一夜明けて(4)
「あ、そうそう。それで、先輩? 先輩にお話があるんですけどいいですか?」
「ああ、何でも言ってくれ」
俺は後輩先輩という掛け替えのない関係に正直感動していた。だって、葵ちゃんは俺が明菜、美女との仲を悩んでいた時に、仲を取り持ってくれた神だ。
こんなできる後輩はそうはいない。俺は幸せ者だ。
そんな神の如きの後輩の話なら、いくらでも聞いて――。
「ふふっ、せんぱーい、如月っていう高校生のことを聞いてもいいですか……? この変態♪」
「うっせえ、その頭かち割るぞ、ああん?」
「急に……チンピラみたいになりましたね……普通に軽蔑します」
そんなに褒めるな。
やはり後輩というのは甘やかしてはいけない。
俺は神にさえ逆らえる聖なる勇者だったのか……。そうだ、俺は不正な質問には答えない……というか、一般的に考えて答えられるか!
どの世界に後輩に「女子高生とお見合いをして、婚姻を迫られました。てへぺろ」なんて言う先輩がいるんだよ。
そんな奴は存在してはいけない。
「もうっ! 先輩白状してくださいよ! フレアさんが言ってたじゃないですか!? 先輩はフレアさんの主人のJKとラブラブで将来この国を牛耳る存在になるんですよね!」
「…………」
そんな子供みたいな言い分マジで信じんなよ……。葵ちゃんの感じからして、本当に信じてるっぽいし……。
はぁ、フレアさんの言い分なんて子供でも信じないぞ……。
まあ……明菜はめっちゃ信じてたけど……後でフォローしておかないと……。
「それで! どうなんですか! 先輩!」
ぐいぐいと迫ってくる葵ちゃん……そんなにも俺の恋愛事情が気になるかよ。
「何? お前、俺のこと好きなの?」
「いえ、それはありません。これっぽっちも。みじんこほども」
急に真顔になるな。もっと動揺してもいいんじゃねぇか?
俺も葵ちゃんに思うところはないが……なんかショックだ……。
「はぁ、それじゃあ、なんでそんなに気にしてるんだよ……?」
「えっ、そ、それは……秘密です! 先輩には関係ありません!」
「いや! 俺めっちゃ当事者だろ!」
はぁ、俺だってまだ事情がのみ込めていないというか……現実逃避してるんだから。
(まあ、葵ちゃんになら本当のことを言ってもいいか。というか、もう殆ど事情は知られてるしな。今更か…)
俺は多少うんざりしながら、事情を説明しようとすると――。
「ん? 先輩、あの人こっち見てるんですけど、知り合いですか?」
葵ちゃんが後ろを向いて、不思議そうに首をかしげる……その視線を追うと……。
「ふん、相変わらずの間抜け面ね」
「あ、秋村さん……」
そこには明菜のストーカーである秋村さんが立っていた……。
昨日、明菜にズタボロ言われて……傷心しているはずだが……秋村さんの顔色はそこまで悪くない気がする。
「き、昨日の今日で復讐とかしに来たとか……? は、腹いせにぐさりとか?」
「はっ? 犯罪者になる気はないわよ」
いや……お前ストーカーだから、犯罪者じゃん。これ言うと絶対に話がこじれるから、言わないけど。
「そ、それでご用件は……?」
俺は恐る恐る訪ねてみる。
いざとなったら、速攻でフレアさんを呼びに行こう……。
「違うわよ。明菜様……夢野さんに用はないわ。あんたに話があるのよ」
「…………」
俺今日よく女性から話をされるな……モテモテでとても嬉しいです。
……はぁ、います帰りたい……。
第2章あと2話で完結します!(たぶん)
新章は少しお休みを頂いてから、更新しようか考えます(如月さんの風呂敷を広げてしまったので、その辺を回収したい……)
今後ともよろしくお願いしますmm




