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世界最強の殺し屋は異世界で静かに暮らしたい 〜最凶の殺し屋一家の三男が、最弱の神王候補に雇われた件〜  作者: 霜月ネル
第6章 水着回は6話目くらいがちょうどいい

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水着と浮き輪とスイカ

 ミリアが持ってきてくれた資料はとりあえず全部もらってきた。

 アップルパイを焼いている間に、ダイニングのテーブルに広げて眺める。

 個人で勝手に神竜を倒して神殿に申請に行くよりも、ミリアが言うようなプランに入った方が申請から褒賞金の支払いまでスムーズだ。

 しかも、神殿に来た目撃情報をまとめて定期的に持ってきてくれる。

 あの様子だと死ぬほど催促されそうだけど、一応、倒さなくてもペナルティみたいなのはないらしい。


「神竜退治で死んだ時に保険金が支払われるってのが、魅力的だよなぁ……」


 俺が死んだところで、ソフィアもアリベルもお金に困ることはない。

 でも、今まで殺したらお金が入ってくる生活をしていたのに、自分が死んだらお金が入ってくるなんてかなり新鮮だ。


「でも、ソフィアからもらうお小遣いで保険に入るのもなぁ……うーん……」


「何よ、そんなことで悩んでるの?」


 パイが焼ける匂いを嗅ぎ付けて、アリベルがダイニングに入ってきた。


「ソフィアはお金の使い方で怒ったりしないから、ルカの好きにしなさいよ」


「いいのか?それなら、お勧めプランに入ろう。それで、緑竜を沢山倒して夢の褒賞金生活だ!」


「違うでしょ!黒竜か銀竜を倒して竜騎士になるんでしょ!」


「ああ、そうだった。じゃ、せっかく目撃情報も沢山もらったわけだし、適当に選ぶか」


「そうね、小紅に乗って行けば遠くでもすぐに行けるし、どこでもいいんじゃない?」


 ミリアに渡された極太の文字が並ぶ資料をテーブルに並べる。

 モンスターを倒すミッションっていうより、街の不動産のお勧め物件チラシって感じ。

 どれか適当に選んで倒しに行こうと思ったけど、一番ザコの緑竜だからって余裕ってことはないのかもしれない。

 芋虫型の奴は住民を操っていて、なかなか厄介だったし。


「前の奴、倒すのが面倒くさかったよなぁ。ちゃんと調べた方がいいかなぁ……」


「そうね、神竜はそれぞれ能力を持っているから、簡単には倒せないわ。でも、銀竜を倒すって言うなら選んでられないわよ」


「それもそうだな。じゃあ、どーれーにーしー……」


「何じゃ何じゃ?」


 キッチンをうろうろしていた小紅が、俺の後ろから身を乗り出してたゆんと俺の頭に乳を乗せてきた。

 おやつの時間が近付くと、みんな呼ばなくてもダイニングに集まってくる。

 ソフィアが来ないということは、多分、お昼寝しているようだ。


「緑竜を倒そうと思ってさ。保険にも入れるし」


「ほーん?か弱き者をわざわざ殺めに行くなど、人の子は特異なことをするのですね」


 小紅はそう言うだけで、俺が神竜退治をするのを何とも思っていないようだ。

 神竜は仲間意識がないっていうのは本当らしい。

 それに、紅竜の小紅は、本気を出せば俺とアリベルを殺すなんて簡単なことみたいだし、怖がることもないんだろう。

 小紅は俺の頭越しに手を伸ばして、テーブルの資料を1つ取った。


「これが良いですわ」


 小紅が選んだのは、西部の海沿いの街の目撃情報だった。

 今の時期に人が集まるリゾート地なのに、海の中に引きずり込まれて溺れ死ぬ人が出てきて、商売にならない、とかなんとか。

 人間を襲う神竜か。

 わざわざこいつを選ぶなんて、もしかして小紅は人が殺されるのが許せないとか、人間の味方のようなことを考えているのか。

 と、思ったけど、小紅はドレスから黒いレースが付いた布面積が極端に少ない水着に着替えていた。


「海なんて数百年ぶりですわ。狩刃様、一緒に肌を合わせてお互いに新たな面を知り合いましょう」


「ちょっと!いきなり水着にならないでよ!胸をしまいなさい!」


「なんじゃ、うるさいのぉ。人の子の肌など布を纏っておろうが変わらないだろう」


「あ、俺、水着持ってない」


「狩刃様、小紅は裸でも構いませんわ」


「ちょっと待ってよ。海に行くならソフィアの水着姿を拝むチャンスじゃない。でも、ソフィアも水着持ってないかも……」


「買わないとだな」


「そうね、あと浮輪も」


「アリベル、泳げないのか?」


「違うわよ!ソフィアの!」


「小紅がイルカとかに姿を変えてくれればいいんじゃないのか?」


「狩刃様が上に乗ってくださるのなら、イルカでもクジラでもメガロドンでも、何にでもなりますわ」


「俺は泳げるから大丈夫」


「そうおっしゃらずに、狩刃様!」


 小紅が俺の腕に抱き着いてきて、変化が上達した小紅の胸がむにゅんと潰れる。

 小紅の体が人並みに柔らかい時は大きな尻尾が生えているから、今もワニのようなごつごつした尻尾が興奮して床をバンバン叩いている。

 このままだと床に穴が空きそうだから、俺は小紅の腕から抜け出してオーブンの様子を見に行った。


「ソフィア、今年こそちょっと大人な水着を着ましょう!」


 アリベルがソフィアの部屋に駆けていく。

 幼いソフィアにセクシーなのを強要するのはどうかと思うけど、俺も水着がないから準備をするか。

 それに、海に遊びに行くのは久しぶりだし、スイカとかでっかい浮き輪とか、それらしいものを揃えて行こう。

 いや、遊びに行くんじゃなかった。神竜退治だ。

 でも一応、スイカは持っていこう。

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