温故
「今、ネットで調べたら、『知能の高い人は古くて役に立たないものを切り捨てることができる』って記事があったぞ。お前さんも、もう、そろそろ、私小説なんて、今更ではないことをやめた方が良いんじゃないのか」
「それ。中国の儒教の開祖、孔子様が常に突きつけられていた問題で、むしろ、俺は古いものの中にこそ、埋もれている新しいものが発見できると思っているね」
「温故知新ってやつか」
「そうそう。ところで、そろそろ、俺、ふじわらしのぶと、やっちゃおう(試合)と思うんですけど、良いですかね」
「んあ?何言ってんの」
「だから、会田さんに聞いているんじゃないですか。ふじわらしのぶ、あいつ、最近、調子に乗ってんですよ。俺が感想欄に、三日かけて考えた感想を残したのに、ノーリアクションじゃないですか。あいつ、調子こいちゃってんですよ。もはや、「なろう」の大御所気取りですよ。鼻っ柱、へし折らないと、後のものへの見せしめにならんですよ」
「お前がやれるのか。いや。やれるのか、やれないのかってことは、この際、関係ねえ。究極、お前は、ふじわらを殴れるのかって話だよ」
「やれますよ。今の俺なら」
「バカヤロー!」
会田は、強い勢いで私の頬を叩く。少し怯んだが、私の方も
「やれますから、ふじわらを」
というと、即座に、会田を叩き返した。
「ほぐっ。お前、それがどれほど恐ろしいことか、わかってんのか?わかってんのか!」
「わかってますよ。自分の出処進退ぐらい、心得てますよ」
「わかってる?わかってんのか。なら、いい。やるんなら、やれ。でも、惨めなことにはなるなよ。それが、お前のバトルロードだ」
「パンドラの箱、開けますよ」
「開けたらいい。開ければな。そして、いつかは、開けましておめでとうと、言えればいい。俺はそれを言ってんだよっ!」
「やれますよ。今の俺ならやれます」
「過去のお前なら無理だな。そういうこところを、俺は言ってんだよ」
「会田君。あんたはどっちの味方なんですか」
「ふん?味方するも何もねえよ。俺は、二人の幸せを願っているよ」
「なら、俺、今からやりますよ」
というと、ハサミを手にして髪を切ろうとする。少し切って、ハサミを落とす。
「こう言うことじゃないんですよ」
「じゃあ、何がお前を狩り立てるんだよ!!」
「昔のトラウマなんですよ」
「まずは、話してみやがれ!」
と顎をしゃくらせて会田鉄男は叫んだ。




