15.悪意ある食卓と見える嘘①①事故現場で昼食を
ジェフ・ラザフォード→年配の男。傲慢。
リサ・ラザフォード→ジェフの妻。
メーガン→ジェフの秘書。ジェフの不倫相手。
イブ・ラザフォード→ジェフの娘。
ハリー・ラザフォード→イブの夫。娘婿。
若者二人→ジェフに会社を潰された家の息子。ウーズリー家?
アレックス・ブライト→アレク、端正な顔立ちに完璧なエスコートを見せる色男。
フィンバート・グレンドール→フィン、好青年、警察、アレクの知り合い
セルジュ・ノクス→フィンの相棒、鑑定官、アレクの知り合い。柴犬。
昼ごはんのために着いたのは昨日事件の起きた現場のレストランだった。
「フィン、いくら何でもブリジットにとってこの場所にくるのは早すぎではないか。心理的負担がひどくないか」
セルジュが眉を顰めながらフィンに文句を言った。
驚いた。セルジュは意外に繊細で人のこと気にかけるタイプなんだ。
フィンは意外なことを聞いたと言わんばかりに目を見開いた。
フィンはブリジットのそばに駆け寄った。
「ブリジットは大丈夫だよね?!」
ブリジットはフィンとセルジュの顔を見て考えた。
困った。
実は、私、大丈夫なタイプだ。
しかし、ここは本来普通の令嬢は心理的にしんど
いのか…どう反応する?
「大丈夫です。
そんな毎日事件はないですし私が殺されかけたわけではないので」
結果、ブリジットは自分の気持ちを正直に話した。
セルジュは信じられないものを見たと言うように目を見開き、フィンはうんうんと頷いた。
「だよねー。ブリジットは大丈夫と思った」
「お前、それでも令嬢か…」
「まあ、とりあえず食べましょう。
情報がいっぱいすぎて頭が疲れましたし」
「ほんとそうだよ。腹が減っては戦はできずっていうし」
フィンがブリジットに同意する。
セルジュは呆れた目でフィンとブリジットを見てつぶやいた。
「フィンが二人いるみたい…」
「俺もブリジットが昨日のレストランに行くのは心理的に厳しいと思ってフィンをとめに来たんだけどな」
後ろから呆れたような声がした。振り向くと、アレクが立っていた。
ブリジットはアレクの顔を見てほっとした。
アレクに会うのは久しぶりに感じる。でも実際は昨日ぶり。会いたかったのかしら、私?
アレクに対して、
「もう遅い。ブリジットはフィンに染まってきました」
と、セルジュがぼそりとつぶやいた。
失礼な!!アレクの前で乙女感をさげるのやめてくださる!!
*
レストランの席は、四人テーブルだったので、セルジュとフィン、アレクと私が隣同士に座った。
フィンが私の隣に座ろうとした瞬間、アレクがセルジュの横の席を指差した。
「フィンはあっちだ」
フィンは何か思い立ったのか、ハッとした後、
「ごめんごめん。ブリジットの横はアレクだったよね」
とニヤニヤ笑いながらセルジュの横に座った。
隣に座ったアレクが椅子を少し引いてくれた。その仕草に、ブリジットは小さく礼を言った。
ブリジットはアレクが隣に座ると、なぜか少しだけ安心する。
ブリジットは向かいのセルジュになった。セルジュは疲れた様子である。
アレクがセルジュに声をかけた。
「お疲れだな」
「誰かさん達と情報過多のせいです。アレクこそよく仕事ぬけれましたよね。忙しいんでしょう」
「事件の協力をしに行くと言って抜けてきた」
「大変だね。こっちもイブさんのマシンガントークで情報過多で疲れたよ」
「えー本当に。主治医が亡くなってるとか爆弾発言でしたしね」
ブリジットもまだ完全に驚きが抜けきっていない。
「今日はアレクがここをおごってくれたら元気でるかも」
すかさず、セルジュがアレクにおねだりをする。
「ブリジットもか?」
アレクはセルジュを無視してブリジットの意見を聞いた。
「ええ、甘いものを食べたら元気でるかも」
ブリジットはなぜか落ち着かず、深く考えられない。
隣に座ったアレクの体温が近い。メニューを開く手に力が入った。
「そうか…ならデザートもつけていいぞ」
アレクはおごってくれるらしい。
「やったー。持つべきものは友だわ」
盛大に喜びを見せるセルジュ。
「お前はついでだ」
ため息を吐きながら、全くしょうがないやつだとアレクはつぶやいた。
「じゃあ早速パスタを選びましょう」
俄然元気を出したセルジュが嬉しそうに答えた。
店員が注文を聞きにきた。
「私、ボンゴレ」とブリジット。
「俺、パルメザンチーズいりのトマトパスタ」
アレクが顔をしかめる。フィンは首を傾げた。
「一応捜査ですし何か問題でも?」
「いや、フィンはそういうやつだからな。俺はたらこパスタ」
「私は、和風パスタで」
意外、セルジュが変わりものをたべるなんて。
決まったものを食べる、失敗を嫌う派で冒険をしないと思っていたのに。
フィンにとってもセルジュの注文は意外だったのでセルジュに指摘する。
「珍しいね。セルジュが変わり種食べるの。いつもミートパスタなのに」
「人の金で飲み食いする時は冒険するんです」
まあまあ最低なことを飄々とセルジュは言った。
アレクは気にしてないのか、会話を受け流す。
「のみものは一応勤務中なので紅茶を」
飲み物は冒険しなかったのね。
「俺も紅茶」
元気いっぱいに答えるフィン。
「私も紅茶」
足並み揃えて紅茶を頼むブリジット。
「俺、コーヒー」
唯我独尊で我が道をいくアレクは一人コーヒーを頼んだ。
「「「「デザートはプリンで」」」」
全員の声が揃った。
ふと思い出したようにセルジュがアレクに尋ねた。
「そういえば、昨日ここで頼んだワインって一本いくらぐらいんですか?」
「ゲスいな」
「そういうやつ、セルジュくんって知ってるでしょ」
セルジュが楽しそうにきく。
「さあ、あんまり見てないが…
格式が高いレストランで夜メニューの高いワインだから一本で馬車買えるくらいじゃないか」
ブリジットは固まった。セルジュも同じタイミングで固まった。
二人で顔を見合わせた。




