『黒き炎の蚕食』②
ルーナ警察署長は「総括会議室」へ、全部門の全ての警察官を招集した。
『警察総動員令』とは、警察に所属する"全ての部門の全ての警察官"を、「最も緊急の高く最優先すべし危険事件」に対応するための総連携命令。
ルーナ警察署は市警察であり、シティ全区域の担当警察官も応援で派遣される(遠方の小さな署からは代表者複数名のみになる場合もあるが)。
事件の緊急危険性がより高まった場合も、必要に応じて『国防省』は、市外の警察官を応援に遣わす。
「(蛍……まさか、こんな事になるとはな……)」
署長は今回のルーナ警察総動員令の目的と趣旨を説明し、各部門から二名の代表者が作戦会議の司会を進めていく。
一方、刑事部門の座席にいる光の意識は、斜め後ろの離れた場所から傍聴する蛍にも向いていた。
今回の大掛かりな作戦では、派遣可能な警察官全員が関わる。
つまり、先程までは協働捜査班の現場から外されていた蛍も同席を許可された。
本来であれば、警察官戦力として申し分のない蛍の参加は、歓迎されて然る。
しかし、光や浜本、永谷部長を含む蛍を信頼する一部の者を除く、他の警察官は蛍に向かって鋭い視線も注いでいる。何故ならば。
「爆弾、だと!?」
第一声は、刑事部課長・小川刑事官の驚愕したとばかりの反応。
物騒な単語を耳にした他の警察官の間にも、強い動揺は波紋していく。
「はい。月花庭園へ出向いた時、俺の服の懐へ、いつの間にか入っていました」
「いつの間にかって……藤堂刑事官。テロかスパイ映画じゃないんだぞ?」
淡々と事実を報告した光の言葉に、小川は呆れと嘲りの混じった苦笑を零す。
信じられないような話だが、光と"もう一人"の手へ渡った情報は、警察にとっては決して看過できない。
「ですが、これが質の悪い悪戯か流言にせよ、決して無視はできません」
「今のルーナシティの危機的状況を見れば尚の事」
浜本と永谷は刑事部代表として、前方の座席から冷静に提言した。
二人の言葉には力があるせいか、騒然としていた他の警察官からは「確かに、尤もだ」、と頷く気配が生まれた。
事実、今回の総動員令を出す決断を署長へさせたのも、今回の『爆弾予告』だ。
ち……っ。俺様は課長だってのに、他の無能どもまで……っ。
小川は、若造でありながら副部長にまで昇格し、班長をも務める浜本に向かって、小川は密かに舌打ちした。
そして、古参で課長の自分を差し置いて浜本を副代表に指名した永谷部長にも、時折恨めしげな視線を送る。
「そうです。浜本刑事官も勘付いている通り、これは看過できない"爆破予告"であり――"必ず決行する"、という被疑者の強い意志も感じ取れます」
荒んだ小川の心へ氷水を浴びせるような声は、広い会議室内にも凛と響き渡った。
「櫻井刑事官。貴様まで、何故ここで」
小川は自身の後部座席へ振り返りながら、当人へ困惑気味に問い詰める。
小川率いる如月班からすれば、担当捜査の現場から外されていた蛍が、厚かましい真似に出るとは思わなかったらしい。
予期せぬ人物からの発言に、他の警察官も戸惑いの反応を見せた。
「つまり、被疑者は「何処か」へ仕掛けた爆弾を「何時か」は不明だが、必ず爆破させる――櫻井刑事官はそう主張している。その確信に足る"根拠"はあるか」
「はい、あります――」
一方、周囲の冷やかな視線や野次をものともしない、蛍の氷冷な声と眼差しに場は逆に気圧される。
蛍の言葉へ、最も理知的に耳を傾けた署長からの冷徹な指摘に、彼女は悠然と肯いた。
「その説明と並行して、例の『連続猟奇殺人事件』、と今騒動の元凶であるE・Cの報告、と二つの事件との関連性も伝えていきます」
