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私小説 2・0  作者: 角筆夫
逢引
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24/30

黒猫


 というようなことをダラダラ考えつつ、途中でたこ焼き屋を見つけたのでそこで1パック買いつつ、歓楽街の端っこにある約束の某公園の中に入ったのだった。それは、派出所の近くに作られていて、遊具のあるスペースと、原っぱとベンチしかないスペースに分かれていて、私はベンチのある方にゆき、座ってたこ焼きのパックを開けるのであった。


 日差しはちょうどよく、季節は、春の頃合いだったから、絶好の散歩日和でもあり、デート日和でもあったのだ。エリちゃんが来てくれればの話であるが、ぼんやり外を眺めると、スナックやラブホテルの看板が春の光に独特の色合いを見せている。頭の中は、ピンク色一色である。かと言って、「ホテル?行きましょう」と言われたら困ってしまう。それほどの経験もないからだ。


 それに女は股を開いて、あんあん言っていれば良いのであるが、男の方は、なかなか大変なのだ。例えば、微妙に穴の開き方が違っていたり、穴の広がり方が違っていたり、こっちの方が曲がっていたり何かするのである。それを必死に軌道修正しないといけない。腰の振り方一つだって、ちゃんと軸を立てないといけない。褒め言葉の一つも言わないといけない。欧米人っぽく、己にはそんなにない感情を表現しなきゃいけないのである。


 そういうことを延々と考えてみると、生きるということは何と間抜けで大変なことだろうか、とため息をつきたくなってくる。そもそも何で、デートなんかするのかというと、多分、それが社会に許されている快楽の一つだからであり、むしろ、それは社会的行為ではないかと思えてくる。良い年をして、デートもないだろう。だが、生きている以上は何かをしなくてはいけない。デートというのは、一般的に素晴らしい行為なのだ。と、自分に言い聞かせる、そして、たこ焼きを食べようとすると、黒猫がやってきたのだった。


 野良猫らしく、痛々しいほどに痩せており、毛がガビガビになっていて、たこ焼きの一つでもあげたくなぅて、しまうが、しかし、逡巡する。何故かはわからないが、そんな簡単にあげてしまっては、ダメなような気がした。しかし、この公園は歓楽街のど真ん中にあり、そんなことを文句言うような無粋な人はいないだろう。でも、何かが私をストップさせたのだ。それが何かはよくわからない。よくわからないと表現するのが、その衝動の動機に一番近づけている。動機と言ったって、そんな大した意味もないだろうが。

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