いつもの日常(3)
すみません……
先日夜に書きかけのこの話が上がってしまっていました……。
一度削除しました。
こちらが完成版になります……申し訳ございません……。
葵ちゃんから愛のある? 電話があってから数時間後の11時――。
嵐のような仕事量の営業準備を終えた俺と三沢は、12時の営業までのつかぬ間の時間、事務所でうなだれていた。
さすがに……連休明けの業務はきつい……。1番体力を使う営業に備えて仮眠をとりたいところだが……。
三沢に師事したいことがあるので、眠気を堪えてスマホを片手にキラキラした少年のような目で、三沢と話していた。
「なあ、それで番号登録はどうするんだ? あと、アプリのダウンロードっての、よくわかんねぇんだけど」
機械に疎いおっさんにいきなり最新式のスマホを渡されても、普通に使いこなせるわけがない。
前のスマホは電話、メール、ネット……この3つしか使ってなかったからな……。
だけど、このスマホは最新と言うだけあって、様々な機能が備わっているらしい、まあ、現状だと半分も理解出来てないが……これはいい機会だ。
使いこなしてダンディーなイケメン中年になってやろう。
……骨格は変えられないけどな。
「あはは、テンチョー、子供みたいに目を輝かせてるなぁ。どれだけ嬉しいんだよ」
「うっせえよ。このスマホだけじゃなくて、あれだけの美女から誕生日プレゼントを貰うとか、一生にあるかどうかだぞ! はしゃいで何が悪い!」
「それはわかるけどなぁ……あれだけの美女たちどっから集まってくるんだか……」
肩をすくめて呆れたように言う三沢。
「それには俺も同意見だ。まったく娘たちが来てから俺の女運はどうなってるんだ……? モテ期か? 去年までは若い女なんて葵ちゃん程度としか話す機会なかったのに……」
「それは葵に失礼だろ……あいつも充分可愛いぜ。平均的に」
……お前も酷いって。
「でも、テンチョーのモテ期か……」
「おい、冗談を真に受けるな。さすが『モテモテになってるぜ!!』っていうほど、妄想が盛んな歳はとっくに過ぎた」
「……はぁ、テンチョーって天才だよなぁ……」
なんだいきなり……それは自他ともに認めることではあるが……。
「あたしが深くかかわることでもねぇな。それよりスマホだろ?」
三沢が気持ちを切り替えて俺のスマホの画面をのぞき込む。なんか三沢の含むような態度が気になるが……まあ、いいか。
どうせ、天才様である俺にもわからないことはあるんだし。特に若い女性の心理などだ。もうラビリンス。
「それで、テンチョー、何がわからないんだ? てか、由衣に聞けばいいんじゃねぇか? あいつなら喜んで教えてくれると思うぜ」
「あ、ああ……実際最初にあいつに聞いたんだけど……」
その時の様子を三沢に説明する――。
◇◇◇
『店長、それならWi-Fiを繋ぎましょう。便利なアプリ沢山落としましょう。睡眠管理アプリに占い、それから万歩計に、食事管理アプリに――』
◇◇◇
「……あたしが、もしそんな女子力の塊のアプリを入れられたら暴れるな」
それもどうかと思うけど……でも、あっちは良かれと思ってやってくれているわけだから、非常に断りづらい……。
あの態度だと悪意はないだろう……由衣って世話好きだからな……。世話を焼かれるのはうれしいんだが……素直に従っているとそのうち食事管理とかもされそうで怖い。
なんかダメ人間になりそう……。
それに……。
「由衣には頼めないことがあるからな」
「頼めいないことってなんだ……?」
「それはもちろん風俗専門のナビアプリのダウンロードだ。これGPSとかで案内してくれるのはもちろん、デリヘル使用時のホテルの予約の時とか超便利らしい」
「……そんなのあたしにも聞くなよ。何であたしに聞けばいいと思ったのかが気になるぜ……」
納得がいかないのか、不満げに呟く三沢。
いや、だってな……人は見た目で判断してはいけないとは言うけど、お前の場合は派手な髪型とロックなファッションの印象が強すぎて、ある程度は仕方がない。
とか、考えていると……。
『へぇ……随分と面白そうなお話をしてますね』
その時、事務所の入り口から、背筋がゾッとするほどの冷たい声が聞こえた。
振り向くとそこには……得意のごみを見るような目をしている由衣がいた。
「い、いつからそこに……?」
「店長が、麻依さんに風俗サイトのダウンロードとか、言ったあたりでしょうか……セクハラ店長の馬鹿。ごめんなさいね……ふんっ、風俗サイトの使い方を知らなくて」
「す、すまん……」
「大丈夫です。私は店長がエッチで変態で性欲お化けということを知ってますから」
な、何も大丈夫じゃねぇ……。大丈夫って言葉の意味知ってるか……?
う、うむ。話を変えよう。仕事の時間なのだから仕事の話をしよう、社畜は社畜らしく。
「み、三沢、生名さんに申請を出していた体育祭の件って聞いてるか?」
「……話の逸らし方が露骨だなテンチョー」
うっせえ。ここは多少強引にでも話題転換した方がいいんだって。
「えっーと、売店の件だよな。ドリンクと弁当屋の」
俺たちは体育祭当日に朝から昼にかけて、来賓者に向けて弁当屋やドリンクを販売することになっている。まあ、この学校は体育祭の日は家族で弁当を食べるのが習わしみたいだから、弁当が用意できない人のための施策だ。
それで……三沢と悪乗りしてわたあめとタピオカドリンク、ポップコーンの販売申請を出した……。あの時はどうかしてた……まあ、高校の体育祭で通るはずがないと思っていたが……。
「それなら、学校の許可は取ったって。学校も乗り気らしい。それで自由にやれってさ。わたあめ機とかは本社からリースするってよ」
「ま、マジか……」
やべぇ……本当に通ってしまった……。この学校本当にお祭り好きな校風だな……。
「自由にやれって……信用されてるのか、放任されてるのかわからんな……」
「店長は信用されてますよ……ふんだ」
「ゆ、由衣、いい加減機嫌を直してくれよ……そ、そうだ。体育祭当日、絆ちゃんを連れて来てもいいぞ。葵ちゃんが来るらしいから面倒を見てもらおう」
「えっ……? いいんですか……?」
「ああ、さっきメールで聞いたらOKだってさ。むしろ面倒を見たいそうだ」
(絆ちゃんはみんなのアイドルだなぁ)
そんなことを考えていると……由衣が小さい声で何かを呟く。
「……はぁ、店長本当に風俗好きがなければものすごくかっこいいのに」
「えっ……」
「いえ……ふふっ、なんでもありません」
「テンチョーは気にしなくていいことだぞ?」
? まあ、機嫌が直ったのならそれでいいか……。
その後、新井も呼んで営業が始まるまでの時間、屋台のことを軽く打合せした。




