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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第3章『ミライヘノネガイ』
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体育祭前日(1)

 ゴールデンウィーク終わり平日が4日過ぎた金曜日の15時――。

 昼の営業も落ち着き、俺は由衣と共に外の校庭近くの通路で、明日の体育祭で使う屋台の組み立てをしていた。


 屋台は本社から借りたもので、マニュアルはわかりやすく、部品も少ないので素人でも組み立てられる設計だが……材質が鉄なのでこれが結構重労働だ……ネジ止めとかも数が多いから大変だ……。


「…………」


 連休明けの週の仕事とはつらい……今まで休みだった分、精神的にも、休み明けのせいでご飯を作らないお母さん多いのかお客も多く仕事量的にもつらい……。


 いや……お客が多いのはいいことなんだが……。


 とにかく……俺は疲れ切っていた。だが、それも今日で終わりだ。


 金曜日だ。金曜日なのだ。明日は休みで昼間っからビールを飲もう。未来にお願いすれば機嫌よくつまみを作ってくれるだろう。それで1日中ゴロゴロして過ごす……。と、思いたい……。


 だが、世の中とは無常だ……俺、明日、仕事……。


「…………ああ、爆発すればいい。みんな爆発すればいい」


「……店長、校内で物騒なことを呟くのはやめてもらってもいいですか……? 今は周りに人がいないからいいけど、誰か来るかもしれないですし」


 俺は願望がつい口に出てしまったらしい……割と本気で由衣に怒られる。

 ……ひとまわり以上離れてる女の子に怒られる中年がこちらです。


「……聞いてくれよ由衣、俺たちは明日も仕事なんだぞ? 大型連休のあとに6連勤だぞ……まるで夢から現実に引き戻されたようだ。絶望感半端ない。泣くぞ? 大の大人が休みが貰えないからって理由でわんわん泣くぞ?」


「…………はぁ」


 早口でまくし立てるダメ中年の俺。

 その反応を見て由衣が大きくため息を吐く。


「店長、明日は普通の仕事ではなく体育祭なんですよ? そこまで悲観的にならなくてもいいじゃないですか……。私は、仕事への意識が足りないかもしれませんが、少し楽しみですよ……?」


 呆れながらそんなこと言う由衣。

 ば、馬鹿な……こいつ正気か……? 仕事が楽しみとか狂気の沙汰だぞ……。


「お、お前仕事が楽しみって大丈夫か……? な、何か悩みがあるのか……? そ、それなら悩みを聞くぞ……? というか、お前……精神病院に行った方がいいんじゃないか?」


「はぁ……私からしたら店長こそ精神病院に行った方がいいかと……仕事嫌い過ぎじゃないですか……? 多分、私の方が多数派ですよ?」


「…………みんな少なからず仕事を楽しんでるだと……世の中腐ってやがる」


 そう言われるとそうなのかもしれないが……。

 世の中には毎日の仕事が楽しすぎて仕方ないとか言う人もいるかもしれないし……。


「まったく、店長は……。いいから、さっさと終わらせますよ」


 俺の肩をポンポン叩きながら、笑顔を見せる由衣。

 もうどっちが店長かわからない……。


「へぇーい」


(はぁ……文句ばっか言っても仕事は終わらないし、仕事するか……)


 そんなことを考えてると――。

 由衣が屋台を支える2メートルほどの鉄柱をひとりで持とうとし――。


「きゃ……!」


 持ち上げたはいいが、予想以上に重かったのかその場でバランスを崩す。

 近くにいた俺はとっさに由衣の肩を後ろから支え、そのまま由衣の身体を胸で受け止める――。


「お、おい、大丈夫か?」


「あっ……は、はい。そ、その……」


 居心地悪そうにする由衣……それもそうか俺に受け止められているような形だし……。


(なんか……いい匂いが……)


 その時、由衣のつけてる制汗スプレーの香りかふわっと鼻をくすぐる。飲食系の仕事ということで匂いは弱いが……いい。

 お、俺は変態か……!


「わ、悪いすぐに離れるから……」


 とっさに離れようとすると……。

 なぜか慌てたようにぶんぶんと首を振る。俺は由衣の背中を支えているため、角度的にその表情は見ることはできないが……由衣の耳が真っ赤になっていることはわかる。


「だ、駄目です! そ、そのいきなり離れると、その、そ、そうです。危険です……い、今絶妙で、危機的なバランスをとっていて、店長が少しでも動くと、私はこの鉄柱に巻き込まれて死にます!!」


 そ、そんな大事なの!?


「だ、だから……し、しばらくこのままでないと、わ、私、泣きます。上司の前で絆みたいにわんわんと……」


「な、何俺みたいなこと言ってるんだよ……使用料取るぞ……」


 俺は照れながらそう言う。さすがに若い子とここまで密着する経験は風俗以外ではそうはないからな……多少緊張はする……だけど……。


「うぅ……あ、あと……30秒でバランスが取れます……」


(よくわからんけど……こいつも急なことで慌ててるんだろう……多分。真意はわからん……でもこいつ、異性への免疫なさそうだしな……ここは落ち着くまで待つか……)


「わ、わかった……」

 

 俺はそう答える。


(ああ……こいついい匂いするし肩とかも細いな……それに髪も綺麗な金髪だし……いかんいかん、この体制を許されてるってことは信頼されてるってことなんだから……おそらく)


 俺は煩悩まみれで周りを見る。幸い人はいない。

 ここは木で校庭や校舎からは死角になってるから遠くから見られる心配はないけど……。もし、誰かに見られたらやばいからな……。


(こんなおっさんと噂される、と由衣が可哀そうだしなぁ……)


 今の俺は……由衣と身体が密着してることからくる緊張と、由衣への心配で頭がいっぱいだった。

3章はあと数話で終わりです。

予想以上に長くなってしまったため、体育祭当日は4章となります。


新キャラ(ヒロイン?)なども出し、盛り上げていきますので、今後ともよろしくお願い致します!


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