ほう、と署長は興味深げな息を吐きながら、蛍の動向を冷然と見守る。
蛍は自身の警察端末を介して会議用のPCへ送信、操作者による情報と投影画面との接続は実施された。
「出過ぎた真似なのは、重々承知しております。ですが、"例の手紙"は私の元にも届きました」
巨大な投影画面に分割して映り込んだのは、連続猟奇殺人事件とE・C関係の記録資料、そして最も重要な物的証拠となる『爆破予告の手紙』の記録写真。
総動員令が正式に下る一日前。
ルーナ警察署宛てに、E・Cからの爆破予告の手紙は、光に運ばれてきた。
手紙は、月花庭園へ任務で赴いた光の懐へ密かに滑り込まれていた。
まさに諜報員か、子どもの悪戯らしい手口に、最初は光自身も手紙の内容には懐疑的だった。
しかし、E・Cによるルーナシティ中央区域内での惨劇渦中に入手した"不穏なモノ"で、しかもE・Cから警察宛てとなれば、話は変わってくる。
「手紙は藤堂刑事官、と私へ届けられた両方の内容は、同じ爆破予告に関するもので一致しています。単なる偶然とは思えません」
前回の猟奇殺人事件と同様、クラッキングや盗聴による危険を想定したらしい。
浜本は蛍へ貸し出した連絡用の携帯端末を今は一時的に没収している。
総動員令による作戦会議が開かれるまでの間も、蛍は署の事務所内か自宅で待機を命じられていた。
しかし、"知らない誰か"は、何かしらの手段で蛍の自宅を嗅ぎつけ、わざわざ紙の知らせを直接届けに訪れた。
あいさつの声かけも、顔合わせすらせずに。
それだけでも十分不気味な出来事だ。
さらに手紙の不穏な内容からも、慎重を貫いていた浜本は、これ以上蛍を蚊帳の外へ置いておくのに限界を判断せざるを得なかった。
しかも、蛍と光の双方に届いた手紙は、内容だけでなく一枚の便箋と字体までもが一致している。
手紙を届けたのは、同一犯である可能性が非常に高くなる。
「(まさか、あの時に……)」
光の場合は、ズボンの懐へ手紙を忍ばせた人物に唯一心当たりがある。
月花庭園で、自分が救助と応急処置を施した一人の"若い女性"だ。
E・Cとは対照的な純白の羊毛外套を羽織り、防護のためか頭巾で顔を覆っていたのが、印象に残っている。
しかし今思えば、E・Cの黒い揚羽蝶に擬態したような"真っ黒な色"にばかり、意識をむけてしまっていた。
さらに、相手が負傷した非力な一般市民にしか見えなかったのも、光へ隙を与えた。
知らぬ間に欺かれていた己の迂闊さを、光は心の内で叱咤した。
一方、悔しげに拳を握る光の心中を察している蛍は、心の中で呟く。
『光、あなたには何の落ち度もないわ。むしろ、これは私達にとって』
"最悪"が与えてくれた、最大の好機でもある――。
むしろ、E・Cの今後の企みと動向を辿る貴重な手がかりを、わざわざ敵側から提供してくれた、と蛍は前向きに捉えていた。
たとえ、手紙は爆破予告という不穏で尚且つ詳細不十分な内容であり、罠である可能性を鑑みたとしても。
「では私、刑事部代表・浜本副部長が説明させていただきます。こちらは、藤堂と櫻井へ届けられた二枚の手紙です」
代表として起立した浜本は、蛍が掲示した手紙の写真を、見え易いよう拡大させる。
何の変哲もない燻んだ白い便箋に綴られているのは、皆の知る通りの爆破予告。
しかし、無機質なワープロで打たれた文字を浜本が音読し、内容を理解するにつれて、場の空気は重く冷え渡っていく。
傍聴している者達の表情も、まるで爆弾を胃へ飲まされたように蒼白と曇っていく。
