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2.変わった料理と見える嘘 後編

エマ・コールマン→ブリジットの一番の友達


「わかったってなにが?」


エマが不思議そうにたずねる。

ブリジットは空のカップに紅茶を注ぎ足しながら答えた。


「コックの件よ。別人ではないわ」


ブリジットは紅茶のカップを軽く回してから、エマに視線を向ける。


「たぶん、寝不足ね」


ブリジットがあっさり結論を言った。


「どういうこと?」


「妊娠中期から後期はいびきが現れる女性もいるの。ホルモンの影響で鼻の通りが悪くなることがあるから」


「そんな。でも寝不足になるほどかな?」

エマが驚き、疑問を呈す。


「通いだから他の人にはわからないけど、人によってはすごいいびきをかくひともいるわ。

寝られなかったんじゃないかしら。

だから寝室をわけたかったのよ。コックは穏やかで優しいから理由もいえなかったのね」


「でも寝不足で味変わる?」


「不眠はひどい病気よ。

上手く料理できずわずかな味の違いもわからないし、イライラもする」


 エマは真剣な顔で何度もうなずいた。


「だから、性格が変わったのか!」


ブリジットの説明に、エマが納得する。


「私から言えることは寝室を別にすることと。

それから睡眠時の姿勢を変えることかな」


「姿勢で変わる?」


 エマが不安そうにたずねた。


「仰向けの姿勢は、舌が気道を塞ぐ原因となりやすいからいびきを悪化させるはず。たしか左側を下にして寝るのがオススメなはず」


 ブリジットは自分の覚えている知識を掘り起こす。


「さすが、ブリジット!早速伝えてあげなきゃ!!じゃあ」


 感心したエマはソファから腰を上げかけて去ろうとした。


 まっすぐなエマはハウスメイドの苦悩をさっさと払ってあげたいのだろう。


 そんなエマをみてブリジットは決意し、エマを制す。


「ちょっと待って!」


 ブリジットは変に気をめぐらわせずまっすぐエマにエッグタルトはお土産ではない理由を聞くことに決めた。


 ブリジットは深呼吸をした。そして率直にきいた。


「エマ、エッグタルトはわたしのおみやげではないよね。もしかして、ほかの人のだった?ごめんなさい。食べてしまったわ」


エマは立ち上がってブリジットに頭を下げた。


「ごめん。ブリジット。やっぱりばれるよね。おみやげがエッグタルトとかしょぼいよね」


エマは隅に置いてた紙袋からにわとりの置物をとりだす。


「実はおみやげはこれなの。にわとりの置物なの。幸せを呼ぶ鳥らしいの」


エマが極才色のにわとりの置物をテーブルに置いた。


ブリジットはにわとりの置物に視線を送った。




カラフルでかわいらしい。黒地に複雑な模様が色彩豊かに描かれているのね。



「素敵なセンスのいい淡い色で統一されているこの部屋見たら、この置物がブリジットの部屋には合わなそうで出せなかったの。

買った時はピッタリのおみやげだと思ったのに」


 悔しそうにしゃべるエマ。


 ブリジットは安堵した。



 なーんだ、理由は大したことなかった。それにこのにわとりもとても嬉しい。


「……確かに、この部屋には少し賑やかすぎるわね」


 ブリジットはテーブルに置いてあるにわとりを両手で大事に握りしめた。


「でも、ありがとう。かわいいにわとり。

早速効果が出たわ。私、これをもらってとても幸せだもの」


ブリジットは心からの笑顔をエマにかえした。

そんなブリジットをみてエマは顔をくしゃくしゃにさせて喜んだ。






追伸

エマのコックからお礼の手紙がきた。

《妻のイビキは死人も起こせるレベルだった。

今は寝室をわけてぐっすりねむれている。

妻も体勢を変えて寝たら途中覚醒の頻度がへりお互いギスギスがなくなり穏やかにすごせてる。

ありがとう》と。


 手紙と一緒にお手製のエッグタルトも一緒に届けられた。そのエッグタルトも甘くて素朴な優しい味がした。



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