18.悪意ある食卓と見える嘘①④ドキドキのち不穏
ジェフ・ラザフォード→年配の男。傲慢。
リサ・ラザフォード→ジェフの妻。
メーガン→ジェフの秘書。ジェフの不倫相手。
イブ・ラザフォード→ジェフの娘。
ハリー・ラザフォード→イブの夫。娘婿。
若者二人→ジェフに会社を潰された家の息子。ウーズリー家?
アレックス・ブライト→アレク、端正な顔立ちに完璧なエスコートを見せる色男。
フィンバート・グレンドール→フィン、好青年、警察、アレクの知り合い
セルジュ・ノクス→フィンの相棒、鑑定官、アレクの知り合い。柴犬みたいな男。
話を終え、三人は建物の外に出た。
外はすでに日が暮れかけていた。フィンは電話で席を外したので、アレクと二人っきりになった。
「大丈夫か?やはり捜査は人の嫌なところがでるから手を引くか?」
アレクが心配そうに声をかけた。
「何言ってるんですか。たしかに嫌なところをしると疲れますが、ここまで関与したのだから最後まで捜査します」
「そうか。ブリジットは責任感もあるんだな。ところで何か分かりかけているのか?」
「全然です」
ブリジットは首を振る。
「アレクはなにかわかりましたか?」
「いや。この事件が強力なライバルで解決しない限り、こっちの存在に気づいてくれないことはわかった」
アレクは肩をすくめる。
「それはどういう」
詳しく聞こうとした瞬間だった。
アレクの優しさを含んだ眼差しが向けられた。
ブリジットの心臓が脈だつ。
か、かお。ち、ちかい。
気づけば、アレクの顔がすぐそばにあった。
肩が触れそうな距離だ。ブリジットは息を呑んだ。
ア、アレクって距離感を間違えてるのよ。
動揺するブリジットのすぐ近くからアレクの低い声がした。
「はやく気づいてくれ。ブリジット」
思わずブリジットはアレクを見上げる。目線が合った。
何に気づけと言っているの?
そう聞きたかったのに、声が出ない。
二人の甘い雰囲気を破るように、突如、能天気な声が聞こえた。
大きな声を出しながらフィンが戻ってきた。
「きいてよー。セルジュからだったー」
近すぎる距離にいた二人は離れた。いや、ブリジットだけが距離を開けた。
アレクはちっと舌打ちをした。
「あ、ごめーん」
フィンが全く申し訳なさそうに謝った。今、フィンにとって空気を察する能力はない。
意識がセルジュからの情報にいっている。
セルジュの情報をを早く伝えたいみたいだ。
「毒が検出されなかったんだってー」
「……え?」
ブリジットは思わず声を上げた。
「おまけに主治医のカルテからは情報はほとんど取れなかったって。
四つのの毛虫の字から多分四種類の薬とかろうじてニヶ月と読めてセルジュお手上げだって」
フィンは手をあげてお手上げのポーズをする。
「悪筆すぎてわからなかったらしい。悪筆とかやめてほしいよ」
フィンが呆れたように言った。
「フィンがいうな」即座に突っ込むアレク。
「フィンの字って悪筆なの?」
「失礼な。少しのびのびとした大きい字らしいよ」
「かなりオブラートに包んだ字の説明だよな。フィンの字は学校で教師陣を苦労させてたな」
フィンらしい字だろうな、とブリジットは思った。
大きくて、勢いのある。
のびのびしているのに、癖のある字。
思わず想像して笑ってしまう。
「ブリジット、俺、悪筆じゃないからね。少し個性的なだけだから」
フィンが焦ったように弁解する。
「はいはい」
アレクは困ったやつだとフィンを見ながらため息を吐く。アレクはなんだかんだとフィンに甘い。
二人のやり取りは軽いのに、どこか気安くたのしげだ。長い付き合いなのだろう。
そう思うと、少しだけ羨ましい。
フィンが集めた情報をまとめて判断を整理する。
「毒が見つからないってことは新手の毒か?殺人じゃなかったってこと?」
アレクがフィンの判断を否定した。
「いや、突然死すぎる。これは俺たちが知らない毒の可能性もある。だからハリーが犯人な可能性が高い」
「外国の新種の毒…」呟くフィン。
「そんな…」とブリジット。
「詳しく調べる際、ハリーの手紙のやりとりを押収する可能性も出てきた」
ハリーが犯人?
誰が犯人か全く読めない。
ハリーが犯人ならイブは…
イブの顔が浮かぶ。
あの穏やかなハリーへの微笑みが、急に遠く感じられた。