しかも、爆破予告の文章を読み終えて初めて気付く"一番の問題点"に、浜本や小川を含む大半の者はさらに眉を顰めた。
『十二月十二日。ルーナシティで"人類史を最も尊ぶ場所"から "贖罪の爆炎"を降らす――E・C』
「これは……」
「もし、奴らが本気で爆破するつもりなら……これは相当やばいだろう!」
浜本はそれ以上の言葉を失い、不快感を紛らわすように伊達眼鏡の位置を直す。
小川は焦燥のあまり、誰に向かってか分からない感じでまくしたてる。
光が受け取った爆破予告の手紙には、差出人がE・Cである事、と決行日が明記されている。記されている。ただし。
「しかも、残りはわずか数日しかない。そのうえ、E・Cが爆破する場所が分からない限り、我々も準備の仕様がないね」
知性的な瞳を憂いさせる永谷部長の台詞に、他の警察官も尤もだ、と無言で頷く。
手紙には、肝心の「爆弾を仕掛ける場所」に加えて、「正確な時刻」が明記されていない。
"人類史を最も尊ぶ場所"という意味深な文章こそ、爆破場所の手がかりを示唆しているだろう。
しかし、この手紙の内容だけでは手がかりが少な過ぎて、警察も作戦の立てようを失ってしまう。
手詰まり感から、苛立ちの表情で未だまくしたてる小川。
他の警察官は、手紙を手がかりに努めて思案するが、やはり行き詰まってしまう。
そもそも、暗号じみた手紙の文章を解読するための"前提基準"すら不明なのだ。
「皆さん、私からの提案ですが……私と藤堂刑事官に届いた二枚の手紙、と――『猟奇連続殺人事件』の"三つの怪文章"を、擦り合わせて読めば、何か分かるのかもしれません」
一方、暗澹たる沈黙に呑まれた会議室へ不意に響いた、蛍の冬気さながら澄んだ声は、皆の意識を冴え冷ました。
最初はともかく、最後に言及した猟奇殺人事件の遺体から確認した"三つの怪文章"について、他の警察官は疑問に首を傾げる。
事情を詳しく知らない警察官から見れば、主犯のレギンが既に死亡したことで収束した猟奇殺人事件、とE・Cとの間に関連性があるとは思えない。
しかし、とりわけ蛍と光は一見無関係な両事件と被疑者達には、"ある人物"が深く関与している確信を抱いている。
「何だと!? それが本当なら、それを早く言わんか! さっさと、手紙を寄越せ!」
蛍の白い手には、透明な保存袋に納められた本物の便箋。
小川は証拠品の実物と内容を確かめるべく、蛍へ強引に迫ってきた。
両事件の関連性を全否定していたのは、小川本人だというのに。
そもそも、手紙の内容は投影画面にも表示されている。
わざわざ、蛍から原物を奪う必要もないが、小川なりの"思惑と口実"はあるらしい。
小川としては、警察としての体裁を保つ意味でも、何かしら動ける口実が見つかればなりふり構わないのだろう。
蛍は冷めた眼差しで小川を一瞥すると、迫る厚顔無恥な手を躱そうとした、瞬間。
「失礼致します。手紙は俺が読み上げて確認しますよ。小川課長の手を煩わせるわけにはいきません」
「む……? そうか、なら君に任せよう、藤堂君。さっ、読みたまえ」
小川と蛍の間にさりげなく入っり、蛍から手紙をそっと取ったのは光。
不躾な態度で蛍の手に触れようとしていた小川から、光は庇ってくれたのは明白だった。
光の気遣いに、蛍は「ありがとう」、と瞳で感謝を伝えた。
一瞬でも交わることのできた蛍の瞳、その奥に灯る温もりに、光も安堵の眼差しで返した。
「こちらは、私の受け取った手紙です。ご覧の通り、櫻井捜査官の受け取った手紙との"違い"は明白です」
光は会議室の投影画面を操作して、蛍の受け取った方の手紙へ焦点を当てた。
