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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第3章『ミライヘノネガイ』
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お悩み相談室(3)

 そして、俺たちはアヤメから受け取った地図を頼りになんやかんや10分ほど歩く。

 地図によればこの近くに目的地があるのだが……。


「て、店長……」


「…………」


 由衣がさっきまでのルンルン気分とは真逆の、怯える小動物のように話しかけてくる。


 その頬は赤く周りをキョロキョロ見渡し、いつもの強気な態度はなりを潜めている。


 ギャップが可愛くて、守ってあげたいが……元凶が俺なので何も言うことができない……。


「こ、ここって、ホテル街ですよね……? こ、この近くのお店に行くんですか?」


「…………」


 なんも言えねぇ!!

 由衣の言う通り今俺たちがいるのはバリバリのホテル街だ。周りにはコンビニすらなく、もうその手のホテルしかない。


 さらには仕事帰りのキャバクラの姉ちゃんやホストの兄ちゃんのカップルや、昼間っから往来でイチャつくバカップルなどが大勢おり、無駄に色っぽい雰囲気がある。


(くそっ! これは罠だ! と、とにかく言い訳でもなんでもいいから、無理矢理喋らないと由衣が可哀想だ)


「ま、待て、言い訳していいか? 俺は何もやましい気持ちはない。純粋で無垢でピュアな心しか持ち合わせていない」


「くっ、な、なるほど……じゅ、純粋で無垢でピュアな心でエッチなことをするんですね。この変態」


 キッと俺のことを睨みつけてくる由衣。どうやら何も信用されていないようだ……。


「ドン引きな眼差しをこっちに向けるんじゃねぇよ。由衣、俺を信じろ! ゆうて半年以上の付き合いだろっ!」


「趣味が風俗通いの人の何を信じろと言うんですか!? 普段は店長のこと尊敬してますが、その手の話題に関しては信用度0です!」


「尊敬とかやめろよ。照れる」


「都合のいいところだけ拾わないでください!」


 いや、だってな都合のいいところだけ拾わないとやってられない。

 完全に自業自得だが、自分の評判に泣きたくなるしな……。


「と、ともかく、早く行こう。ここにいると互いの精神衛生上よろしくない」


「…………」


 俺は前を進もうとするが……後ろからついてくる気配がない。振り向くと、由衣は立ち止まってこちらをジッと睨みつけている。


 どうやら俺は愛想をつかされた……とも思ったが、どうやらそんな雰囲気ではなさそうだ。

 なんか拗ねているようなそんな感じだ。


「気に入りません……」


「えっと……何が?」


「店長は私とこういう所に来ているのに平然としています。なんですか? なんですか? 私ってそんな対象外ですか? 店長は私としたくないんですか?」


「…………」


 ものすごいめんどくさいこと言い始めた!!!

 この歳の女ってそういうの気にすんの!? あれだろ? やりたいって言ったら、「クソゴミ、キモい」とか言うんだろ?


「そ、その質問に俺答えなきゃ駄目か? 多分誰も幸せにならない」


「へ、変な緊張で大変なことを言っている自覚はありますが……この際です。はっきりさせましょう」


 由衣の真面目な性格が変なベクトルで暴走している……お前はどこに行きたいんだ。


 ここは大人として倫理観というのを教えるべきだろう。まあ、ぶっちゃけ、説教して誤魔化そう。


「あのな。由衣、若いのからしたら、そういうことを男に聞くのが当たり前かもしれないがーー」


「あ、当たり前なわけないじゃないですか!? 店長にしか聞きませんこんなこと!」


 由衣は顔を真っ赤にして俺に詰め寄ってくる。その勢いは強くどうしても俺の意見を否定したいようだ。


「わ、悪い。冷静に考えれば……俺めっちゃ失礼なこと言ったな……」


「まったくです。もうっ、私はそんなに軽くないです」


「で、でも、若い女って、付き合った男の数がステータスじゃないのか?」


「はぁ、そんなわけないじゃないですか? それ誰情報ですか?」


「ピンサロの鈴鹿ちゃん」


「…………最低」


 もう、俺喋らない方がいい気がしてきた……。

 そう考えてると、由衣は小さくため息をつき、上目遣いで不安そうに口を開く。


「私って、そんなに遊んでるように見えますか?」


「いや、それは全然。だけどお前美人だし、なんだかんだ言って面倒見いいからモテるだろ?」


「び、美人……」


「だから、それなりに交際経験があるのかなぁーっと」


「それは違います」


 顔の赤さが一気に消えて真顔になる。

 そういえば、これ前も同じようなことを聞いてガチギレされたっけ。学習しないな俺……。


「い、いや……俺の言葉はセクハラだって自覚あるけど、ここで話をそらしてもって感じだし、という言い訳をさせてくれ」


「それはわかってますよ。はっきり言葉にしない店長なんて店長ではありませんから?」


「お前処女なの?」


「ふふふっ、はっきり言えばセクハラが無罪になる訳ではありませんよ」


 ですよねー。この悪ノリする性格をどうにかしたい。


「……まだ処女で悪いですか?」


「えっ? お、お前今自分でカミングアウトしなかったか?」


「い、いいから、さっさと、バーに行きますよ」


「ま、待ててって! そっちじゃないぞ!」


「ふんっ……くすっ、店長の馬鹿」


 由衣は小さく笑うと、踵を返してずんずんと歩いていく。俺はそれを慌てて追いかける。


 なんか聞いてはいけないことを聞いた気がして……年甲斐もなくドキドキしてしまった……。

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