8.悪意ある食卓と見える嘘④え、私も捜査に加わるんですか?!
ジェフ・ラザフォード→年配の男。傲慢。
リサ・ラザフォード→ジェフの妻。
メーガン→ジェフの秘書。ジェフの不倫相手。
イブ・ラザフォード→ジェフの娘。
ハリー・ラザフォード→イブの夫。娘婿。
若者二人→ジェフに会社を潰された家の息子。ウーズリー家?
アレックス・ブライト→アレク、端正な顔立ちに完璧なエスコートを見せる色男。
フィンバート・グレンドール→フィン、好青年、警察、アレクの知り合い
セルジュ・ノクス→フィンの相棒、鑑定官、アレクの知り合い
あらかた聞き込みをしたフィンは腕を組み、
「うーん……これは。うーん」
とうなりだした。
セルジュは無言でワインから指紋をとっている。
フィンがぱっと顔を上げた。
「閃いた」
ブリジットは期待の眼差しをフィンに向けた。
すごい、はやい。もう解決だ。アレクが心配性なだけで優秀なんじゃない。
「これは透明人間の仕業です」
誰も何も言わなかった。
「透明人間……ですか?」
ブリジットは思わず聞き返した。
フィンは自信満々に答えた。
「はい。犯人は若者です。彼らは透明人間になる能力を持っています。姿を消してこっそり毒を入れた。どうです?」
「どうですって。それは無理なのでは…」
と、ブリジットはアレクに尋ねた。
「そんな能力があったら政府認定されてるだろ」
「いや、でも僕たちが知らないだけで…」
と、フィンが食い下がった。
「特殊能力すぎる。そんな能力あったら他に使うだろ」
とアレクは言い、指紋をとっていたセルジュも呆れたように言った。
「ワイングラスは本人の指紋と店員の指紋だけだ。第三者の指紋はなかった」
「ええっ。じゃあ若者説はなしかー」
えっ。あんなに自信満々だったのにこんな弱い推理。おそろしいことに…
彼は本気で言っている。
彼の言葉に嘘はない。そう。嘘がない。本気なのだ。
フィンの迷推理に恐れをなしながらブリジットは首をかしげる。
でも本当に誰が犯人かしら。
フィンは困った顔でセルジュを指差した。
「えー、じゃあセルジュ考えてよ」
「分かりませんよ」セルジュは即答した。
「ただ消去法でいうと店員が犯人でわ。グラスに指紋もありますしグラスワインのふちに毒を塗った」
「それだ。さすがセルジュ」
「いや、それはない」
アレクが首を振った反論する。
「ジェフ様の元々のグラスはリサ様のグラスだ。汚れてたので交換した」
「じゃあリサ殿が犯人?」
いまいち自信がないのかクエスチョンをつけながら今度はリサを犯人にフィンはした。
これにはブリジットも反論する。
「リサさんのグラスを使うようにしたのはジェフ氏です。またグラス交換もジェフ氏なので予測はつかないかと」
アレクも頷いた。
「あー、もう誰が犯人かわからない」フィンが首を
かしげ、頭を抱えた。
セルジュが時計を見て
「今日はもう遅い。明日、もう一度詳しく聞きましょう」
と言い、解散を促した。
「そうだね。今日はここまでにしよう。では皆さん、明日また事情を聞かせてください」
こうして、捜査は一度終わった。
ブリジットはフィンを見て不安に思った。
本当に大丈夫なのかしら、この人たち。
そして、全員同じことを思っているのか、微妙な表情でフィンの背中を見ていた。
イブが視野が鋭いブリジットを捜査に加わるように強く願った。
「血生臭い事件を乙女に任せるなんて」
「イブ、ブリジット様を煩わしてはだめよ」
「イブ、確かにブリジット様は賢いがご令嬢なんだ。本職の人に任せよう」
やさしく乙女だから捜査には加えられと拒否したが、フィンは期待の眼差しをブリジットに向けた。
リサとハリーは煩わしてはいけないとイブを嗜めた。が、イブが反発した。
「だって本職が信用ならないの。お願いします」
イブも期待に満ちた目でブリジットを見た。
「そうだな。ブリジットがフィンの捜査に加わってくれたら俺も安心できる」
アレクからも期待の眼差しを向けられた。
え。いや。無理よ。私は探偵じゃないのよ。
ブリジットは限りなく断りたかったが、期待の眼差しに負け
「善処します」
とどちらとも言える発言で交わした。
ブリジットが家に帰った際、またもや期待の眼差しをむけられた。メイドのメリィからだ。
事の顛末をメリィに伝えた。
伝えるごとにメリィの目が死んでいく。
そして明日から捜査に関わることになるかもと伝えたら
「なんでそうなるんですか。アレク様ならお嬢様の良きパートナーになると思ったのに。アレク様の意気地なし」
とアレクを罵っていた。
メリィ、ごめん。
メリィが期待するほどラブロマンスがない主人なの、私は。
頑張って期待に応えたいけどアレクは素人には無理よ。もっと恋愛初心者で立ち向かえる相手を探すから次に期待して。
ブリジットは静かに布団にもぐった。
完璧に寝る準備を整えてくれたメリィに感謝しながら眠りについた。