拡大して見易くなった手紙の内容を、光は静かに読み上げた。
しかし、最後部座席の者達にも届くように響いた内容に、光本人も一同の表情も再び強張る。
『"三つの生贄"は捧げられた。
ようやく"鍵穴"は構築された。
最後は"鍵を持つ者"が、扉を開けるのみである』
「これは一体、何が言いたいんだ? ちくしょう! E・Cの連中め! せめて二枚目には、もっとマシなヒントを書かぬか!」
「生贄とか鍵だとか……単に我々警察を玩弄するための言葉遊びの可能性も……」
不満と苛立ちをまき散らす小川、と真剣に捉えられずに首を傾げる部下達。
他の者達も同じ心境から、沈痛な面持ちで口を噤むしかない。
「どうか、落ち着いてください、皆様。私宛の手紙に記された"三つの生贄"という言葉にこそ、心当たりがあります」
深い困惑の霧へ差し込むように、冷凛と澄んだ声は、周りを導こうとする。
蛍の確信的な眼差しと台詞から、手紙の謎を解読する手がかりと術がある事に、小川は食い付いてきた。
「何だと!? それは一体何なんだ!?」
「ルーナ警察の皆様もご存知の通り、レギンもとい芳夫・三浦の為した猟奇殺人事件」
冷静沈着な蛍が再び言及したのは、レギンによる猟奇殺人事件。
最初から事件の記録資料を提示し、爆破予告との関係性を主張する真意を、ようやく知る時が来たのだ。
「三名の被害者の遺体に残されていた"怪文章"――三人の哲学者の格言に手がかりがあります」
「はあ――?」
事件の捜査へ直接関わらなかった警察官にとっては、"三人の哲学者"と聞かされても、さらに戸惑いしかない。
この中で、レギンの事件とE・Cとの関連性に最も否定的な小川は、思わず素っ頓狂な声を漏らした。
「櫻井君ねぇ。最初から疑問だったが、芳夫・三浦の猟奇殺人を蒸し返して何の意味がある? 怪文章は三浦の悪趣味な悪戯、と我々選良民への当てつけに過ぎない。つまり、内容には何の重要な意味も、爆破予告との関係性も一切なしというわけだ!」
そもそも課長の俺を差し置いて、捜査を仕切るな――。
鬼の形相で蛍を睨んで牽制してくる小川。
やはり、あくまで蛍達の追っている深月・斎賀とその犯行、今回のE・C事件との関連性を、頑なにまで否定したいらしい。
小川に目前で凄まれている蛍に、周りは不憫な眼差しを向け、彼女を最も案じる光は、ついに手を伸ばした矢先。
「確かに、一見異なる二つの事件との間には関連性の有無は、どちらも百パーセントの証明はできない限り否定はできません」
「だったら……」
「ですが、他に有力な手がかりのない今、わずかな可能性にも目を向ける価値はありましょう」
蛍の主張としては、彼女らの見解もそれと反対意見の小川達も、完全に"間違っている"、と否定しきれない。
ただし、他に打つ手もない圧倒的不利な現状を鑑みれば、蛍の意見は一理ある。
「それに、手紙に綴られた"三つの生贄"、と三つの事件の"三つの怪文章"」
「どちらも同じ『三』という共通の数字があります」
「藤堂刑事官まで」
日頃から、蛍の怜悧な分析力を頼りにし、彼女の実力を誰より知り尽くしている光、と浜本率いる第一期協働捜査班の同僚達も、蛍の意見に大きく頷いていた。
「私も櫻井刑事官と同意見じゃよ」
「確かに、数字の一致は単なる偶然だとは思えません」
「お、おい……何勝手に話を進めて……」
「そうだな。では、櫻井刑事官。さらに君の見解を聞かせてくれ」
永谷部長と浜本副部長の言葉を筆頭に、第二期班の警察官からも賛同の声が次々と出てきた。
未だ納得のいかない小川は苦言を呈しようとした。
