プレゼント!!!(3)
如月が部屋から出ていき、絆ちゃんとアヤメも面白がってその後を追って行った。
部屋には川島一家と明菜が残された。
「私も絆を追いかけた方がいいですかね……」
「いや、アヤメがいるから大丈夫だと思うぞ」
アヤメはああ見えてしっかりしてるからな。任せても問題ないだろう。
それに如月の奴はーー。
「お父さんの言う通りです。如月さんは性格的に大勢で来られることを嫌うと思います……」
「同意見だ……あいつ、大物ぶってるけど、意外に恥ずかしがりやだからな……」
「恥ずかしがりやなのは……パパにだけだとおもうけどなぁ……」
ん? 今実花のやつ、なんか言ったか? 声が小さくて聞こえなかった。
まあ、でも今は……。
「ど、どうしよう……き、如月さん……わああ……如月さんすごいな……わ、わたし自信が…………」
家に隕石が落ちてきた、というぐらい慌てている明菜だ。
インパクトのあるオルゴールの後ではプレッシャーが半端ないだろうな……。
「よ、義孝さん……」
明菜は不安げな視線を俺に向けてくる。
いや、俺は明菜からプレゼントなら昆布のお菓子でも嬉しいぞ……?
「明菜、開けてもいいか……?」
「は、はい…………うぅ、緊張しますぅ」
俺は明菜のプレゼントの包装をあける。すると中から見たことがある有名ブランドの箱が出てくる……。
「わっ! 『クロイ』の箱だ! 夢ちゃん、思い切ったね……」
「むっ、お姉ちゃん、これは強敵です……」
クロイとはブランド物にかなり疎い俺でも知っているブランドだ。100年近い歴史があり、その商品は人気で高い物だと、余裕で数十人の諭吉さんがいなくなるらしい……。
(えっ……予想以上のものが出て来たな……こ、これって、普通にお高いんじゃなかったけ……? クロイっておっさんの俺でも知ってるブランドだぞ……?)
ちらっと明菜の方を見ると、恥ずかしそうにこちらを見ている。これって結構ガチ目なプレゼントなんじゃ……。
俺の中の緊張感が高まった気がした……。
「…………ごく」
俺は意を決してブランド物の箱を開く――。
するとそこには――黒色で革製の長財布が入っていた。しかもただの革ではなく、光沢を放っており、丁寧な加工が施されているのが素人目にもわかる。
そして、財布の端には『YK』とイニシャルが刺繍されていた。
「すげぇ……いい財布だな」
想像していたよりも数段すごいものが出てきて、そんな単純な感想しか出てこない……。
驚きは周りも同じようで、流行り物が好きな由衣が目を輝かせている。
「かっこい財布ですね! 夢野さんセンスありますね! お、大人だなぁ」
「あ、ありがとうございます! こないだこのお店には撮影でお邪魔させて頂いて、そ、その時に見つけた財布で……よ、義孝さんに似合うなぁって思って……」
明菜はたどたどしく、説明をする。声はだんだんと小さくなっていく……よほど自信がないらしい。
「明菜、こ、こんなにいい物を貰ってもいいのか?」
「も、もちろんです……それは……義孝さんには、バレンタインの件などで……お世話になりましたし……そ、それに、この財布……義孝さんに使ってほしいです」
明菜はしっかりと俺の目を見て言う……おどおどはしているが、その瞳には力強さを感じた。
それは出会った当初の明菜にはなかった強さだ。
その、成長が眩しくて……なんだか、憧れる。
(これは断ることなんてできないな……嬉しいの事実だし……明菜の誕生日になんかお返しを考えておくか……)
「ありがとう……大切に使うからな」
「……は、はい……! ふふっ、ありがとうございます」
「あはは、何で明菜がお礼を言うんだよ」
「ふふっ、そういう気分なんです」
明菜は笑う。楽しそうに嬉しそうに……。
不思議と、俺まで同じ気分になっていた……。




