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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第3章『ミライヘノネガイ』
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体育祭に向けて(1)

 それから数時間後――。

 昼の営業が終わり、俺は学食で従業員である三沢、由衣、新井と共に賄い料理に舌鼓をうっていた。


 うむ。今日も売り上げが好調だったので、心なしか飯も美味く感じる。

 今日のメニューは定食で余ったから揚げと、中華スープに三沢があまり食材で作ったホイコーロー、さらに三沢秘伝の――。


「おうおう、あたし特製の大根の漬物もあるからな。お替りもあるから言ってくれ」


 三沢が自信満々で、賄いが置かれているテーブルにどんっと漬物が入った壺を置く。三沢がフタを開け、ぬかの中から大根が姿を現す。


 程よく、漬かっていて、酒にもご飯にも合いそうだが……。


「みんな食うよな。今さっと下処理してくるぜ」


「お前、明らかに私物じゃねぇか……まあ、美味そうだから目をつむろう。俺多めで頼む」


「おっ、さっすがテンチョー話せるじゃねぇか」


「ふふっ、店長は従業員に優しいですよね。面倒見もいいし……くすっ」


 由衣が笑顔で微笑みかけてくる。俺は自分の欲望に忠実なだけだっての。


 ……由衣、なんか最初の頃に比べて、柔らかくなったよな……初めて会った時に面接でブチギレてた社会不適合者とは思えねぇ……。

 今思えば俺よく採用したよな……。


「俺って器でかいよな……鋼の精神力と言っても言い過ぎじゃない……」


「て、店長、私の顔を見つめてどうしたんですか……?」


「いや、誰かさんは昔やんちゃだったなぁーっと、思って」


「そ、それは……と、というか、自分で器が大きいとか、普通言いますか?」


 俺の言いたいことを察したのか、由衣は恥ずかしそうにジト目でこちらを見る。

 まあ、そんな反応も今だと可愛く思えてくる。


 だが、そんな由衣の反応を好ましく思わないのが、俺を最強にリスペクトする新井だ。


「はぁっ、音無、何言ってやがる。兄貴ぐらいの器があれば、海賊にだって飯を分け与えるぜ! 例えその後に大船団に責められても毅然に立ち向かうんだぜ!」


「そ、そうですか……? す、すごいですね……」


 由衣のやつ……意味わからなくてドン引きしてるじゃねぇか……さすが新井。

 ネタがわかりにくい……というか、新井のやつって、こんなチンピラみたいな性格なのに漫画とか大好きだよな……。


 まあ、2人が言い合うのはいつものことだから放っておけばいいか。

 それよりも、今朝の件でこいつらに相談があるんだった。


「なあ、お前らに相談があるんだけどいいか?」


「ん? なんだよ改まって」


「わ、私にできることなら、気軽に言って下さい」


「はぁ、何をイキってるんだが、この雌犬が。兄貴にそこまで媚を売りたいか」


「な、何を言ってるんですか。わ、私は別に……店長に媚を売りたい訳じゃ……」


「俺様は売りたいね!!!」


「ふふふふっ、新井さん、ぶっ飛ばしますよ?」


「…………」


 し、職場でも話が進まない……あれ? もしかして俺ってものすごい苦労人なのでは?

 家でも職場でもボケの嵐にさらされている。


 まあ、俺も結構ボケるから、俺もいけないとは思うのだけど。

 

(いいや……とっとと、事情を説明しよう。まだ体育祭営業の詳細はきてないけど、学園祭と同じく、通常営業と屋台の合わせ営業だと休憩時間すらないからな……ヘルプを呼ぶことを前提に相談しよう)


 そして――。

 俺が事情を説明すると、由衣と新井はやる気満々といった感じで、目を輝かせている。


「任せてください店長。ヘルプなんて呼ぶ必要ありません! 未来の肩を持つのは癪ですが、3時間は店長が休憩できるように頑張ります」


「ふっ、音無、恰好つけてるんじゃねぇよ。兄貴は俺が栄光のロード導くっす」


 そして、三沢はそんな二人を見て苦笑いを漏らす。なんか……「あちゃー、やっちまったぜ」みたいな反応だ。


「三沢、どうかしたのか?」


「い、いや……さっき生名から電話があってな。店長、営業で忙しそうだったから、あたしが内容を聞いたんだけど……体育祭は屋台の営業だけでいいらしいぞ? この学校の体育祭は家族で弁当を食うのが伝統なんだと」


 ……なんだその小学生みたいな伝統は……でも、それなら楽勝だな。

 しかし、三沢の顔からまだ苦笑いが抜けない……。


「ま、待て! 言わなくていい! なんか俺の社畜センサーが危険だと訴えている!! 俺は会社には屈しな――」


「あぁー、諦めろ店長。そんなに悪い話でもない。単に……あたしらに体育祭の競技の1つ、『男女混合リレー』に出て欲しいんだってよ」


「「「…………はい?」」」

 

 見事に三沢以外の声が重なる。

 待て……俺はお前の言ってることが理解できない……ま、待て、なんで俺らが高校生にまじって体育祭に出るんだよ……えっ? これマジなの?

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