未来の願い
◇◇◇
竜胆未来にはひとつどうしても叶えたい願いがある。
それは普通の人からすれば他愛もないことなのかもしれない……普通なのかもしれない。だけど、今の未来にとっては全てをとしても叶えたい願いだ。
「…………」
それは――家族でずっと一緒に暮らしたい。それが未来とって全てであり、何よりも叶えたい願いだ。
未来が義孝に聞こうとしたのがまさにそれだ。『彼女ができても一緒に暮らせるか?』ということだった。
……義孝の周りには魅力的な女性たちがいる。その事実が未来を不安にさせたのだ。
(お父さん……お父さんは仮に……『彼女』ができても私と……私たちと一緒に居てくれるかな…………って、それを簡単にお父さんに聞いてしまうのは負けを認めるみたいで、嫌ですね……私とお姉ちゃんはお父さんの愛をふたりじめするんだから)
「ん? み、未来どうした……? きゅ、急に笑みを浮かべて……お前が笑みを浮かべるなんて珍しいな……」
「……………」
(あ……本当だ。私笑顔になってる……自分でも珍しいと思う……でも、それもしょうがないか。お父さんが愛してくれてるのがわかるから……)
義孝は急に笑みを浮かべた未来に対して面白いぐらいに動揺し、心配そうにしている。
未来はそんな義孝を見て、不謹慎ながら嬉しくなってしまう。自分は大切にされている……そんな気がするからだ。
(私……由衣に負けません。体育祭で勝って『告白』なんてさせません……極、極、極わずかですが……お父さんが由衣を受け入れる可能性がある以上、簡単にそんな機会を与えるつもりもありません……万が一、協力してリレーで勝利した余韻で『もしも』が起こらないと限りませんから……)
「み、未来……? ほ、本当にどうした? あ、あれか? は、腹でも減ってるのか? よ、よし今から三沢にフランス料理のフルコースを作らせるから」
未来が考え事をしている間にも義孝の慌て具合はどんどんどん酷くなっていく……このままでは本当に職権乱用してパーティ料理を用意しそうな勢いだ。
「……ふふっ、やっぱり、何でもありません。お父さんに聞くことなんてなかったよ」
「は、はい……? な、何だそれは……?」
「気にしないでください……さあ、私も手伝うから早くお仕事すませましょう……お父さん」
「ん……?」
未来はまだ娘の心中がわからず不思議そうにしている義孝にいつもの無表情に戻った顔を向ける。だが、その無表情はどこか楽しそうで――。
「私、負けないからね」
未来は心の中で闘志を燃やす。
父親と一緒にずっと居たい……そんなミライへの願いを抱きながら……。
3章終了です!!!!
4勝は体育祭当日です!!!!
果たしてどのチームがリレーに勝つでしょうか!
最後に屋上に居たのはどんなツンデレなのか!
葵ちゃんは大活躍するのか!
お楽しみに!!!




