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13.悪意ある食卓と見える嘘⑨イブの証言

ジェフ・ラザフォード→年配の男。傲慢。

リサ・ラザフォード→ジェフの妻。

メーガン→ジェフの秘書。ジェフの不倫相手。

イブ・ラザフォード→ジェフの娘。

ハリー・ラザフォード→イブの夫。娘婿。

若者二人→ジェフに会社を潰された家の息子。ウーズリー家?


アレックス・ブライト→アレク、端正な顔立ちに完璧なエスコートを見せる色男。

フィンバート・グレンドール→フィン、好青年、警察、アレクの知り合い

セルジュ・ノクス→フィンの相棒、鑑定官、アレクの知り合い

 

「べったりとは?」


 セルジュは訝しげにイブに尋ねた。


「ベッタリはベッタリよ。ここの屋敷にもメーガンの部屋があって、パパはそこに入り浸っていたもの。

ここ1週間はママとパパ二人っきりでいることなんてなかったわ」


「そ、それは…」


 フィンが気まずそうに言葉を探す。イブは気にするなと言わんばかりに片手を振った。


「いいのよ。屋敷全員パパの浮気は知ってたわよ。


私達は嫌だけどパパが初めての妊娠を実家で迎えろと言うからここに滞在してるの」


「イブ、あまり醜聞は控えた方が…」


ハリーがイブの話を遮ろうとしたが、イブのおしゃべりは止まらない。


 ブリジットは話の腰を折らず黙って聞き役に徹した。





 よっぽど溜まってたんだろうな。メーガンが殺されてたらイブが第一容疑者だわ。



「あの女狐はママの手柄を全部自分の手柄にするの。何が気がきくよ。

家の女主人面してたけど、季節の贈り物とか薬の管理とかレストランの店の手配とか私たちの滞在のための備品や部屋の管理なんて全部ママがしてたのよ。この家の女主人はママよ」


イブは息継ぎを忘れたかのように話し続けた。


「薬?何の薬を飲んでいたんですか?」


セルジュが気になったのかイブに突っ込む。


「結核よ。咳が続いてたから最近発覚して予防薬を飲んでたの。まあ、管理してたのはママだけど。

二人で一緒にはいなかったから一回分ずつメーガンに食事の時渡してたわ。

そうそう、昨日の夕ご飯のときに一週間ぶりに横に座ったのよ。ママとパパは」  


 フィンが引いたように答えた。


「すごい、夫婦ですね。横に座るのが一週間ぶりとか」




フィン、イブのマシンガントークにもひいているみたい。横に座るのが一週間ぶりと言うのも引いている。フィンの家族は仲良しなんだろうな。




 

「貴族で家庭円満のところの方が珍しいだろう」


 セルジュが鼻で笑う。イブは我が意を得たりとセルジュに向かって話す。


「そうよね。話なんかも全然しない夫婦よ。

パパはママをすぐにバカにするし反発するから会話にならないのよ」


「いるいる。そう言うやつっている。亭主関白きかすやつ」


 セルジュがイブに同調する。


「そうそう。亭主関白。だから私はハリーを選んだの。私を尊重してくれて私を思い遣ってくれる」


 イブは恥ずかしそうにはにかみながらハリーを見る。ハリーもイブを見る、その眼差しは優しげである。





 おお、この二人、恋愛結婚なんだ。珍しい、貴族なのに。





 セルジュがブリジットの思ってたことを代弁した。


「珍しい、貴族なのに恋愛結婚なんですね」


「そうなの、私が船で旅して困ってたときに助けてくれたの。彼はその船で働いている乗組員だったの。

それで彼のシュッとしたスラリとした姿にも一目惚れしたの。彼は私が困っている姿を見て…」


 イブが嬉しそうに答えたが、ハリーが遮った。


「イブ、その話は長いし捜査には関係ないから…」


「はーい。まあ色々あってハリーと結婚したの。彼はシュッとしててママに似てるの。

食の好みもママと合うのよね。ハリーとママはあっさりした味が好きだし、私とパパはチーズとかこってりとした食事が好きなの」





  なるほど。イブとジェフがふっくらした体型が似ているのは食生活からくるものか。


 でも、昨日は家族3人とも追いチーズをしていたからてっきりリサもこってりしたものが好きなのかと思った。ハリーはパルメザンは足してなかったな。





イブは己の恋バナを話せず少し不満気味だが、また話し始めた。


「どこまで話したっけ、そうそうパパの病気よね。結核の初期の初期らしいわ。パパの主治医の先生がみつけたの。

それでパパは長生きすると思ったんだけどこんなに早く早く死ぬなんてびっくりよね、ハリー」


「ああ、初期の初期だから見つけた医師をジェフが気に入ってたな。結核も発症する前に未然にふせげたから」


「でも私、あの主治医、高齢だし細かいことまでしっかりと言ってきて口うるさいから好きじゃなかったわ」


イブはいささか冷ややかに話す。


「そんなこと言うもんじゃないよ」とハリーが嗜めた。

イブが不意に思い出したのかようにしゃべる。


「ああ、でもあの主治医、だいぶパパに好かれてたからかな。パパが死んだ次の日に亡くなったから」


フィンがあまりの驚きに固まり、セルジュは眉をわずかに寄せた。ブリジットは口をあんぐりと開けた。


「え、今日ですか?」


「どうやって亡くなったのですか?」


「いつぐらいの時間に亡くなったのですか?」


「さあ、老衰じゃない。ベッドで亡くなったみたい。亡くなったのは今日の朝か昨日の夜よ」


イブがあっけらかんと言う。




貴族にとって平民の命は軽い。それほど気に留めていないのだろう。


 ブリジットは浮かぶ疑問が多すぎて頭を抱えたくなった。






 どういうこと?!主治医が亡くなった?!


 これは今回の事件に関係があるの?


 さっぱりわからない。









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