合宿
ここで、私の文学の師匠である、ふじわらしのぶ氏の『合同小説力強化合宿』のことを語らねばなるまい。それは、「なろう」の新進気鋭の作家たちを北海道の平原に建てられた掘建小屋に住まわせて、延々とふじわらしのぶの小説の授業を聞き続けると言うものだった。彼の外貌は、ハゲの豆タンクみたいなおっちゃんだ。たこ焼き屋とか、やってそうである。
最終的に、私は「ざけんじゃねえ!」と叫んで、夜中に脱走したのであるが、とてつもないスパルタ教育であった。ありとあらゆる文章を、「ふじわらしのぶ文体」に直さなくてはいけないのである。普通に作文を書いたら、竹刀で叩かれてしまう。たとえば、こんな文章がある。
「こけし尽くし
仕事が早く終わったので、僕は、午前中に、自宅に帰って、自室のソファーに寝転がって、テレビで、BSの二時間ドラマを見ることにした。「こけし殺人事件」という話であり、こけし職人が殺される話で、こけし職人の家族模様が描かれており、登場人物が「こけし、こけし、こけし」を連呼していて、頭がクラクラしそうになる。クライマックスでは、大量のこけしが収蔵されているお寺で、刑事と犯人の戦いが繰り広げられており、エンドロールでは、延々と、様々なこけしが映し出される、こけし尽くしのサスペンスドラマであった」
「バカヤロー!!何?それ?そのどこが面白いって言うんだよ!あん!」
というと、ふじわらしのぶは、竹刀を振り回す。
「つまんねえんだよ。まず、文章が分かりやす過ぎるんだわ。いいか。文章ってのは、わかんなければ、わかんないほど良いんだよ!!そうしたら、読者は「あっ、この人は天才だ」って勘違いしてくれるんだからな。この文章は、こう直すんだよ!わかったか」
ふじわらしのぶは、すぐにメモ帳に描き直した。
「空中デングリ返しコケシファイヤー!!
仕事が早く終わったので、僕は、午前中に、自宅に帰って、自室のソファーに寝転がって、冨永愛がCMでやっていた、巨大テレビで、BSの二時間ドラマを見ることにした。
「ういいいいえええいいいー!ファイヤー」
「レインボーこけしアンタッチャブル殺人事件」という話であり、こけし職人が殺される話で、こけし職人の家族模様が描かれており、登場人物が「こけし、こけし、こけし」を連呼していて、頭がクラクラしそうになる。
「どすこい。どうすこい。ワオ!!」
クライマックスでは、大量のこけしが収蔵されているお寺で、刑事と犯人の戦いが繰り広げられており、エンドロールでは、延々と、様々なこけしが映し出される、こけし尽くしのサスペンスドラマであった。そのテレビ番組が終わると、テレビが爆発して機械内部から、大量の油が飛んでくる。
「うがあああ」
と、私は、マッチの火を灯すと、自分を燃やした。ここまでやって、自分がこけしになるか、ならないか、試さないといけないと思ったからだ。でも……どうやら、ダメだったっぽい……みんな、僕のことを忘れるんじゃねえぞ!僕の名前は、ふじわらしのぶ・ゴールデンレトリバー・ウェスタンラリアット・リブレ京成だ!!




