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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第2章『夢見る時間』
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夢のバレンタイン(17)

「ここはみんな落ち着いて話し合おう!」


 俺は高らかに宣言する。

 人間熱くなってはいけない。一度冷静になることで、どんな困難な問題も意外に簡単に解決するものだ。


 まあ、俺には手に余りまくる件だということは重々わかってるが……。


 現にーーここにいる面子の反応は極端で、謎のプレッシャーがすごい。帰りたい。


「義孝様。さすがでございます。その威光、まさに如月家を継ぐにふさわしいかと」


 フレアさんは羨望の眼差しで、こちらを見つめている。

 俺はいつこの人から絶大な信頼を得たのだろう。俺への評価が高すぎて怖い。


 俺へ尊敬の眼差しを向けながらも、相変わらずストーカーにアイアンクロー中で、右手1本で人間を持ち上げてるのも怖い。


「い、痛い! 痛い! この馬鹿力!! 川島義孝!! あんた! あんたが元凶なのに何を偉そうに言ってるのよ! あんたさえいなければ!」


 そしてストーカーはフレアさんに頭を鷲掴みにされながらも、俺へ憎しみの視線を向けてくる。

 これは普通に怖い。


 俺どんだけ恨まれてるんだよ……というか、フレアさん相手にひるまないとかすげぇ、根性してるな……。


『うーん、エッチな水着って難しいわ。私の体型だと微笑ましくなるもの。まあ、美しさでは全く負ける気がしないのだけど』


 そして、電話の向こう側で呟きながらカタカタとインタネットサーフィンに興じるお嬢様。


 お前もお前ですげぇー精神構造してるよな……今こっち修羅場なんだけど。


「はぁぁぁぁぁ」


 俺は深いため息を吐く。

 話を進めよう……考えようによっちゃこれはチャンスだし。


 うまくストーカーを言いくるめれば、明菜がこれ以上困ることもないんだ。


「あんた! 明菜様はあたしのものなんだからっ! あんたなんかが近づいていいと思ってんの!?」


 うむ。俺への殺意が半端ない。

 …………まあ、いざとなったらーー。


「義孝様、手始めにこの女の指を落としましょう。そうすれば少しは自分の立場を理解するでしょう。義孝様を罵るなど笑止千万」


 くすりとも笑わずただ真顔で淡々と語るフレアさん。マジで如月家の暗部が仕事をしそうな雰囲気だ。


「こ、この女!!! や、やってみなさいよ!!! そんなことしたら警察が黙ってないわよ!! これだけ騒いでるのよ!! もう誰か来るわよ!!」


 お前が言うな。と、ストーカーに言いたい。お前こそが国家権力の敵じゃねぇか……。


 清々しく、見事な手のひらクルックルだ。その身代わりの速さ、見習いたいものだ。


(まあ、そんな妄言が通じる相手だったらいいなぁー)


「ふふっ、警察ですか……ふふふっ来ればいいですね。ふふふっ、時に貴方は治外法権という言葉をご存知ですか……?」


「えっ? そんなのあたしにはーー」


「関係ないとお思いですか……? ここに貴方の味方はいませんよ? ふふふっ」


 不敵に笑いながら、空いてる手でストーカーの首元にナイフを突きつける。


(ま、待てえええ! この人本気か!?)


 フレアさん完全に悪役です。さすがデスサイズなんていうか中二病丸出しの異名を真面目につけられるだけはある。


 関係ない俺でもちびりたくなるくらい怖い。どっから、その不気味な笑い声を出してるんだよ。


「く、来るにきまってるじゃない! えっ? な、なんで、い、いや? 嘘でしょ」


 ここでようやくストーカーが自分の立場に気がつき、恐怖で顔を歪ませる。

 身体は震え、目からはポタポタ涙が流れーー。


 や、やばいとにかく止めないと! でも怖えよおお!


『ねぇ、貴方はビキニタイプかワンピースタイプの水着どっちがいいと思う?』


「お前にビキニは早えよおおおお!!!」


 イヤフォンからこの場にそぐわない声が聞こえてきて、つい全力で突っ込んでしまった!


 くそ! この状況を知らない如月には罪はないけど……。


『それもそうね。わたくしにビキニは早いわね。さすがは将来に旦那様ね。それより、先程から監視カメラの映像で見てるのだけど、そろそろフレアを止めなさいな』


「えっ!?」


『それだけ脅せば十分ではないかしら?』


 俺はとっさにあたりを見渡すと、そこには一台の監視カメラがあった。

 お前見てたのかよおおおおおお! お前もガッツリ共犯じゃねぇか!!!


 はぁぁ、だけど、如月の空気を読まない発言のおかげで、少しは落ち着いたな……。 如月のやつこれを狙ったのか……?


『やっぱり、白よりも黒の水着の方が可愛いわよね。どうしようかしら?』


 いや、何も考えてない!


「はぁ、それじゃあ、俺とお話ししようか?」


 俺は涙目のストーカーに歩み寄り、なるべく優しく話しかける。

 ここからは俺の出番だ。社畜時代に何人もの退職予定者を引き止めた交渉能力見せてやる。

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