表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『AIが管理する理想のVR世界でミュートされたらどうなるか』~囚われの姫と月の使者編~  作者: バニラ味一択


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/67

46.学園での戦い




「……ルナちゃん!?」


 その声の主は、ヒナコだった。

 ルナの記憶にある彼女は、いつも陽だまりのような温かな微笑みを絶やさない、おっとりとした少女だったはずだ。

 だが、今そこに立つ彼女の顔は、幽霊でも見たかのように青白く、酷く憔悴しきっていた。

 ルナの姿を認め、その瞳にぶわりと涙が浮かんだのも束の間。


「……その人達は?」


 ヒナコの視線が、背後に立つアルセーヌたちを射抜いた。その瞳に宿ったのは、野生動物のような鋭い警戒心。


「大丈夫。この人達は私の味方よ。それよりもヒナコ、一体何が――」


「味方なのは分かった。……ルナちゃん、私についてきて。皆も。早く!!」


 ルナの問いを遮るヒナコの言葉には、有無を言わせぬ切迫感が籠もっていた。

 かつてのふんわりとした彼女の面影はどこにもない。ルナはそのあまりの豹変ぶりに気圧され、反射的に頷くことしかできなかった。

 導かれるまま一行は走り出す。向かう先は、この街の象徴でもある『聖エデン学園』の校舎だった。

 だが、進むにつれて違和感は異常へと形を変えていく。

 今は白昼のはずだった。だが、グラウンドに人影はなく、体育館から漏れ聞こえるはずの喧騒も、教師の怒鳴り声すらも聞こえない。


 それだけではない。

 校舎へと続く道筋には、黄色と黒の虎柵バリケードが乱雑に設置され、戦時中の陣地構築を思わせる鋼鉄製の阻止アングルが、アスファルトに牙を剥くように突き刺さっている。


「じいちゃん。これは……」


「外敵から守ろうとしておるのか?」


「何やらきな臭いねぇ」


「ヒナコ!何なのこれは!? 皆はどこ!? なんでこんな柵が……!」


 走るヒナコの背中に問いかける。彼女は振り返ることなく、引き絞ったような声で返した。


「ルナちゃん、皆は校舎の中だよ。それよりも早く!! 時間が無いわ!!」


 ヒナコが空を仰ぐ。ルナもつられて視線を上げた。

 そこで目にしたのは、光学現象の法則を無視した光景。

 さっきまで頭上にあったはずの太陽が、目に見えるほどの速度で地平線へと滑り落ちていく。

 澄み渡っていた青空は、瞬く間にドロドロとした血のような茜色に染まり、長い、影が地を這い始める。



「夜が、来る……!!」



 ヒナコの悲鳴のような叫びが響く。

 おかしい。これは明らかに異常だ。

 急激に冷え込み始めた空気の中、ルナの背筋に嫌な汗が流れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