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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第2章『夢見る時間』
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夢のバレンタイン(15)

   ◇◇◇


 同時刻――。

 明菜は義孝に買っても貰った本を真剣な表情で読んでいた。初めての読むエッチな本ということもあり、興味は尽きない。


「ふふふっ……」


 つい笑みがこぼれてしまう。

 義孝がベランダで電話中とはいえ、これではただの「怪しい人」だということは自覚しているが……どうにも笑みが止まらない。


 それは決して本の内容に興奮してるわけではない……。


(わあああ、お、おっぱいで挟んでる……ふ、ふーん、男の人はこういうのが好きなんですね……ふ、ふーん、わたしでもできるかな……きゃあああああ)


 ――興奮しているわけではない。

 ただ、こういう知識がまったくない明菜からしたら、知らないことばかりの本の内容はとても興味深い。


 それと……これが明菜が笑みを漏らしてしまうほど嬉しい理由なのだが……。


(ふふふっ、義孝さんからまたプレゼントを貰っちゃった……ふふふふふふふっ)


 どんなものであれ義孝からのプレゼントは嬉しかった。

 半年前に義孝からプレゼントされたイルカのキーリングは。もったいないと、一度も使っていない。

 落ち込んだ時などに、眺めて1人でニヤニヤしている。


 ――もっとも、プレゼントした義孝本人は明菜が身に着けていないので「わぁー、おっさんがプレゼントとか、やっちゃったよー」と、深い自己嫌悪に陥っているがそれはまた別の話だ。


(あ……ん? あ、あれ……わたし……あああああああ!)


 明菜はそこで自分が人生最大のミスをしていることに気が付く。

 顔は酔いの影響での影響でほんのり赤みがかっていたのが……だんだんと血の気が引いていき、白くなっていく……。


(わ、わた……わたし……なんで好きな人の前でエッチな本を夢中で読んでるんですか!?)


 義孝に何かを買ってもらえたのが嬉しすぎたのと、酔いが思考を鈍らせた。よりによって好きな人をほったらからかしで読みふけったしまったのだ。


 バサッ!


 身体を起こし、周りを見渡す。

 部屋には義孝の姿はなく、ベランダにもいないようだ。


「や、やっちゃった!!! うぅ、あ、呆れて帰っちゃったかな……いい大人がエッチな本を夢中で見てたら、呆れるよね……わああああ、ど、ど、どうしよう?」


『夢ちゃーん、そっち行ってもいい?』


「えっ!? み、実花ちゃん……? う、うん!」


「おけおけ~、未来ちゃんと一緒に10秒で行くねぇ~~~」


 その時、壁越しに実花の声が聞こえてきた。

 明菜は慌てながらも返答する。だが……考えはまとまらない。好きな人の前で見せてしまった醜態が忘れられない……。


(うぅぅぅ、ど、どうしたらいいの……)


「夢ちゃん~~~! おじゃましまーす!!」


「夢野さん、お邪魔します。あっ……美味しそうなお料理……やはり夢野さんは強敵ですね。由衣みたいな野蛮人とは違います」


「ふ、2人とも、どうしよう~~~~。わたし、義孝さんに嫌われちゃったかも!!」


 エッチな本を胸に抱きながら、涙目で姉妹に詰め寄る。

 当然、突然の事態に姉妹は――。


「…………ぽかーん」


「…………どういうことでしょうか」


 驚いた表情でぽかーんとしていた。


 それもそうだ。

 姉妹からしたら、突然マンションを飛び出した父親に、エロ本を手に泣きそうなお隣さん。事態がカオスすぎる。


 こうした事態は無駄に複雑に絡み合い――。


「パパが夢ちゃんにエロ本プレーを強要したの!?!?!?」


「さすがお父さん、二次元と三次元の区別がついてませんね……かっこいい」


「わあああああ、嫌われちゃいましたぁぁぁぁ」


 ――互いに凄まじく意味の分からない誤解を生んでいった。

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