しかし、冷然と傍聴していた署長の声かけで、さすがに渋々口を噤むしかなかった。
「僭越ながら、私、櫻井からこの場を借りて説明していきます――」
「資料の操作と説明の補助は私、藤堂が行わせていただきます」
警察署長から改めて解説の機会を賜った蛍は、壇上へと招かれた。光を補佐役に伴った蛍は、画面の資料と警察官一同を真っ直ぐ見据えながら、冷凛と言葉を紡ぎ始めた。
「先ずは、各事件の"怪文章"に記された、哲学者と引用文についてですが――」
第一事件は、「存在と自由のサルトル」。
第二事件は、「深淵のニーチェ」。
第三事件は、「絶望のキルケゴール」。
三人は共に、現代にも語り継がれるほど影響力のある、著名な哲学者だ。
旧時代の遺物・紙媒体の本にも、哲学や宗教にも関心の希薄な現代人にすら、名前を知らない者は中々いない。
そこまでは理解できるが、問題はその情報の先から爆破場所を如何に特定するのか。
爆破時刻に関しても、数字では『三』以外に明確な手かがりが記されていないため、正直考えるには未だ厳しい。
「あのー、やっぱり哲学者の名前もですが、引用文の内容にも手がかりはあるんでしょーか。櫻井先輩」
冷静沈着に佇む蛍を他所に、ひたすら頭を悩ませる警察官一同の内、唯一挙手した者が現れた。
相変わらず、緊張感のない間延びした声と口調、あっけからんとした表情の後輩にも、蛍は丁寧に返答をする。
「その通りです、神楽刑事官。私の意見ですが……この三つの引用文から感じられる共通点は、"人間の自由"と"存在意義"、"深層心理"。所謂、人間の存在と意義を問いている気がしてなりません。これは、やはり――」
「――櫻井刑事官」
三名の著名哲学者の格言に秘められた共通の命題。
氷のように冷え冴えた洞察力を発揮する蛍へ、改めて周りは感心する。
「藤堂刑事官?」
一方、思わず蛍へ呼びかけた隣の光だけは、決して見逃さなかった。
凛と澄んだ氷膜の瞳が一瞬、心許なさげに揺らめいたのも。
たった今、蛍の心中を支配するのは、誰の存在なのかも。
普段は氷のようで、感情の揺らぎが見えづらい蛍。
しかし、蛍の微弱な変化へ敏感な光だからこそ、嫌でも気付いてしまう。
「……いえ、何でもありません。すまないな」
今この場限りでは発言する権利を許されているとはいえ、署内では動きづらい立場の蛍へ、余分な心配や不安を与えたくはない。
光を気遣う少女みたいな眼差しに、居た堪れなくなった光は、端末機を操作する振りで視線を逸らした。
暫くの十数分間、警察官は各部門の班員同士で意見交換をしながら、手紙の内容について推理と分析を試みた。
各部門の警察官の思考と知力を総動員すれば、文殊の知恵が生まれることを期待して。
「そういえばー、前から気になっていたのですがー」
最中、皆の祈りは届いたか否か、後輩の神楽刑事官は再び、何気ない調子で或る疑問点を指摘した。
「E・Cって、何を意味するんですかぁ。英語分かる人ぉ」
「直訳すれば、Erstwhile――"かつての"、Children――"子ども達"、となります。組織名には、大抵何かしらの目的や趣旨が込められています」
神楽は、普段から呆けているようで時折鋭く、常人には当たり前で見過ごされがちな手がかりを見つけることも多い。
家具から予期せぬ問いを投げられて困惑する同僚を他所に、蛍は流暢に英語を翻訳した。
"子ども達"はともかく、聞き馴染みのない英文の意味を、初めて総合的に理解した浜本達も逡巡に頷く。
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