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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第2章『夢見る時間』
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夢のバレンタイン(3)

 そんなこんなで幸せな時間も終わり……俺は――。

 隣の明菜の部屋に招かれていた。


「義孝さん、今日は沢山お料理用意しました♪ 持ってくるので、義孝さんはソファーでくつろいでいてください」


「あ、ああ……」


 明菜は機嫌よさそうにキッチンに向かって行った。うむ……俺は若い女の子の部屋にひとり放置されてしまった……。

 それだけで……少し、動揺してしまう……。実花未来と一緒にしか来たことはないしなぁ。


 おっさんの俺で、これだけ動揺するんだから、童貞の男子高校生がこの部屋にぶち込まれたら、過呼吸になるんじゃないか……?


「…………」


 ゆっくりと部屋を見渡す……。

 当然だが……間取りは俺の部屋と同じで、3人で暮らす場合は狭いが、1人で住むには手ごろな広さだ。


 ……薄いピンクの布団が敷かれているベッドがあり、大きめの洋服ダンスが二つほどある……明菜って私服おしゃれだしな……服もいっぱい持っているんだろう。


 そして、部屋の隅には大型のカメラと、ぬいぐるみがいくつか置かれていた。明菜の仕事については詳しくは知らないけど、カメラは仕事用か……? やけに本格的だな……。


 それに、ぬいぐるみとかは女の子ぽくっていいな……でも、あのペンギンのぬいぐるみはやけに目つきが悪いな……。


「女子の部屋って感じだなぁ……」


 家も……実花未来が住むようになって、女物の品が増えて来たが……やっぱ、女の1人暮らしの部屋となると……別次元にいるような感覚に襲われるな……。


 心なしかいい匂いがする気もするし……。


「いかん、いかん……別にそういうつもりで来たわけじゃないんだし……」


 そんなことを呟くと俺の視界あるものが映る――。


 それは何の変哲もないカレンダーだ。写っている猫の写真が可愛い……だが、目をひくのが本日の日付、2月14日に花丸が書かれていて、その下に下に『バレンタイン!!』と記載されていた……。


「…………えっ? ば、バレンタイン……?」


 今まで人生で殆ど縁のないイベントだったから失念していた。あ……だから如月はチョコをくれたのか……それで娘たちもチョコのバイキングに連れてってくれて……な、なるほど。


 バレンタインってそういうイベントだったな……世間では風俗で割引やコスプレをしてくれる日じゃないんだよな……。


「…………」


 ま、待てよ……お、俺はバレンタインっていう、恋人がセックスを積極的にする日に、明菜の家に来ているのか……?

 

 い、いや……何でもかんでも性に結び付け過ぎだろう。だから俺はモテないんだよ。


 1人暮らしの部屋に招かれたってことは信頼されているいうことだ。それを裏切ることはできない……ふっ、俺も大人だ。その辺はわきまえてる。


「…………」


 き、気軽に飲み会を楽しめばいいんだ。うん……それで問題ないはずだ。


   ◇◇◇


「義孝さん、今日沢山お料理用意しました♪ 持ってくるので、義孝さんはソファーでくつろいでいてください」


 明菜は元気に義孝にそう言うと、キッチンに向かった。


 そしてーーリビングから壁で死角になる場所で……明菜は思わずその場で膝を抱えてしゃがみ込む。

 そして、大きく息を吐く……自分でも驚くぐらい心臓がバクバクなっているのがわかる。


(うぅぅぅぅ、わ、わたし……い、今、義孝さんと……ふ、ふたりっきりで自分の家に……)


「~~~~~~~~~~」


 そう考えると顔が熱くなる……何も考えられなくなる……。

 

「さ、さっきも耳かきとか……なでなでとか大胆なことしちゃったし……き、嫌われたらど、どうしよう……」


 耳かきに関しては義孝が寝ぼけて言ったことだが……今の明菜はいささか冷静な思考を失っていた。 

 頭は何も考えられえないぐらい混乱し、今すぐ逃げ出したい衝動にかられる。


それでも――。


「だ、だめ……だめだめ、今日は勇気を振り絞るって決めたんだからっ」


 明菜は握りこぶしを作って、意志を固める。

 少しでも……『憧れの人』と仲良くなるためにできることをする。そう……改めて決意する。


「あっ……! お、お料理温めなくちゃ……!」


 明菜は慌て立ち上がり、調理台の前に行く。そこにはレバーのパテやアヒージョのような手の込んだおつまみから、ピザ、カモのローストも手作りしていた。


「義孝さん……喜んでくれるといいなぁ……」


 明菜は小さく笑い、準備を始めた。大好きな人の笑顔を想い浮かべながら……。

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