのかしら。娘たちは色気たっぷりだもの」


 望は近くに誰もいないことをいいことに自分の胸を揉んでみる。

 もみもみもみもみ……。


「…………はぁ」


 ……だが、手のひらには望んでいる感触はかえってこない。正直揉んでいても悲しい気持ちにしかならない……。


(い、今わたくしは成長期だもの……もう少しすれば……夢野さんぐらいになるわ……確か、食堂の自販機に牛乳が売っていたわね……後で買いましょうか……)


「…………ふふっ」


 そんなことを考えて、望は自分自身の考えに思わず笑いだしてしまう

 望は自分という人間はよくも悪くも冷めていると考えていた。だが、今の自分はどうだ。


 婚約者? に朝から会いに来て、自分の胸の大きさを気にしている。

 

「わたくしって乙女ね。自分で言うのはどうかと思うのだけど。嫌いではないからいいのだけど……でも『期限』は待ってくれないわ」


 自分の変化に嬉しく思うと同時に……そんな変化を与えてくれた時間が終わるのが怖くもあった。そう……望には『制限時間』がある。

 だからこそ、悔いのないようにしたい。


(恋愛……は自分の思い通りならないわね……くすっ、だからこそ面白いのかもしれないけれど)


「…………そんなことを考えていたらまた義孝さんの顔を見たくなってきたわね……はぁ、利益優先の恋愛なのに随分本気ね……わたくしは」


(でも……今お仕事中なのだから、さすがに迷惑よね……あ、そう言えば……フレアが今日は食堂と連携して警備業務をすると言ってわね……まずはフレアに会いに行きましょうか)


 望に脳裏に名案……というには穴だらけの案が降ってきた。


「まあ、わたくしの真意を知られても、それはそれでプラス要素になるわ……あの人は女子高生に好かれて悪い気はしないでしょう。くすっ、差し入れでも持っていこうかしら」


 そう考え、望は足取り軽く警備室を目指した。

 ――もっとも、今事務所では義孝が精神的に追い詰められているのを……望は知らない……。

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